最高の青春群像劇には、キャラクターたちのドデカイ化学反応が生まれる!モラトリアムファンタジー漫画『テンプリズム』 大人になりきれないあなたに捧ぐ!少年少女たちの濃密な世界。

有馬 翔馬2015年10月29日 印刷向け表示
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テンプリズム 1 (ビッグコミックス)
作者:曽田 正人
出版社:小学館
発売日:2014-08-29
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub


精神的な面で子供から大人へと変わる時期。それは人それぞれ違うと思います。かくいう僕は、22歳で絶賛モラトリアム中でござる!

今回、そんな僕が紹介するのは、曽田正人の最新作『テンプリズム』という作品。

本作は、今年でデビュー25年を迎えたベテラン漫画家の作品とは思えないほど若い気持ちの宿った作品だ。(僕の人生よりも曽田さんの漫画家人生の方が長いのに!)まだまだ大人になりきれていない人や、自己形成に苦労した方にぜひとも読んでいただきたい。

ファンタジーであり青春群像劇である


主人公の十(ツナシ)は、亡国の王子であり、大きな謎の力を秘めている。そして、ツナシが骨(ぐう)の国というテクノロジーの力を持った大国と戦い世界を救うというのがだいたいのあらすじ。しかし、この戦いの渦中にいるメインキャラクターたちは全員10代!(詳しくは、曽田正人公式サイトよりご確認ください)若いにもかかわらず、大きな力と権力を持った少年少女たちがそれぞれ葛藤を持ち、ぶつかりあってドラマが生まれていく。お互いの言葉で感情や人生が揺れ動いていく彼らの姿を見ていて、モラトリアムの僕は猛烈に苦し楽しい気持ちになってくる。

本作は、文明と文明のぶつかり合いなど、大きなテーマを持っているが、それよりも僕は、魅力的なキャラクターを知ってもらえれば、読みたくなるに違いないと思う!


<オールカラー版『テンプリズム』第1集>

 今回ご紹介するのは、右側にいる3人の少年少女です!


1. 自他共に認める中身が空っぽの王子・ツナシ(主人公)

本作の主人公ツナシは、潔い空っぽさなんです!

<オールカラー版『テンプリズム』 第2集>

こんな空っぽな彼は、亡国の王子であり、とんでもない力を秘めている。今のところ、彼の右に出る者がいない。だが、大きな力を持つゆえに、周りからの期待も高くなる。そして、大きな力は彼に葛藤を生み出すのだ。

<オールカラー版『テンプリズム』第4集>

自分の目指すべきものがわからないにもかかわらず、誰にも止めることのできないような巨大な力を持った彼は、この力をどう活用していくのかーー。ツナシにも、物事の考え方というものはもちろんあるが、目指すべきものが定まらないゆえに、他人の言葉に揺れ動かされ、人生に摩擦が生まれていくのだ。これから彼がなにを目指していくのか、どういう答えにたどり着くのかすごく楽しみだ!


2. 達成したいことがあるのに、実現する力がない無力な脇役アップン

アップンは、骨の国の脱走兵であり、育ての親と両親を骨の国に殺されている。復讐をしたいと思っているが、大国の力を前に何もできずに立ち止まっている。

<オールカラー版『テンプリズム』第2集>

しかし、ツナシの物事の考え方や大きな力に触れることで、戦うことを決意する。これぞ群像劇の醍醐味だ。それぞれに葛藤を持ったキャラクターたちにより生まれる化学反応。今後、無力な脇役アップンがどういう成長を遂げるのか。持たざる者がどういうふうにして成長していくのかーー。特に、僕はアップンが大好きなので、もっと出番を増やして欲しいなんて思っているが、気長に彼の活躍を待ちたいと思う。



3. 圧倒的な力を前に、今までの努力が否定される美少女ニキ

ニキは骨の国で天才少女と呼ばれる存在である。だが、天才と呼ばれているにもかかわらず、彼女は過酷な生活をこなしていくことで、確実に力を身につけていく。努力をする真面目な女の子。

<オールカラー版『テンプリズム』第3集>

努力とはなにか?成果はでたが、その本当の要因とはなにか?彼女は自分自身をどう分析するのか。その考え方の違いで、ツナシ勢力たちと摩擦が生まれていく。ニキは、自分自身とどう向き合うのか。ツナシやアップンとまったく違う考え方を持つニキがたどり着くものとは。かわいいから、すごく気になっちゃう!
 

葛藤を抱えた少年少女たちがたどり着くものとはーー。


このように様々なキャラクターたちが、大きな渦の中で、それぞれの立場から抱えた葛藤が描かれていく。そして、彼らの葛藤が複雑に交差するとき、化学反応が生まれていく。その反応とは一体どのようなものなのか。ファンタジーという巨大な世界観の中で描かれるリアルな少年少女の生き様は、確実に僕の人生の糧になる作品になっていく予感がする。

僕もそろそろ社会人としての自覚を持ったないといけないと思うのだが、まだまだ時間はかかりそうだ。ちなみにこの作品は、モラトリアムな人以外にも腐女子の方(男と女にだってBLは成立するんだよ……『テンプリズム』で熱くなる、夏)も王道ファンタジーが好きな方も楽しめて、守備範囲が広い作品となっていますので、ぜひ!

そして、10月30日に第6集が発売されるが、新しいキャラクターも登場し、どんどん少年少女たちの葛藤とドラマが加速していく。大きな化学反応が起きることを期待!

テンプリズム 6 (ビッグコミックス)
作者:曽田 正人
出版社:小学館
発売日:2015-10-30
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  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
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テンプリズム 1 (ビッグコミックス)
作者:曽田 正人
出版社:小学館
発売日:2014-08-29
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
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テンプリズム 2 (ビッグコミックス)
作者:曽田 正人
出版社:小学館
発売日:2014-11-28
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
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ちなみに『テンプリズム』はモノクロ版とオールカラー版(Kindleのみ)の2つがあるが、電子書籍で買うのであれば、断然オールカラーにしていただきたい! 彼らの化学反応を視覚的により楽しむことが出来るし、とにかく美しい。

テンプリズム[オールカラー版]6
作者:曽田正人
出版社:コルク
発売日:2015-10-30
  • Amazon Kindle
テンプリズム[オールカラー版]1
作者:曽田正人
出版社:コルク
発売日:2014-08-29
  • Amazon Kindle
テンプリズム[オールカラー版]2
作者:曽田正人
出版社:コルク
発売日:2014-11-28
  • Amazon Kindle

また、僕がコルクで担当している羽賀翔一が描く『ケシゴムライフ』は、小説のような読後感あふれる青春群像劇となっている。学校を舞台に絶妙な化学反応が生まれていく。

ケシゴムライフ (トクマコミックス)
作者:羽賀翔一
出版社:徳間書店
発売日:2014-11-07
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そして、羽賀の最新作『ダムの日』が10月28日〜11月4日の1週間限定で羽賀翔一公式サイトにて無料公開中。ぜひ、試し読みを!
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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
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