消えゆく下北沢の風景、記憶にも記録にも残したいあなたに『耳は忘れない』 収録短編『四季も日々も』下北沢をめぐる物語

山中 羽衣2016年01月13日 印刷向け表示
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下北沢駅って降りたことありますか?小田急線と京王井の頭線が交わるこの駅は、 昔からサブカルチャーの街・若者の街として賑わってます。伊集院光さんはラジオで下北沢はヴィレッジバンガード臭がするいけ好かない街だ、というようなことを言っていたそうですが、古着屋やら本屋やら、よくも悪くも東京の中の個性的な街として機能しているように思います。さて、この物語『四季も日々も』は『耳は忘れない』という単行本の中に収録された短編。

主人公の加奈子が下北沢の駅を駆け下りるところから始まります。

上司に小言を言われて遅刻して10分遅刻、プロポーズを受けるというところから物語がスタート。 仕事でバタバタして走って遅刻した末にプロポーズなんてされた日には動悸と汗がとまらなそう...!ちなみにこのコマは下北沢駅北口を駆け下りているのですが、今は改装して全然違う見た目に変わってます。

付き合い始めの頃に下北沢に引っ越す加奈子。下北沢という街を軸として恋人との関係性が徐々に変わっていく様子が描かれています。大事な人と過ごした場所や印象深い出来事が起きた場所って一生忘れない大事な場所になりますよね。誰しもこの物語にとっての下北沢のような思い出の場所を持っている気がします。

人との関係性も場所との関係性も人生の節目節目で変化していくわけで、それは前向きな変化の場合もあれば、少し切ない別れがあったりして。引っ越しする時に、妙に切ない気分になったりその街を愛おしく思ったりする、そんな瞬間瞬間のきらめきがこの作品から溢れていて思わずしんみり..。

 

みなさんご存知かわかりませんが、下北沢はここ数年ずっと大規模な工事を行っています。2018年に複々線化が完了予定。大分雰囲気が変わってきていますが、ここから更に街並みは変化していくようです。以前からこの駅を使っていた人にとっては懐かしさを思い出させてくれるような、少しノスタルジーにひたらせてくれるような描き方が身にしみます。

この作品は森泉岳土さんの『耳は忘れない』に短編として収録されています。読んでいただけると分かりますが絵柄から漂うオーラというか雰囲気が圧倒的。なんでも墨と水で漫画を描いているそうで、独特の風合いがあるのも森泉さんの作品の魅力の一つ。じっくりと時間のある時にぜひ読んでみていただきたいです。 

耳は忘れない (ビームコミックス)
作者:森泉岳土
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2014-07-25
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