集団に個を埋没させて寂しさを癒やす輩はぶった切る!知の広域指定暴力団『インテリやくざ文さん』

角野 信彦2015年11月29日 印刷向け表示
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インテリやくざ 文さん
作者:和泉晴紀
出版社:鉄人社
発売日:2014-08-22
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インテリとは常に考えすぎて現実まで歪曲させてしまう人のことではないか。「インテリやくざ」と言われる文さんは常に考え続けている。恐ろしいまでに考えている。

文さんは、友達のTVディレクターにお弁当工場の撮影をお願いされると、食品添加物の数々、サッカリンナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウムから青色一号まで、投入される添加物すべてを映像に収め、放送してしまう。そして、その後その友達のディレクターは・・・

和泉晴紀『インテリやくざ文さん』1巻

またまた文さんは考える。
彼は「すべらんトーク」という番組で、すべらなかった話を「認定」し、スタンプを画面上に押す仕事を任される。そして、すべっているのに、「すべらんなあ」と反対のことを言っている芸人、同じことを何回も聞いているはずなのに面白そうに聞いている芸人、つまらないネタに大笑いしている観客の有名芸能人の演技に、「面白い」と「認定」スタンプを連発するのだ。

和泉晴紀『インテリやくざ文さん』1巻

さらに文さんは考える。
「国際交流っていいよね」「俺ら国際人って感じだよな」と話している若者たちを、日本にある外国に連れ出し、交流させようと考えるのだ。日系ブラジル人が働いている工場の製造ライン、ホステスが「シャチョーサン」に連れだされそうになっているフィリピンパブ、中国人が経営するパチンコの裏ロム密売所、追加料金で本番行為をしているタイマッサージ店を紹介し、国際交流を促進するのだ。

和泉晴紀『インテリやくざ文さん』1巻

このように、人は常にアイデンティティを集団に溶けこませて寂しさを紛らわせている。空気のように中身の無い「国際交流」に自分のアイデンティティを求める、その「甘え」を文さんは絶対に許さない。『インテリやくざ文さん』は、実は身も蓋もないホンネがあなたを群衆のなかの孤独から救い出してくれるということを教えてくれる。

インターネット時代に「インテリ」であるということは、何かを知っていることではなく、文さんのように「常に考え続けている」ということなのだ。
 

インテリやくざ 文さん2
作者:和泉晴紀
出版社:鉄人社
発売日:2015-11-11
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