2,000万部を超えたアメフトマンガ!『アイシールド21』そのヒットの理由とは?

佐保 祐大2016年01月16日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 
アイシールド21 37 (ジャンプコミックス)
作者:稲垣 理一郎
出版社:集英社
発売日:2009-10-02
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub
  • ebookjapan
 
週刊少年ジャンプをキッカケにして人気になったスポーツマンガは数知れません。スラムダンク、ルーキーズ、テニスの王子様にキャプテン翼とさまざまあります。最近だと火ノ丸相撲にハイキューですね。スポーツマンガを読んだことがキッカケになって部活を始める人も多く、私もはやっていたスラムダンクに影響を受け、バスケットボール部に入りました。

マンガではバスケや野球、サッカーなど人気スポーツを題材にすることが多いのですが、今回紹介する『アイシールド21』はアメフト(アメリカンフットボール)が題材です。アメフトのことを、あなたはどれだけ知っていますか?

メジャースポーツであるサッカーや野球と違い、テレビなどでも見たことがないのが日本でのアメフトの実情ではないでしょうか。そんなマイナースポーツである、アメフトを題材にした『アイシールド21』は発行部数が累計2,000万部を超えた大人気マンガとなりました。なぜアメフトマンガがこんなにも人気になったのか。その要素を分析していきます。

スポーツマンガの王道は“ハンデのある環境”とそれを補う要素

スポーツマンガの王道であるのは“分かりやすいぐらいハンデのある環境”です。

1.入学した学校がヤンキーが多いこと(もしくは入ったクラブがヤンキーの溜まり場)
2.クラブが一回戦突破を目標にするような弱小チームであること
3.主人公が素人であること

当然、このアイシールド21も上記全ての環境が整っています。もちろん、これだけの劣悪の環境では少年に夢を与えるようなストーリーを展開していくのは不可能で、現実的ではありません。

そこで必要になってくるのが下記の要素です。

1.主人公の隠れた才能
2.ライバルの天才
3.ヤンキーの更生

スラムダンクでいうと桜木花道のジャンプ力(主人公の隠れた才能)、流川楓の存在(ライバルの天才)、そして三井寿(ヤンキーの更生)。これら全ての要素が、『アイシールド21』にはあります。

1.主人公の隠れた才能

2.ライバルの天才

3.ヤンキーの更生

スポーツマンガの鍵となるのは全国制覇という目標と2つの存在

スポーツマンガの最終目標は全国制覇(全国優勝)です。弱小校が全国制覇を目指して一つ一つ勝利を重ねながら強くなっていく姿に読者は共感します。

そんななか、重要な存在となるのは「ライバル」と「圧倒的王者」の2つの存在になります。

この部分がスポーツマンガのメインといっても過言ではありません。全ては全国制覇するために避けることはできない部分であり、この2つの存在を倒すために主人公が所属するチームは強くなっていきます。


主人公のアイシールド21こと小早川セナのライバルは「高校アメフト史上最強最速のLB」といわれる進清十郎です。国内最高の選手といわれており、マンガの中でも序盤から最後まで最高クラスの実力で登場しています。進清十郎の強さは誰よりも自分に厳しく、片時も練習を欠かさない「努力する天才」であることです。主人公のライバルでありながら、嫌われるような設定になっておらず、むしろ主人公以上に共感を得られるような設定であったことも好感が持てました。


このマンガの序盤で主人公に立ちはだかる「圧倒的王者」は金剛兄弟率いる神龍寺ナーガです。

金剛 阿含は100年に一人の天才で、日本最強クラスのプレーヤーです。先ほどの進清十郎とは違い、「純粋な悪」として描かれている金剛 阿含は、ドレッドヘアにサングラス、飲酒するうえに喧嘩好きです。しかし、「神速のインパルス」という驚異的な反応速度とパワー、カウンターというアメフトに適した最強の武器を持っています。また、自分が天才であるがゆえに凡人や凡人の努力を極端に嫌います。そんな金剛 阿含は主人公に立ちはだかる敵として申し分ない相手となります。

 

アメフトが分からない人にでも抵抗なく読み進められる工夫

『アイシールド21』の特徴であるバトル形式について最後ご紹介します。アメフトのルールは作中にポイントとして分かりやすく説明されていますが、それでも分からない人のために、バトルのときは毎回「誰と誰がこれからバトルをするのか」という分かりやすい表示がされます。

こうしたコマが毎回あり、どのキャラが誰とこれから対戦することになるのかがとても分かりやすくなっています。また、試合中に繰り出す技やフォーメーションに特徴のある名前がつけられています。「デビルバットダイブ」や「ロデオ・ドライブ・スタンピード」、「三つ又槍タックル(トライデントタックル)」など、各チームの個性にあった技名になっていて、楽しみながら読み進めることができます。


『アイシールド21』がアメフトマンガで2,000万部という発行部数を記録した理由はこれだけではなく、キャラクターの個性や動きのある絵など、他にもいろいろな要素が理由としてあげられます。しかし、それらを踏まえたうえでも『マイナースポーツであるアメフトの面白さを、分かりやすく表現した』のはこのマンガの功績で、多くの人に支持された一番の理由なのではないでしょうか。


日本では認知度が低いアメフトですが、アメリカでは絶大なる人気を誇ります。毎年2月に行なわれている「SuperBowl(スーパーボウル)」は国民的イベントとして楽しまれており、TVの視聴率は40%を超えます。また、直前の一週間は「スーパーボウル・ウィーク」と呼ばれ、アメリカ全土がこのイベント一色に染まるほどです。


今年は2月7日に、カリフォルニア州のリーバイス・スタジアムで開催されます。今回はちょうど50回目ということもあり、「ゴールデン・スーパーボウル」と呼ばれています。スーパーボウルまであと3週間。アメフトを楽しく観戦するためにも『アイシールド21』を読んでより理解を深めてみませんか?

※画像は全て稲垣理一郎『アイシールド21』より引用

アイシールド21 (1) (ジャンプ・コミックス)
作者:稲垣 理一郎
出版社:集英社
発売日:2002-12
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら

人気記事