こんな彼氏もとい"猫氏"がいれば人生順風満帆だ。『オデット ODETTE』に学ぶ"猫的ライフハック"のすゝめ。

園田 菜々2016年01月12日 印刷向け表示
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「猫なんて自分の見たいところしか見ていませんよね。前も後ろも、右も左もありません。猫に学びましょう。人生の大事なことはだいたい猫から学べます。」(村上春樹『村上さんのところ』)

猫はいいですね。低収入の一人暮らしなのでペットで飼うなんていうのは夢のまた夢ですが、道端で野良猫が歩いていると、つい足を止めてしまう。普段銀座に出向くことが多いのですが、銀座の野良猫はどうやらいいものを食べているようで、ずいぶんと毛並みがよくてでっぷりとした猫が多くて、つい惚れ惚れとしてしまいます。

猫好きというのは、特に猫を飼っているひとというのは、どこか他の動物好きのひとたちとは性質が違うように思うことが多々あります。それはもはや、「愛でる」や「萌える」という次元ではなく、「崇拝」や「憧憬」に近いような。気まぐれでしがらみがなく、つんと我が道を行くようなマイペース、そんな猫の生き様に惚れているひとが多いように感じるのです。

生き様に惚れるだなんて、もはやそれはペットというよりも"生涯の伴侶"として添い遂げたいレベル。猫とともに手をとりあい、ずっと生きていきたい。そんな日本各地の猫好きの願望(?)を具現化した漫画『オデット ODETTE』をご紹介。

オデット ODETTE(1) (ポラリスCOMICS)
作者:日当貼
出版社:ほるぷ出版
発売日:2015-02-14
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

これからの時代はもう彼氏ならぬ"猫氏"だ。

この作品は、ただひたすら主人公の多恵ちゃんと、その彼氏である"猫氏"のデートが描かれているという、あらすじだけ聞くと非リアにとってはすこぶる殺傷能力の強そうな漫画。

ただ、これはもうラブラブ具合に憔悴するよりもまず、猫氏のイケメン紳士っぷりに惚れ惚れとしてしまう作品だと断言します。こんな素晴らしい彼氏…もとい猫氏はこの世に存在しないでしょう。いるならもちろん紹介してください。

猫舌の多恵ちゃんにすかさずちょうどいい温度のコーヒーをゆずる猫氏(『オデット ODETTE(1)』)
 
「彼氏が猫???」なんて無粋な疑問を抱いてはいけません。
彼氏が、猫なんです。そうなんです。めちゃくちゃお洒落でスタイルのいい猫氏と、ドジで明るい多恵ちゃんがいろいろなところにデートに行く、そんなほのぼの日常ストーリーなんです。

私の知ってる猫と違う

ただまあ、彼氏が猫かどうかは置いておいて、この作品の最大の疑問というか違和感は、「猫氏がどう考えても猫ではない」という点です。

デート中にもかかわらず漫画を読み始める多恵ちゃんの表情にふりまわされる猫氏 (『オデット ODETTE(1)』)

酔っ払ってぐでんぐでんの多恵ちゃんにふりまわされる猫氏(『オデット ODETTE(1)』)
 
 
 
私「……私の知ってる猫と違う!!!」
 
 
猫っていうのはなんというか、もっとこう、小悪魔的な魅力でこちらを振り回してくる存在というか、こちらがかまってほしいときはつんとしているくせに、忙しくなった途端に甘えてくるみたいな、でもそこが悔しいけど可愛い……みたいな。そういう存在だと思っているのですが、この作品の猫氏は最高に素晴らしい彼氏っぷりを発揮しつつも、多恵ちゃんにふりまわされっぱなし。
 
つい、「野生を取り戻して!!」と叫びたくなってしまいます。いや、猫氏の生い立ちとか知らないんですけど。
 

時折かいま見える猫氏の”猫っぽさ”

安心してください。ちゃんと猫ですよ。

金魚すくいの金魚に思わず反応する猫氏。(『オデット ODETTE(1)』)

ぬいぐるみに夢中の多恵ちゃんに嫉妬している猫氏。(『オデット ODETTE(1)』)

普段は世の日本男児を蹴散らしていくかのような紳士な彼氏っぷりを見せる猫氏も、やっぱり猫。時折垣間見せる"猫っぽさ"がなんだかリアルすぎて、"猫氏"であることに納得してしまいます。

この作品で最も猫っぽいのは誰?

なんていいつつ、猫氏が垣間見せる"猫っぽさ"を凌駕するほどに、自由奔放マイペースに生きるのが、彼女の多恵ちゃんです。いつも一生懸命だけど、ドジで、デートの約束の時間はしょっちゅう遅刻するし、ベンチで日向ぼっこをしているとすぐ寝るし、好きなものに夢中になると他のことが耳に入ってきません。

本屋さんで多恵ちゃんを見かけるもなかなかつかまえられない猫氏。(『オデット ODETTE(1)』)

ド・マイペースな多恵ちゃん。猫氏のフォローあってこそ成り立つカップルだなあなんてしみじみ思います。猫氏、猫っぽさが垣間見えるというよりも、多恵ちゃんと付き合っていくうえで猫っぽさを封印しているのでは?という考えが頭をよぎりました。猫氏の生い立ちとかが知りたい。

猫氏のサポートによりスケートリンクに立った多恵ちゃん。(『オデット ODETTE(2)』)

夜の他愛もない電話を楽しんだあとの「おやすみ」。(『オデット ODETTE(2)』)

……この笑顔である。

誰が見てもお似合いのカップルのこの二人。それは猫氏の気遣いと多恵ちゃんの奔放さが見事にマッチしているからでしょう。猫氏と一緒にいる多恵ちゃんはいつも楽しそうで生き生きとしています。マイペースに愛を育む二人の物語。猫と手をとりあい生きているのは、もしかすると猫氏の方かもしれません。

読後感は、「恋っていいなあ」の一言。

 

オデット ODETTE(1) (ポラリスCOMICS)
作者:日当貼
出版社:ほるぷ出版
発売日:2015-02-14
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  • 紀伊國屋書店
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オデット ODETTE(2) (ポラリスCOMICS)
作者:日当貼
出版社:ほるぷ出版
発売日:2015-10-15
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  • 紀伊國屋書店
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村上さんのところ コンプリート版
作者:村上 春樹
出版社:新潮社
発売日:2015-07-24
  • Amazon Kindle
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