人間の変身願望から考えるハロウィンブーム。『変身!』 あなたは変身できるとしたら何になりたいですか?

筧 将英2015年10月23日 印刷向け表示
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変身! 1巻<変身!> (ビームコミックス)
作者:横山 旬
出版社:KADOKAWA / エンターブレイン
発売日:2015-04-25

2014年にハロウィンの市場規模が1100億円となり、バレンタインの1080億円を超えた、ということで大きくニュースになりました。(参考

バレンタインもハロウィンも企業のマーケティング活動の一環だ、とかそのあたりの分析とかはいろんな人いろんなところで論じているので、そんなことはおいておいて、

コスプレなどの仮装ではなく、
実際に変身能力を持った場合、人間はどうするんだろう。
実際に何かに変身したらどうなるんだろう。

ということに答えてくれるのが今回紹介する「変身!」です。

この作品、身する能力を持っている少年が主人公で、
いろいろなものに変身していく、というシンプルな設定。

「変身」といえばカフカが有名ですが、
あの作品とは違ってハッピーな世界観で描かれています。
しかし、ユーモアに包まれてはいるものの、
普通はマンガでは書かない微妙な問題まで突っ込んで描いてあり、
人によっては引くかもしれませんが、ハマる人も多いはず。

まずは登場人物の紹介。
 

「ぼっちで変身能力のあるヒデくん」と
「ハイパー・アクティヴなマリちゃん」

主人公のヒデくんは、クラスでも目立たないいじめられがちなぼっちな少年。ひょんなことから変身できるようになるのですが、本人は非常にロジカルに考えて変身している模様。ものの構造をしっかり理解しないと変身できません。

 

横山 旬『変身!』

そして、ヒデくんが変身しているのを偶然見つけるのがクラスメートのマリちゃん。

マリちゃんのわがままでいろんなものに変身させられることになるヒデくんですが、変身したヒデくんはマリちゃんだけにはなぜだかわかる設定。

さて、ヒデくんは何に変身して、何が起こるのか。
 

カメラに変身したのに気持ち悪くて捨てられる

マリちゃんのお願いにこたえて、構造まで勉強して、カメラに変身を成功させます。
が、気持ち悪くて捨てられます。

 

 

 象に変身したけど、ぶっ飛ばされる。

 質量保存の法則らしく、象になっても重さは変わらないというあたりの設定は素敵。

  

バッタに変身して着替えをのぞこうと
思ったら雌バッタを好きになる

変身する際に、バッタの習性まで学んだせいか、雌のバッタを好きになります。
バッタと交尾します。 

 

竹に変身して戻れなくなる

「竹単独種の群衆がどうゆう自我を持っているのかを実証したい」という好奇心から変身しますが(小学生ですごい好奇心だな)、竹には脳がないので戻れなくなります。

 

こんな感じで、どんどん変身していきます。2巻での変身経歴は、

架空の最強の動物→白人の女→シロサイ→ハシブトガラス→アライグマ→マダラ→ムツゴロウ→ダツ→セイスモサウルス→モササウルス→ランペオサウルス→パピケファロサウルス→セントロサウルス→ギガノトサウルス→セイウチ→レッサーパンダ→伊達男→土佐犬→サグラダファミリア→ピラミッド

どんどん巨大な生物や建造物になっていきます。

ストーリーとしては、2巻では、いろんな思惑に巻き込まれていくのですが、
実際に変身能力を持った人間はどうするんだろう。
また、実際に変身したらどうなるんだろう。ということだけで読んでいくのも面白い。 

物語でのヒデくんの行動にもありますが、
人の変身願望はどこからくるか考えてみると

① 自分ではないものになりたい
② やり直したい
③ 疑似体験したい
④ 隠れたい・見られたくない
⑤ 目立ちたい


というあたりかなと思います(分析は足りないと思いますが)

ハロウィンでのコスプレは圧倒的に⑤と③だと思いますが、
本当の変身能力を持ったら①とか②とか多そうですね。。。
なんだか全く良い世の中とは思えない。

ハロウィンでは、人に迷惑をかけないように、できるだけ目立っていただければと思います。

ということで、世間がハロウィンにわいているタイミングで
「変身!」を紹介させていただきました。
 

変身! 1巻<変身!> (ビームコミックス)
作者:横山 旬
出版社:KADOKAWA / エンターブレイン
発売日:2015-04-25
  • Amazon Kindle
変身! 2巻<変身!> (ビームコミックス)
作者:横山 旬
出版社:KADOKAWA / エンターブレイン
発売日:2015-09-26
  • Amazon Kindle

  作者の横山旬さんの作品集もあります。絵がスキ。

白い狸 横山旬作品集<白い狸 横山旬作品集> (ビームコミックス)
作者:横山 旬
出版社:KADOKAWA / エンターブレイン
発売日:2014-08-25
  • Amazon Kindle

 本家のカフカの「変身」はこちら。
変身(新潮文庫)
作者:フランツ・カフカ 翻訳:高橋 義孝
出版社:新潮社
発売日:1952-07-30
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また、カフカの「変身」を10ページの漫画にしたものもこちらで読めます。
レビューはこちらを読んでいただければと思います。

『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』を読む

有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいのマンガで読む。
作者:ドリヤス工場
出版社:リイド社
発売日:2015-09-11
  • Amazon Kindle

 

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