自分と友だち、そして成功への「信頼」そんな青春バンド漫画『BECK』

青木 健太2015年11月16日 印刷向け表示
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BECK(1) (KCデラックス 月刊少年マガジン)
作者:ハロルド 作石
出版社:講談社
発売日:2000-02-15
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この記事を書くためにググるまでは「リフ」がなんだかも知らない音楽素人でした。そんな僕でもこの漫画のライブシーンを見ているとまるで音楽が聞こえてくるかのようで鳥肌がたってしまいます。改めて読み直してみると、自分が起業して事業を進めていくための大切なことを思い起こさせてくれました。元気がほしいとき、信じている道を進む勇気をほしいときにオススメの漫画です。

『BECK』はさえない日常を送っている高校生のコユキこと田中幸雄が、最強のバンドを作ると意気込んでいるアメリカ帰りの南竜介と偶然出会い、共にバンドを結成するところから始まります。業界で大きな影響力を持つ蘭やレオンサイクスとの戦い、仲間同士の関係性の変化など様々な困難を乗り越えて成長して行く様子を描いた青春バンド漫画です。

そのサクセスストーリーを見ていると、どうしても主人公達の才能や努力に目が行きがちですが、実は「信頼」こそがこの漫画を貫くメッセージなのではないでしょうか。何故BECKは成功したのか、コユキは努力をし続けられたのか。それは二つの「信頼」に支えられたからこそなのです。それは自分のインスピレーションへの信頼、そして仲間への信頼です。

己のインスピレーションを信じ、獣道を行く勇気。自分にはこれしかないから、と自分を追い込んでいくシーンは自分の音楽性を信じ切れず道を踏み外していくライバルバンドとの対比で鮮やかに描かれています。

 
ハロルド作石『BECK』26巻
バンドメンバーが自分のインスピレーションへ従って生きる気持ちを告白しているシーン。

特にコユキが高校を中退するシーンは、僕自身が起業して大学を中退したせいか、すごく感情移入してしまいました。これしかない、と思ったときに自分の可能性を信じて、レールを外れていくことは勇気のいることです。 また他人を信頼する勇気はこの漫画の至る所で描かれている大きなテーマです。バンドの仲間同士の信頼、特にサクとコユキの信頼関係は思わず憧れてしまいます。 


ハロルド作石『BECK』33巻

ドラム担当のサクが信頼するコユキの役に立とうと努力を重ねるシーン

 
バンドを支えるスタッフとの信頼関係も非常に丁寧に描かれていて、娘を持つ僕が思わず涙してしまったのは、BECKを信じ会社を立ち上げたプロデューサーが自分の娘に「コユキ」と名前を付けていたことがわかるシーンです。

ハロルド作石『BECK』20巻
 
 

たとえ世間とずれていたとしても、自分を信じてみます。そして、インスピレーションに従って生きている仲間を信頼し、その信頼がバンドとしてのケミストリーを生み出します。努力も才能もその後に続くプロセスだということをBECKが教えてくれたように思います。

そして、あえてもう一つの「信頼」をあげてみるとしたら、作者の「漫画と音楽」の持つ力への信頼かもしれません。当時大きくヒットした音楽漫画が多くない中で、バンド漫画の金字塔となった本作品、手がけるのは勇気がいることだったに違いありません。本作で描かれる世代を超えて継承していく音楽のスピリットと同様、この漫画の挑戦も昨今のバンド漫画にも受け継がれているような気がします。

何か違和感を感じながらもなかなか大きく踏み出せない、世間のレールを外れる怖さを感じる方にこそオススメの本作。アニメ化もされたので、ご存知の方も多いとは思いますが、Kindleでも34冊まとめて購入できますし、この機会にまた読み直してみると違った感動があるかと思います。

 
ハロルド作石 『BECK』33巻

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