マンガに関わる皆様へ。デジタル化以降のマンガを考える場作りに、是非ご協力を!

菊池 健2015年10月25日 印刷向け表示
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- 本エントリーは、レビュワー菊池のBlogからの転載です。本イベントは菊池が運営するトキワ荘PJの主催イベントになります。マンガに関わるイベントということで、転載をさせていただいております。

10/31より、マンガディベロッパーズカンファレンスというイベントを始めます。

 これは、漫画家支援のトキワ荘プロジェクトの第2フェーズです。

デジタル化後のマンガの世界に足りないものは、作家そのものではなく、その作家を支え、食べられる形にする仕組みや、プロデュースする人である。と考えた末の取組です。MDCとは、作品を作る根源である、作家や編集者の外郭に、食べられ続けられる仕組みをつくるための機能を実現する場です。勿論、今まで通りの新人漫画家支援は続けます。その上での、次の狙いということです。

最近、10年目を迎えた漫画家支援が、通算で50人のプロデビュー支援を達成したと発表しました。(今日現在は56人)

東京や京都で漫画家を目指す若者に、安価に住めて、仲間やチャンス溢れるコミュニティを提供することや、本気でプロになりたい人向けの漫画家講座「MANZEMI」も、ともに優秀な若いスタッフが、安定した運営を見せてくれるようになりました。

私はこの仕事をしながら、ずっと歯痒さを抱えていました。

デジタル化を肝として、マンガを取り巻く環境は急激に変わっていっています。今まで以上に難しい環境に変わっていくプロ漫画家の世界に、漫画家支援と称し、若者を渦中に背中から蹴りいれる様なことをしていないのか?

マンガが本当に発展し続け、そこで食っていける人間がい続ける為の、本当の努力を自分がしているのか?

当初は、本当に悶々としておりました。

おぼろげながらも見えていたことは、デジタル化が進むと、作り方は勿論、マンガの売れ方が大きく変わっていくことです。フリーミアム文化のネット世界で、今までどおり有償でマンガを売っていき、漫画家や周辺の関係者が、継続可能に食べていけるかどうか、これはなかなか難しいと思っていました。

思うだけでもいけないので、アニメやゲームなど、他の業界も参考に、漫画家支援の事業をする傍ら、考え、行動しました。

全ては、漫画家支援のために、若い彼らがこれからも食べていけるように、マンガ周辺のビジネスに色々な形でチャレンジをしてきました。

最初にチャレンジしたのは、イベントです。

2012年に、「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)」の事務局運営をさせていただきました。

このイベントは、同じ年に始まった本業「京都版トキワ荘事業」と、京都市における双子の事業として始まりました。たまたま知人だった総合プロデューサーの和田さんをお手伝いする形で、最初は勉強のつもりでした。最終的に1年目の2012年は、広報、平安神宮ライブも含めたチケッティング、出展者/イベント調整、当日運営から、報告書制作まで、初めてのことで行き届かない面も多かったと思いますが、1メンバーとして(全部じゃないです勿論)関わらせていただきました。大変でしたが、アニメやマンガがイベントで稼ぐ大変さ、面白さを経験させていただきました。

お蔭様で、4年目を迎えた京まふは4万人ほどのイベントに成長しました。(1年目2.5万人)当初は3年という話でしたが、現在、2020年までは運営していくという京都市の意向です。

その次にチャレンジしたのが、作品の商品化です。

京まふ1年目終了後、行政の行うイベントの悪い形は、一度イベントが終わると、翌年の予算が出るイベント直前まで、そのイベントのことが話題の上らないことです。そこで、当時劇場版が大人気であった『魔法少女まどか☆マギカ』と、京都の鉄板お土産の中でも、最も老舗といえる「聖護院八ッ橋総本店」のコラボ商品をチームで作りました。常設は京都のアニメイト限定。時たまコミケなどに出張限定販売という仕掛けです。

当時は、アニプレさん、シャフトさん、聖護院八ッ橋さん、アニメイトさん、コミケでのローソンさん等、多くの方にお世話になりました。私は企画、監修、広報、販路確立、受発注在庫管理などを担当しました。

おかげさまで、この京まふ2012終了後から、翌年の2013までの間、「京まふまどか」(という実際の名前ではないんですが、ネット上ではそういう愛称がついてしまいました。アニプレさんごめんなさい。)は、面白いようにネットニュースに取り上げていただきました。

当時、ネットの某掲示板に「アニメイトに老舗聖護院の商品が、しかもまどかで!」「安定の聖護院クオリティ」などと書き込まれ、300年を超える老舗の生八ッ橋がアニメショップやコミケに並んだことが話題になり、聖護院さんやメイトさんも含めた関係者でリンクをまわして、してやったりと大喜びしたのが思い出です。

まどか八ッ橋のニュースは、和装キャラのかわいさや商品改廃もあって、ネット上でずっとニュースになり続けました。予算ゼロで、京まふの大変な告知効果になりました。

次にチャレンジしたのは、ネット上でのマンガプロモーションです

2014年1月から、キュレーションサイトのマンガHONZでマンガ書評を書かせていただくようになりました。コルク佐渡島さんのお誘いでしたが、まさか自分があのホリエモンと仕事をすることになろうとは。

ここ一年半ほどの試行錯誤も効き、愛すべきレビュワーの皆さんの努力で、マンガHONZもスタート時からは考えられないPVとなり、かなりの数のマンガを売るパワーを身につけてきました。

文章の書き方、ネットでの話題の作り方も重要でしたが、Webサービスがどうやって大きくなっていくのか、スマートニュースやニュースピックスなど、他のサービスとの関係性など、ネットビジネスの最前線はとても勉強なりました。

マンガHONZは、春に始まった「マンガサロントリガー」や、これから始まるマンガキュレーションアプリ「マンガ新聞」など、規模も形も今年の年末にかけて大きく変わっていきます。

 そして、ここ1年力を入れてきたのが、トキワ荘プロジェクト自前のイベントです。

MDC:マンガディベロッパーズカンファレンス:セミナーレポート

デジタルコミックの現状や未来を語るセミナーには、amazonさん、comicoさん、鈴木みそさんにご協力いただき、大変盛況かつ豪華なレポートになっています。また、国際漫画賞「京まふ漫画賞」や、4年目を向かえ59編集部を迎えた出張編集部@京まふは、最大規模になりました。この辺りの成功が、今回のイベントへ踏み込む、試金石となっています。

 マンガディベロッパーズカンファレンスとは?

3年ほど前、今回セミナーにも登壇していただく柿崎さんに、ゲーム業界には、世界中からゲーム関係者が2万人も集まる。ゲームディベロッパーズカンファレンス(GDC)というものがあると教えていただきました。

実際、2014年3月の開催には私も視察にいってきました。

[毎年3月にサンフランシスコで行われるGDC(写真は2014年)の様子。インディーズゲームのアワード、最新技術のExpo、なんと言っても5日間で200を超えるセミナーからのセミナー。懐かしのゲームコーナーもあれば、最新のヘッドマウントディスプレイ体験まで。真面目なお祭りです。]

GDCは、ゲームに関わる全てのプロが集まり、その内容について、セミナーを行い、会議し、最新技術の発表、人材採用や、独自のゲームアワードを行うなど、業界発展のためのあらゆるものが詰まっていました。

私が注目したのは、このイベントが約30年前にアメリカで始まった点です。

アメリカのゲーム業界にとって約30年前とは、丁度アタリショックがあり、NINTENDOが北米を席巻し、アメリカゲーム界が世界トップから凋落した頃です。この大変化に危機感を持った彼らは、最初は20人の会合がから始まり、今では2万人の世界規模のイベントとなるまで、GDCを育てました。ゲームファン向けイベントといえば、E3という数十万人規模の世界最大のイベントがありますが、GDCは制作販売資金調達、研究、学生まで含めたプロ向けです。

何より、GDC開催中の1週間に行われている交流は、昼に夜にとても濃密なものでした。これこそが、8兆円産業のゲーム業界の今の強さに結びついているのだなと肌で感じました。

ゲームの大変化に対応したのがGDCであったなら、マンガの大変化にMDCが必要だと考えました。

そこで始めたのが、今回のMDC:マンガディベロッパーズカンファレンスです。

有名人のありがたいセミナーではなく、有名無名問わず、実務を追いかけてきた私自身が、実務家として優れていると思った人を呼び、深く掘り下げ、参加者の皆さんにヒントやチャンスを提供すること。を、大目的として場作りをしていきます。

まずは小さく、敢えてある程度の価格にして、本気の参加者を募り、現実的に継続可能なイベントとして大事に育てていきたいと考えています。

ご趣旨にご賛同いただけた場合、様々な連携が考えられますので、ご連絡いただけますと幸いです。

ですが、最もありがたいご支援は、これから半年間のセミナーに実際にご参加いただくことです。

単純にセミナーで売り上げが上がれば良いというものではありません。ご参加いただいた方々の議論が盛り上がり、仲間が出来て初めて成功に一歩近づきます。

長い時間かかるものと覚悟していますが、これまでの経験を全て出し、濃密なものにしていきたいと考えております。是非、興味を持っていただき、ご参加いただくことで、価値を上げて行きたいと思います。

日本のコンテンツ産業にとって、漫画はその大元になるコンテンツの母とも言える存在だと考えています。この発展は、全ての人に恩恵を与えるものと信じています。

また、デジタル化は、これまで漫画を作ってきた漫画家や編集者、多くのプロのほかに、IT産業、イベント、商品化、海外展開など、多くの関係者を増やしてきていますが、漫画に関してこの全ての人たちが風通し良く交流でき、話あいを持てる場は、今のところ見当たりません。

多くの方が、それぞれ漫画に強い思い入れを持っていることは重々承知しておりますが、私は皆様と戦うのではなく、空気のような存在で、本来の仕事であった新人漫画家、若者の未来に繋がる仕事をしたいと真摯に考えています。何卒よろしくお願いいたします。

以下は、トキワ荘PJで発刊している漫画家支援研究書籍です。漫画家支援のための書籍4冊を作ってきました。以下は最新作、現役プロや、

マンガで食えない人の壁 -プロがプロたる所以編-
作者:NPO法人NEWVERY内 トキワ荘プロジェクト
出版社:NPO法人NEWVERY
発売日:2014-11-11
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 この本のレビューはこちら。

尾田栄一郎先生もうなずくプロ漫画家対談集
『マンガで食えない人の壁 -プロがプロたる所以編-』

- Blogの名前を「漫画の真ん中」と変更しました。
日本のマンガのど真ん中を突いていきたいと思います。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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出版社:中央公論新社
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