女子校生が教室で下着を見せ合いっこするランジェリー同好会『葛城姫子と下着の午後』 670円(Kindle463円)で合法的に覗ける秘密の花園

兎来 栄寿2015年10月27日 印刷向け表示
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葛城姫子と下着の午後 (ビームコミックス)
作者:畑田知里
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2015-10-15
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いつだって、誰かや何かを心から愛して情熱的に滔々と愛を語る姿を見るのが好きです。その語っている時の瞳の輝きを見るのが好きです。その人の魂が生き生きとしているのを感じられるのが好きです。

今回紹介するこの作品は、作者の畑田知里先生のそんな様子が紙面から伝わってくるようなマンガです。そう、このマンガは「下着マンガ」。可愛い下着を賛美し、お互いに見せ合う「ランジェリー同好会」を描いた作品なのです。マイナー部活を描くマンガが隆盛を極める昨今ですが、その中でも極北。

このランジェリーの刺繍のカケアミを描いている時、レース模様を描いている時、畑田先生の魂は黄金色に煌やいていただろうなぁと思わずにはいられない。そんな、あまりにも下着への愛に満ち満ちた一冊です。

愛。溢れる愛。

突然ですが、問題です。

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

本作のヒロインである葛城姫子さんは、この場面で何故泣いてしまったのでしょう。

少しお考え下さい。

5、

4、

3、

2、

1、

0。

答は

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

「着け心地最っ高のブラジャーに出会えて感動したから」

私は感動した!

「着け心地最っ高のブラジャーに出会えたことに感動し涙を流して喜ぶ少女」を描いたこのマンガに出会えたことに感動した!!

世界のどこかに確かにある、しかし今までは切り取られて来なかった感情の動き。それが、こうして物語に落とし込められ、作品として成立している。そんな奇跡に立ち会える歓び。それは、物語体験の普遍的な歓びでもあります。

多分、私たちの中にはどこかに人前で下着について語ることへの躊躇い、気恥ずかしさがあります。それらを全て笑顔で取り除いて、高らかに惜しみなく下着への愛を謳う姫子たち。あまりにも素晴らしいです。崇高とさえ言えるでしょう。

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

ガーターベルト先輩はいつだって大切なことを教えてくれます。

「ガーターはパンストと違ってムレないからとても快適」。

ここ、期末に出ます。

何を履けるのか。何を脱がすのか。

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

本作の主人公の明日美は、かわいい下着に憧れながらもスポーツブラしか持っていない少女。男みたいな自分にはかわいい下着なんて似合わない……と諦めを抱いています。

しかし、そんな明日美のような子に下着の素晴らしさを伝道するのが姫子たちランジェリー同好会。

「可愛い下着を見せっこできたら楽しいですよね」と遠巻きに諦め顔で言う明日美に、姫子はこう返します。

「でも私は普段着けてるだけでも楽しいわ」

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

諦める必要なんて何もない。もし、あなたが可愛い服を着るのに抵抗があるとしても、可愛い下着を履くことに何の障害があろうか。

下着は普段は人からは見えないモノ。そこに、最高の「可愛い」「セクシー」を纏う。それは、日本人が古来から大切にして来た普段見えない部分にこそ気を遣う美意識にも共通するものを見出だせます。

下着を身に付けるという行為は物理的なものでありながら、極めて精神的なもの。

はっきり言ってしまえば、「下着は心に纏うもの」なのです。

赤木しげる風に言うと、「オレたちが今履いたり脱いだりしてるのは実は下着じゃねぇんだ。プライドなんだ」ということです。

見えないところに最高の一枚を纏って、凛としてこの世の苦難に立ち向かって行く。そこには人間の素晴らしさが詰まっていると思いませんか。

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

下着は流行や人の目を気にする必要がないわ

どうせなら好きなのを着ちゃいましょう!

お気に入りの下着を付けたら鏡の前に立ち

「似合ってる」と鏡に向かって言ってみて

そうすればきっと自分のことを

好きになれるはずよ

姫子の言葉と最高の表情が全てを物語っていますね。

本当に大切なものは目に見えないんだ。

I pray, pray to bring wear the New Days

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

透けレースは「視線誘導装置」だったッ!(エイジャの赤石の真価を知ったジョセフ顔で)

見えないモノを見ようとして覗きこむのもまた人のSaGa。

男性の皆さんは普通には触れにくい知識も、随所で得られます。あとがきには、人間社会的に大変重要な片手でブラのホックを外す方法も。

『葛城姫子と下着の午後』畑田知里

クーパー靭帯を守り、おっぱいをキレイな形で保つためのナイトブラの重要性も説かれます。ナイトブラはたとえるなら土砂崩れを防ぐ擁壁。ンっン~、名言だなこれは。

71%の女性が間違ったサイズのブラジャーを付けているという調査が話題になりましたが、男女ともにこの本を読んで自分に合った下着を選ぶことの大切さへの意識が高められれば、様々な面で世界が少し良い方向へ向かうと思います。

最後に、これだけは言っておきます。

私はガーターベルトが好きです。

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