「美味しいか美味しくないかは気にせず」という究極の企画魂!『チロルチョコで働いています』

兎来 栄寿2015年12月14日 印刷向け表示
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こんにちは、マンガサロン『トリガー』店長の兎来栄寿です。

皆さん、チロルチョコは好きですか?

私は小さい頃から、ストロベリー味のゼリーやビスケット味のサクサクとした食感が大好きでした。100円の10個アソートは宝石箱のように見えていました。味が同じでも色が違うピンクと青のビスケット味の包装紙を笑顔で眺めては、どちらから食べようかと楽しく迷ったものです。コーヒーの苦味も最初は苦手でしたが、慣れるとキャラメルが一粒で二度美味しい!(それは別のお菓子)

そして、未だに食べたくなるマスターピースといえば! のっぺりとした顔で、颯爽と登場し一世を風靡したきなこもち味! 大人買い!せずにはいられないッ!!

チロルチョコが好きすぎてDQ5のベビーパンサーの名前もチロルにした結果、ボロンゴ派から謎の迫害を受けました。遠足のおやつを200円に収めるために、チロルチョコと5円チョコがどれだけ貢献してくれたか。

そんな、小さなボディの向こうに様々な思い出を蘇らせてくれるチロルチョコ。

最近では、エヴァンゲリオンの名シーンをプリントしたものや、ROYCEとコラボした商品、きなこもちから続くもちシリーズの最新作しるこもち味なども発売されています。

常に多彩な新商品をどんどん送り出してくるチロルチョコ。一体どんな風に作られているのか?

今回紹介するのは、そんなチロルチョコの全てが一冊で解る、チロルチョコで働くOLのマンガです!


知られざるチロルチョコ伝説その1「社名」

な、なんだって~!?

「チロルチョコ」は「社名」だったッ!

2004年。丁度あのきなこもち味が発売した翌年に、松尾製菓から独立して「チロルチョコ株式会社」となったそうです。なるほど~。やはりきなこもちのヒットが大きかったのでしょうか。

ちなみに、松尾製菓自体は明治の開業で、今年で創業112年の老舗。満州でも終戦まで操業していたというのですから、その歴史に敬服します。

知られざるチロルチョコ伝説2 「社員数」

年に30種類もの新製品が出され、9億円を売り上げるというチロルチョコ。となれば、それなりに社員数が……

と、思いきや30人ほど! 戦争は数だよ兄j……あれ? 

なるほど、少数精鋭で無駄なく迅速に働くことによって、あのスピーディな新製品のサイクルを生み出しているのですね。

ちなみに、本作のヒロインは入社2年目で企画室に配属になった佐藤ちよ。彼女が新商品を企画し、それを製品化するまでの道のりを丹念に描いたエッセイテイストのストーリーとなっています。

知られざるチロルチョコ伝説3 「業務内容」

お菓子を買って食べるのが仕事! 何て夢のようなジョブ! 

チロル社員にジョブチェンジできるクリスタルが欲しくなりますね(マンガに囲まれ、マンガを買うのも仕事に含まれ、幸せに働く私が言うのもなんですけど)。

ただ、ここでは描かれてはいませんが、仕事で行ってるが故の苦悩などもあるのだろうと思います。甘いものばかりを食べ続けるのは想像以上にとても大変ですしね。ただ、それを差し引いてもとっても楽しそう。いえ、むしろ楽しんでやる仕事だからこそ、人を幸せにできるのですね。

火曜日に新製品が出るというのは初耳でした。そういえば、巷で話題になった「ポテトチップス 苺ショートケーキ味」がそろそろ発売でしょうか。怖いもの見たさで一度は食べてみたいです。

 知られざるチロルチョコ伝説4 「チロルの由来」

 

チロルは、オーストリアにあるチロル州のチロル高原をイメージして命名されたそう。

そんな綺麗な所なのか~、行ってみたいなあと思いつつ「チロル高原」でGoogle画像検索を行ったところ、予想外の結果が。

何と、あの「ブラックモンブラン」で有名な竹下製菓がまさに「チロル高原」という名のお菓子を発売してるじゃあないですか! お菓子業界でチロル高原どれだけ人気なの!

しかも「ブラックモンブラン」以上に地域限定なようで、某Q&Aサイトでは

「『チロル高原』は九州限定ですか?」

「九州ですが見た事ないですよ」

という趣深いやり取りがなされていました。

お菓子の画像ばかり出るので、そっと「チロル州」で検索し直すと、雄大で美しい自然の姿が現れ心が安らぎました。

知られざるチロルチョコ伝説5 「5円チョコ」

 

 5円チョコもチロルチョコ株式会社の製品だったとは!!

 地味にものすごく衝撃でした。

「ごえん、おまえもだったのか」と兵十気分。

遠足のおやつを200円以内に収めるための三種の神器の内の二つがチロルチョコ社だったとは。

知られざるチロルチョコ伝説6 「幻の味」

 

 本作の幕間で紹介されるのは、伝説の未発売チロル!

まさか、そんな味が……SAN値は大丈夫だったのか心配になりました。

何味かは、読んで確かめてみて下さい。

知られざるチロルチョコ伝説7 「パッケージデザイン」

え、有名って言われてますけど、ミルク味を組み合わせると一つの図像になるなんて知りませんでした!

麻雀牌デザインのは144個集めて実際にチロル麻雀をしたかったですね。溶けて変形するので、鷲巣麻雀方式でやるのが良いでしょうか。

新型のきなこもちには髪型違いもあるんですね。

その他にも、100個に1個のラッキーチロルのようなものもあるのだとか。コレクション欲を高めるチロルチョコならではの溢れる遊び心が面白いです。

楽しそうに見えるパッケージデザインですが、その裏に隠された苦労は相当なもの。

小さな黒ごまたると一粒が製品化されるまでには、これだけのボツ案が。

焼き芋味のパッケージのシズル感溢れる割れ具合は、フードコーディネーターがつまようじで彫刻師のような細工を施して作られていたものだった……!

デザインや映像関係の仕事に携わっている人間であれば、痛いほど共感せざるを得ないエピソードです。

逆に、違う仕事をしている人から見れば新鮮でとても面白く感じられるのではないでしょうか。

知られざるチロルチョコ伝説8 「社訓」

この本を読んで、一番感銘を受けたのがここです。

「楽しいお菓子で 世の中明るく」

素晴らしい! チロルチョコ素晴らしい!

 「楽しくなければチロルチョコじゃない」 !

思わず拍手喝采を送りたくなりました。

社訓を胸に、頑張るちよの姿に心が洗われます。

チロルチョコに学ぶビジネスの心得

たまにラーメン味などの迷走も見られますが根底には「お客様に楽しく美味しく食べてもらい、明るくなってもらう」というコンセプトが貫き通されているんですね。これはとても大切なことです。何があってもブレない芯、それがチロルチョコにはあるということ。悩んだり迷ったりしたら、美味しくチョコを食べて喜ぶお客様の顔を思い浮かべ、そのために邁進すればいいのです。

そして、そのためにもまず自分たちが楽しく仕事をしようと取り組む職場。何て素敵なことでしょう。こういう会社にこそ心からジョインしたいと思えますよね。

企画部、開発部、営業部、製造部。全ての社員が一丸となって、食べてくれる人が楽しく明るくなるようにと願って作られているチロルチョコ。だからこそ、これだけ長年の間愛され続けているのだと納得できます。

そして、上では迷走と書きましたけれども。

失敗を恐れずまず「何でもやってみよう」とする姿勢。これも非常に大切なことです。とかく、日本の社会では一度失敗したら終わりという風潮があります。しかし、『宇宙兄弟』でも「本気の失敗には価値がある」と言われていた通り。欧米では失敗の数こそ勲章であり、挑戦した証とも言われます。失敗したらまたチャレンジすればいいという、失敗が許される環境。失敗を良しとすることの大切さ。失敗があってこそ、それを乗り越えた大きな成功も存在します。

私がこよなく愛するきなこもち味も、最初は社内でも反対意見が多かったといいます。しかし、それを徹して世に送り出した途端、空前の大ヒットとなりました。年30種もの新作が出される中、きなこもちだけで半年足らずで年商の三分の一以上を売り上げたと言います。失敗を恐れ、無難な味や定番ばかりを出す選択をしていたら、あるいはチロルチョコ株式会社として独立することも無かったかもしれません。

そして、成功を収めた後もチロルチョコは常に飽くなき挑戦を続けています。一度の成功に満足せず、慢心せず、更なる高みを目指して走り続ける。その姿勢には学ぶもの、勇気付けられるものがあります。

一粒のチロルチョコの向こうに

その昔、小学校の国語の授業で「一本の鉛筆の向こうに」というお話がありました。

スリランカのボガラ鉱山で働いているポディマハッタヤさんが削った鉛、アメリカでダン・ランドレスさんが伐採してトニー・ゴンザレスさんが運んだ木、それらを日本の鉛筆工場で加工する大河原さん。今、自分が使っているたった一本の鉛筆すらも、そうした多くの人たちが汗水を流した仕事の末の結晶なのだ、という内容でした。あまりにポディマハッタヤさんの印象が強すぎて今でも忘れられないのですが……。

この本は、正に「一粒のチロルチョコの向こうに」と言える内容となっています。指で摘める小さなチョコレートに懸けられた、人々の想い。これを読むことで、身の回りにある製品への見方も様々に変化するかもしれません。

チロルチョコに興味がある人もそうでない人も、ちょっと変わった仕事マンガを読みたい方にもお薦めです。

伊東フミ先生の絵はかわいらしくて読みやすいので、色々な企業を取り扱ったこういうタイプの他のマンガも読んでみたいですね。

さて、しるこもち味を買いに行きましょうか。

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【マンガHONZイベント情報】
堀江貴文&佐渡島庸平登壇 12月28日(月)マンガHONZ超新作大賞2015 授賞式トークイベント
今年出た一番面白いマンガが分かります。 

日時:12月28日(月)18:30開場、19:00スタート
場所:渋谷 SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)
住所:東京都渋谷区神山町17-3テラス神山1F

参加費:3,000円(ドリンク付き)

※チケットが完売した場合、当日券の販売はございませんのでお早めにご予約ください!
※イベント終了後、堀江貴文・佐渡島庸平を含むゲストを交えた簡単な懇親会がございます!

▼チケット購入はこちらから
http://peatix.com/event/131803/


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今回紹介したマンガを読んでみたい方や、これまでマンガHONZで紹介してきたマンガを読みたい方は、渋谷マンガサロントリガーでお読みいただけます!
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