メーテルは『銀河鉄道999』で、いったい何回脱いだのか? 思春期男子のニーズ満たしまくりな松本零士先生の「ずるさ」をアナリティクスしてみた

刹那の見斬り2015年11月15日 印刷向け表示
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銀河鉄道999(1) (ビッグコミックス)
作者:松本零士
出版社:小学館
発売日:1997-04-30
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 今回から、レビューを書かせていただくことになりました、刹那の見斬りと申します。よろしくお願いします。

 第一回のお題は「銀河鉄道999(スリーナイン)」。松本零士先生の、名作中の名作です。EXILEが映画版の主題歌を歌ったりしたので、若いマンガファンの間でも、よく知られているんではないでしょうか。

 人類が複数の銀河にまたがって生活する未来。恒星間の交通は、地上を走る鉄道にそっくりな「銀河鉄道」によって担われています。人類は機械の体を手に入れた機械化人と、生身の人間とに二極化されており、前者が上級市民的存在となって、生身の人間を抑圧しています。

 母親を機械化人に殺された主人公の星野鉄郎は、謎の美女メーテルから超特急「999号」の乗車券(パス)を渡されます。999号に乗り、アンドロメダ大星雲にある終着駅までたどり着けば、無償で機械の体をもらえるというのです。

 なぜ無償なのか、終着駅はどこなのか、そしてメーテルの真意と正体とは――と、こんなストーリーのSFです。

ストーリーをよく覚えていない(個人的)理由

 マンガ版は、1977年から1981年にかけて「少年キング」(少年画報社)に連載されました。同時並行でテレビアニメ、劇場映画(「銀河鉄道999」「さよなら銀河鉄道999」)にもなり、1974年の「宇宙戦艦ヤマト」(本作と同じく松本零士が制作に関与)、1979年「機動戦士ガンダム」と並び、初期のSFアニメ・マンガブームを牽引した歴史的作品です。

 僕は現在47歳で、1977年の「スター・ウォーズ」公開がきっかけとなって始まったこのSFアニメ・マンガブームを、子供時代にリアルタイムで体験しています。「銀河鉄道999」の連載時は9歳〜13歳。まさに思春期まっただ中ですね。

 同世代のほとんどの男の子がそうであるように、僕もご多分に漏れず、このあたりの作品にハマりこんだわけですが、「銀河鉄道999」のマンガ版は、あまり細かいところは覚えてなかったです。

 「ヤマト」や「ガンダム」、あるいは「マジンガー」「ザンボット3」とか同時代の他の作品は克明に覚えているので、どうしてかな〜と不思議だったんですが、今回このレビューを書くにあたって読みなおしてみたら、その理由がわかりました。

 「エロ」です。

『銀河鉄道999』(小学館)より

 

『銀河鉄道999』(小学館)より

 メーテルがエロすぎて、他の要素が目に入らない! なんならサービスシーンだけ「飛ばし読み」してるまであります。

 40を超えた今では、当時の気持ちを正確に再現するのは困難ですが、何しろ、「昭和」のどまんなか、ネットでその手の写真や動画が簡単に手に入る今と違って、「エロ」のハードルは、非常に高かったのです。

 そんなエロ不毛な中、ちょっとひねくれた小学生にとって、「ジャンプ」「マガジン」と違って、ちょっとアウトローな香りのする「キング」というのは、あからさまなエロ野郎と見られないで、「目的」を果たせる、微妙な立ち位置だけに、いろいろ捗る媒体だったわけです。

 そのあたり、「ルパン三世」とちょっと似てるような気もしますが、とにかく、当時のメーテルがエロすぎて、他の要素が記憶に残らなかったようです。

 しかし、今読み返してみて、それも無理はないと思うんですよ。メーテルさん、あまりにもサービス良すぎ。

 毎号毎号、チャンスがあれば必ず脱ぐ、チャンスがなくても、ちょっと不自然でも脱ぐ。「脱ぎのエキスパート」といっても過言ではない。

 どんだけかというと、はっきり聞かれてもないのに「脱ぎますか?」と、暗に自分から、相手に持ちかけちゃうくらい。

『銀河鉄道999』(小学館)より

 よりによって「私では?」。どんだけ脱ぎたいの?w

 あるいは、「私を見て!」パターンもあります。

『銀河鉄道999』(小学館)より
『銀河鉄道999』(小学館)より

『銀河鉄道999』(小学館)より

 いやあ、これは、うぶな小学生には毒ですわ。古い言葉でいうと、鼻血ブーですわ。

 なんかこの「脱ぎ」が「必殺技」みたいになってるコマもあったりもして。

『銀河鉄道999』(小学館)より

 僕は普段ウェブの仕事してまして、毎週毎週PVとか売上の数字をExcelでまとめて報告する、いわゆる「アナリティクス」が業務の一つだったりするので、今回、この「脱ぎ」を含めた「999」の人気の秘密を、アナリティクスしてご報告しますね。

分析1)メーテルの「脱ぎ」の推移を報告せよ

 はい、どぞ。

 

 このグラフは、「銀河鉄道999」(小学館版)の全91話を、目の皿のようにして調査した結果です。「フルヌード」「セミヌード(下着)」「水着」の3種類に分けて、まとめてみました。

 ついでに「お風呂シーン」も入れてあります。この場合、「お風呂シーン」は、お風呂のドアから少し腕が覗いたりするのもカウントしています。

 一話の中で二度、三度脱いでる場合は、別々にカウントしてあります。

 これ見ると、けっこう波があるのがわかりますね。

 第1話「出発(だびだち)のバラード」。この回は、なんと二回も、フルヌードになってらっしゃいます。

 その後、二話分お休みしますが、第4話「タイタンの眠れる戦士」、第5話「大盗賊アンタレス」と連続して下着シーンを披露。当時、やきもきしたファンは、きっと胸をなでおろしたことでしょう?

 その後もコンスタントにこつこつと実績を積み上げたうえで、後半、怒涛の進撃があります。

 第76話では、フルヌード、セミヌード、お風呂シーンの三連チャン。第77話では、別の時空のメーテルが出現するのですが、その並行宇宙のメーテルと、二人そろって披露。ストーリーも終盤にかかってきて、ブーストした感があります。

 のべ「脱ぎ」数は、34。これを、全91話で割った「平均脱ぎ率」を求めてみますと、37%という驚くべき数字が出てきました。

 こちらはお風呂シーンをいれてないのですが、お風呂シーンを入れると、驚異の54%!

 単純計算(お風呂で脱いでる場合は重複して数えている)ではありますが、およそ二話に一回は、「脱いでる」計算となるわけですw

「ラーメン」「ビフテキ」という飛び道具 

 読者の潜在ニーズに忠実にお応えする作者の松本先生のサービス精神は、「エロ」以外にも見ることができます。

 この作品、「食マンガ」としての側面も大きくて、特に「ラーメン」「ビフテキ」(すでにこの呼び方からして懐かしい。「立ち食いステーキ」なんてなかった昔は、ステーキはごちそうでした)の存在感が半端ないんですよ。

 たとえば、こんなシーン。

『銀河鉄道999』(小学館)より

 こんなシーンも。

 

『銀河鉄道999』(小学館)より

「うふ」。なんかいいですねw

『銀河鉄道999』(小学館)より

 一見、高級なホテルのレストランのようですが、そこでも食べてるのはラーメンライスw

 全巻見なおしてみましたが、「ラーメン」「ビフテキ」以外のものを食べているシーンって、ほとんどありません。どんだけ好きなんだか。

 というわけで、こちらも調べてみましたw

分析2)「ラーメン」「ビフテキ」の登場頻度を調べよ

 これを見ると、クライマックスに近づくに従って「ラーメン」「ビフテキ」を食べる頻度が、上がってるようです。

 第69話「アンドロメダの雪女」では、ラーメンのシーンが、三回も出てきます。

 第72話「四次元エレベーター」は、願っただけでどこにでも行けるエレベーターの話で、子供時代の僕のお気に入りのエピソードですが、でっかいビフテキが二回も出てきます。

 まあ、ラーメンへの偏愛は、松本作品に共通する特徴ではありますが、「999」の場合、常連登場人物が少ない(鉄郎、メーテル、車掌さん、999号)こともあって、「常に食べてる」イメージがあるんですよね。

「脱ぐ」「食う」「襲撃される」が基本のストーリー

 まあ好き勝手書きましたが、松本先生の場合、ありがちなラブコメと違ってファンサービスと思われる「脱ぎ」も「食」も、ストーリーにしっかり組み込まれているのがすごいところです。

 「999」の場合、ストーリーに鉄板フォーマットがありまして、水戸黄門のような、いい意味のマンネリズムが、「味」になっているんですね。

 

 

 客観的に見ますと、③の風呂をやめるか、④の外出をやめれば、概ね事件に巻き込まれずにすんだんではないか、と思われる案件が多いんですが……。というか、そもそも999号から降りなければいいのでは(②)……w

 「必然性があれば脱ぎます!」というと、女優さんのコメントみたいですが、脱がせるため、食べるためにわざと事件に巻き込まれているんではないか、というのは、オトナのいやらしい勘ぐりでしょうか……。というか絶対わざとですよね。先生、あざとすぎるw

 まあ何にも事件が起きないと、たぶん91話ももたなかったと思うし、ひたすら車掌さんや999号との会話が続くという、日常系ほのぼの鉄道旅行な展開になりかねず――「がっこうぐらし」ならぬ「てつどうぐらし」?――それはそれで見てみたい気もしますが……。

 ちなみに、⑧の「教訓、振り返り」というのは、コレですね。なんか「人間だもの」っぽいな。

『銀河鉄道999』(小学館)より


まとめ

「性欲」と「食欲」という思春期少年の二大欲求に徹頭徹尾マッチングさせた作品づくり。

そのあざとさは、国民的人気作品というのはこうやって作るんや! というお手本を我々に見せつけてくれたように思います。 

(おまけ)「まつげ」の謎

 あとこれは、余談なんですが、「999」や他の松本作品に出てくる女性の、あるポイントが、長年気になってます。

 それはこのながーい「まつげ」。

 

『銀河鉄道999』(小学館)より

 前から見てもすごいですが、時にこうして、後ろからも覗けたりする(下記はメーテルでなくてすみません)。

『銀河鉄道999』(小学館)より

斜め後ろから覗けるほど長いまつげって、すごくないですか? というかいくらなんでも、これは非現実的じゃないですか……?

まあ、しょせんフィクションですからね、、、。現実味がないのもしかたないか……。

って、ほんとにそうなんだろうか?

この原稿まとめてる途中に、長年の疑問に決着をつける日が来たような気がしまして。

ちょっと実験してみました。

近くのドンキの化粧品売場で、女性客に不審者扱いされながら……なるべく安いつけまを選んで買って参りました!

うん?

  おお?

 あれれ? 

 かなり後方からも見えました。。。

 松本先生すみません! 僕が不勉強でした!

【結論】松本女性キャラのまつげは間違ってない。

 47歳男子、つけまデビュー。
お粗末さまでした!

(※もしかして、女性には常識……?)

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