ドスケベな少女の欲望を描いた作者がキッズアニメの原作者!? 「ルノアール兄弟」の多面性に驚いた『おまかせ!みらくるキャット団』

宮原 沙紀2016年02月18日 印刷向け表示
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おまかせ! みらくるキャット団 (ShoPro books)
作者:ルノアール兄弟
出版社:小学館集英社プロダクション
発売日:2016-01-27
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一つのことに秀でた人が全く別の分野でも活躍しているという事例は多い。言わずと知れたタモリや北野武。彼らは芸人という枠に収まらずマルチな才能を発揮している。ほかにも動物研究家のムツゴロウさんが、プロ並みに麻雀が強いと言われるなど、天は二物も三物も与えるのだ。不公平にすら思えるが、しかし多才な人は幅の広い魅力がある。

そんな意外性、ギャップの魅力を「ルノアール兄弟」に感じた。

ルノアール兄弟、ギャグ漫画好きな方々の間では有名な存在だろう。彼らの代表作といえば、セクシーを極め、日本一のセクシーダンスガイになろうと日々奮闘する少年を描いた『セクシーDANSUGAI ユビキタス大和』ストーリーもさることながら、主人公だけでなく登場人物の多くがお尻丸出しというビジュアルの強烈さ。蝶ネクタイにTバックといういでたちでセクシーなダンスを踊るユビキタス大和の姿が頭に焼き付いて離れなくなってしまった。私の視覚に大きなショックを与えた作品だ。


   

 

(『セクシーDANSUGAI ユビキタス大和』より)

そして現在、別冊少年チャンピオンで連載中の『少女聖典ベスケ・デス・ケベス』。男子とろくに口もきけない女子中学生のもとにエッチな夢を叶えるという悪魔「ケベス」が現れる。ケベスはドスケベな女の子の前にしか現れないという悪魔で、おぼこいふりした女子高生なエッチな願望を次々叶えていく。男性の性だけでなく、少女の性も描いてしまうんだ!と感動しながらもニヤニヤして読んでしまった。

   

 

(『少女聖典ベスケ・デス・ケベス』より)

ルノアール兄弟は下ネタ、性、コメディの道を突き進んで行くのかと思っていた矢先、NHK Eテレの子供向けテレビアニメの原作を担当すると聞き、思わず耳を疑った。

「おまかせ!みらくるキャット団」は“しょこたん”こと中川翔子さんが原案のアニメ。NHK Eテレで毎週火曜の午後6時45分から放送中。しょこたんのブログにもよく登場する愛猫「マミタス」を主人公に、彼女が愛する10匹の猫たちが登場する物語。そんなアニメの原作をルノアール兄弟が手がけている。

小学4年生の「ポコタン」こと赤川ぽこ美は、谷中野という町でお母さんとおばあちゃん、猫のマミタスと暮らしている。父の夏彦はポコタンの幼い頃に他界し、「ヨミヨミランド」という世界で暮らしていた。ヨミヨミランドは空にお月さまのように浮かんでいるが、魔法パワーによってこの世からは見ることができない。夏彦は勉強も運動も苦手でネガティブな性格のポコタンのことをいつも気にしていた。そんな夏彦が魔法の力を使ってこの世にきてみたものの、この世の住人にはヨミヨミランドに住む人のことは見えないということに気づく。かろうじて動物とはコミュニケーションがとれることがわかり、マミタスにポコタンを助けるようにと願いを託した。夏彦はマミタスに人間の言葉を話し、魔法もつかえる「みらくるキャット」に変身する魔法を授ける。みらくるキャットになってポコタンを助けるマミタスと仲間たち。そんな彼らの日常を描いた愉快なストーリーだ。

 

(『おまかせ!みらくるキャット団』より)

ルノアール兄弟の先入観を持ってこの作品を観るときっと驚くだろう。彼らの絵を想像すると、どうしても男のむっちむちのお尻や、絶妙なキモちわるさのオヤジがまず出てきてしまう。ところが、この漫画にでてくる猫たちがとにかく愛らしい。キラキラしたくりくりの目に、くるくる変わる表情。10匹のみらくるキャット団の仲間たちはみんな多種多様で個性的。これは子供たちを夢中にさせるだろう。

 

(『おまかせ!みらくるキャット団』より)

そして、あの世とこの世で離れてしまい触れ合うことはできないが、いつも娘を気にかけている父・夏彦の愛情や、ポコタンとマミタスの友情もあたたかい。描かれる日常に溢れる愛情を感じて、心が和む作品だ。この作品にルノアール兄弟の新境地を見た気がした。

 もちろん、いつものルノアール節は健在で、ところどころに散りばめられている。実はこの漫画に登場する「魔法パワー」はヨミヨミランドの魔法工場で製造されていて、夏彦も工場の作業員として働いているのだ。コンベアーで運ばれる魔法のもとを朝から晩までこねつづける生活。働いた分の給料として「魔法シール」が与えられ、魔法パワーを使うと魔法シールが消費されるというシステム。つまり、みらくるキャットが魔法を使うためには夏彦ががんばって工場で働かないとならないのだ。魔法の世界も世知辛い…。

(『おまかせ!みらくるキャット団』より)

 アニメをみて、ルノアール兄弟を知った人には彼らの他の作品を読んでほしい。畳み掛ける下ネタの嵐と脳裏に焼きつくような絵柄に衝撃を受けるだろう。彼らのギャグ作品を読んでいるという人にはこの作品を読んで、アニメもみてほしい。ルノアール兄弟の幅の広さにきっと驚くだろう。

ユビキタス大和(1) (ヤンマガKCスペシャル)
作者:ルノアール兄弟
出版社:講談社
発売日:2009-02-06
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少女聖典べスケ・デス・ケベス 1 (少年チャンピオン・コミックス)
作者:ルノアール兄弟
出版社:秋田書店
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