超エグいのにやめられないほど面白い『ミュージアム』3巻完結の傑作!

佐藤 樹里2016年11月11日 印刷向け表示
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(明日!11/12映画版『ミュージアム』公開記念!)

 

人は話の7割に共感すると、気が合うなと感じたり、いいアイデアだと感じるらしい。つまり自分がいままで歩んできた人生の経験に近いほど親しみを感じているということだ。そうすると、ちっとも理解のできない言動をする人に対し、おかしい奴だ、狂っているというレッテル貼りをするのも理由がわかる。"共感ができない"から「理解ができない」のだ。

ニュースになっていた凶悪事件について思い出してほしい。犯行動機について「理解ができない」と感じたことはないだろうか。もちろん理解のできない事件ばかりをマスコミが選んで伝えていることも否めない。平成25年度の殺人件数は938件だという。私たちはこのうちの、ほんのわずかな情報にしか触れないし、半数以上が身内の犯行なんて忘れてしまうほど凶悪事件ばかりが記憶に残る。注目するべきは犯行動機・・・その動機が、「理解ができないもの」だったらどうなるだろうか。本作『ミュージアム』には狂っているとしか評せない異常殺人者が登場する。

 

(ミュージアム 第1巻より)
(ミュージアム 第1巻より 母の痛みを知りましょうの刑 3280gのはかりの意味とは?)

異常殺人者はいつも「カエル」の格好をして現れる。ターゲットに対して、「判決の結果 君は有罪」と言い放ち、自己中心的な「私刑」(個人が法によらず、勝手に刑罰を加えること)で次々と人を殺していく。このカエルを警察官が追うというのが本作の筋だ。理解のできない犯人の行動に、こちらまで恐怖感を味わい、ドキドキしてくるので『ミュージアム』はサスペンスホラーと分類されている。細やかで美しい作画と完成されたストーリーは『多重人格サイコ』も思わせるし、一度みたらトラウマになるホラー映画『ソウ-SAW-』を彷彿とさせるが、『ミュージアム』が与えてくれる高揚感は「はやく続きが読みたい」という感情に絞られる。ぐぐっと惹きつけられたあとの読後感も不思議な感覚だった。おそらく読む人によって感想が変わる作品なのだと思う。

(ミュージアム 第1巻より)

異常殺人者は言う。「罪人は刑を受け罪を償わなければならない」
ここでさす「罪」とは、おおよそ私たちが「罪」と認識する円のそとがわの話である。だから"常識の範囲内"では理解ができないし、ストーリーの主要人物も読み手も、大きく混乱するのである。

人は絶対的な異常を目の前にするとどう思うのか?理解できないと思うのか。共感できると思うのか。『ミュージアム』全3巻で、ぜひその体験をしてもらいたい。

 

ミュージアム(1) (ヤンマガKCスペシャル)
作者:巴 亮介
出版社:講談社
発売日:2013-11-06
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公式-内容紹介-

悪魔の蛙男、“私刑”執行。“ドッグフードの刑”“母の痛みを知りましょうの刑”“均等の愛の刑”“針千本のーますの刑”“ずっと美しくの刑”――。すべては、ある1つの裁判から始まった。超戦慄連続猟奇サスペンスホラー、絶望大解禁!!!

 小栗旬さん主演。大友啓史監督の元映画制作も行われている。2016年公開とのことで、現在撮影中だろうか。原作のカメラワークが秀逸なので絵コンテもいらないのではないかと思わせる。こちらも公開が楽しみだ。

映画「ミュージアム」公式サイト

ミュージアム(2) (ヤンマガKCスペシャル)
作者:巴 亮介
出版社:講談社
発売日:2014-01-06
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 ヤングマガジンで連載されていた作品なので、マンガボックスでも配信中。

ミュージアム(3)<完> (ヤンマガKCスペシャル)
作者:巴 亮介
出版社:講談社
発売日:2014-04-04
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ミュージアム コミック 1-3巻セット (ヤングマガジンKC)
作者:巴 亮介
出版社:講談社
発売日:2014-04-04
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