イノセントな野球少年を番長に変貌させたものとは何だったのか?『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』

角野 信彦2016年02月05日 印刷向け表示
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 河合じゅんじさんが、1987年からコロコロコミックで連載していたのが、『かっとばせ!キヨハラ君』です。その連載が1994年に終了し、始まったのが、『ゴーゴー!ゴジラ!!マツイくん』、キヨハラくんはマツイくんの影に隠れ、最終回まで関西弁まで封印するという不遇の扱いを受けます。

松井選手がヤンキースに移籍するタイミングで『ゴーゴー!ゴジラ!!マツイくん』は終了し、始まったのが『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』でした。『ばんちょー』が終了したのが2005年なので、1987年から2005年まで、約18年にも及ぶ長期の野球ギャグマンガを、コロコロコミックで連載していたのが河合じゅんじさんでした。

ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん (1) (てんとう虫コミックス)
作者:河合 じゅんじ
出版社:小学館
発売日:1995-05
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 この長期にわたる連載で常に主役・準主役をはった事実を見れば、どれだけ清原選手が「スター」だったかがわかります。また、連載期間中の18年間に、少年に愛される、清原さんに代わるスター選手が日本のプロ野球に現れなかったというのは、球界にとっても、清原選手にとっても不幸の始まりだったのかもしれません。

2008年に芥川賞作家のブルボン小林さん(長嶋有)が、週刊文春で未来を暗示するように、このマンガのレビューを書いています。

それにしてもだ。『かっとばせ~』第一巻の表紙のキヨハラと、『ばんちょー』キヨハラの造形の違いはどうだろう。現実の清原への驚きとはこれと同質のものだ。

 

週刊文春2008年5月29日号

王監督が、PL学園の盟友、桑田真澄を指名したときの清原選手の涙、巨人との日本シリーズで、勝つ直前にファーストの守備をしながら泣いてしまった清原選手、愛して愛してやまなかった巨人にやっと移籍してみたら、まったくそりの合わない堀内にほされてしまった清原選手、イノセントといえるまでの巨人に対する愛をもっていた、純粋な野球少年が、マンガでも明らかにわかるほどの変化を遂げてしまう不幸を目の当たりにして、暗澹たる気持ちになります。

1993年に覚醒剤の所持で実刑判決を受けた江夏豊さんが今年、阪神の臨時コーチとして現場に復帰するまでに20年以上の時間が流れています。江夏さんも不本意な形で阪神を去ることになったときに、会見で涙を流していました。あれだけの大投手が「青春のすべて」と言って、阪神というチームを愛し続け、すごくハッピーなようすで、笑顔をたたえて、阪神の臨時コーチに復帰しています。

僕は、清原さんも、江夏さんのように時の試練を超えて、現場に復帰する日が来るのを待ちたい気持ちになっています。清原さんのようなスターにはハッピーエンドの物語がふさわしい、こんなときになんですが、僕はとても彼を非難する気持ちになれないのです。

2014年にスタートしたコロコロアニキでは、『かっとばせ!キヨハラくん』の続編が連載されています。そして、この『キヨハラくん』は未来を予言するマンガとして連載当時は有名でした。例えば、当時バリバリの西武のレギュラーだった、石毛・工藤・秋山のダイエーへの移籍を予言したりしています。どれだけ予言が当たったかはWikiを見ていただければわかります。

 

『かっとばせ!キヨハラくん』コロコロアニキ1号掲載

そして、2014年からコロコロアニキで再開された『キヨハラくん』の冒頭で、クワタくんとキヨハラくんが、監督として、オールスターで対決する様子が描かれています。きっとこの「予言」も実現する日がくるのではと楽しみに待つことにします。コロコロアニキの連載も楽しみにしています。

コロコロアニキ 1号 [雑誌]
作者:こしたてつひろ
出版社:小学館
発売日:2014-10-15
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