まだ何者でもないあなたへ。"30歳・職業不詳・夢は巨人の4番バッター"の『花男』に学ぶ、自分を疑わない力。

小西 康高2015年12月01日 印刷向け表示
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花男 (1) (Big spirits comics special)
作者:松本 大洋
出版社:小学館
発売日:1998-10
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 「将来の夢」というものは、いったい何歳まで語ることが許されるのだろうか。自身のことを振り返ってみると、幼稚園生の頃のパン屋からはじまり、ムツゴロウ王国のオーナー、バーテンダー、映画のバイヤーなど様々な職業をこれまで夢見てきた。

そんな自分も大学を卒業後、なんとか希望通りの職に就職し、その後紆余曲折を経て、気づけば29歳。ずっと自分のことを若手だと思っていたが、得意だった徹夜が最近身体に堪えるし、どうもおっさん化が着々と進んでいるようで、夢を語るのはちょっと恥ずかしい年齢になってきた。

同世代をみると、ダルビッシュ、本田、長友、五郎丸などの第一線でバリバリやっているスポーツ選手や、石原さとみなどの人気芸能人、注目事業を牽引する起業家などがおり、彼らと比べて、まだそれといって大きな成果を残していない自分が取るに足らない存在と感じる時もある。ああ、こうやって自分の夢と現実との距離感がわかり、30歳くらいで帳尻を合わせ、人は夢を語らなくなるのかなあ、ということが少しずつ分かってきて、ちょっと寂しい気もしている。

そんな僕と同じようなモヤモヤ感を抱えたあなたにおすすめしたいのが、松本大洋の『花男』だ。

『花男』は、30歳の花田花男と7歳の花田茂雄の親子の物語。離れて暮らしていた真逆の性格の二人が、夏休みに一緒に暮らすことになるところから物語は始まる。

「将来の夢は巨人の4番バッター」。これは7歳の茂雄の夢ではない、30歳の花男の夢だ。

松本大洋『花男』1巻

そんな大きな夢を持つ花男だが、実際は定職にもつかず、地域の草野球で活躍するくらいで、あとは日々ふらふらしている。普通に考えて、完全にあぶない人だ。きっと近所にこんなおじさんが住んでいたら、すごく警戒するはず。

そんな花男だから、もちろん一緒に暮らすことになった茂雄に対して、親としての教育らしい教育ができるはずもない。いつでも野球のユニフォームだし、なぜか授業参観では、カールを食べ始めちゃう。確かにカールはおいしいけど、この状況は完全にまずい。

松本大洋『花男』2巻

自分の父親がもし花男みたいな人だったら、なるべく人に会わせたくない。が、そんな
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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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