ヒトとの接し方がわからなくなったことのあるあなたへ
人付き合いに悩む人なら共感せざるをえない『SOUL EATER』のキャラクターたち

岡田 篤宜2016年02月29日 印刷向け表示
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 「お前の魂、頂くよ!」

 当時高校生だったぼくがこの作品と出会ったのは、テレビ東京で放映されていたアニメがきっかけでした。第一印象はいまでよ~く覚えています。「なんだコレ?」でしたw
死神になるための学校に通っている生徒たちが、悪いアクマや魔女の魂を集めるべく、武器に変身できるパートナーと一緒になって日々任務をこなしていく、という物語。「なぜ人間が武器に変身できるの?」、「武器に変身できる人たちは、どうやってその力を身につけるの?」など、ぼくは当時武器になれる人たちの生態系が気になって仕方がありませんでした。
結局、そのナゾは作中で明かされることはありませんでした。作者いわく「細かいことは気にするな」ということらしいですwぼくはそのナゾを解明するためにこのマンガを読みはじめたのですが、・・・とても残念です。しかし、読み終わった今となってはすごく印象に残る作品の一つになりました。なぜなら、出てくるキャラクターがすごく個性的だったからです!今回は個人的に印象に残ったキャラクター3人を紹介していきます!
 

1、 ゾンビになってもヒトの心を忘れない「死人(シド)先生」

 
 
            (『SOUL EATER』/大久保篤)
 
 ドレッドヘヤーに青い肌。眉間に大きな穴があいている堅物ゾンビ。なんで穴があいているかというと、「自由の女神像が眉間にささって死んだから」、だそうですw女神が右手に持っている“アレ”にブスっとやられちゃったんですね~。以前から、「女神が左手に持ってる分厚い本なら、ヒトを殴り殺せると思うw」とは思っていたんですが・・・まさか右手には人を刺殺できる力があろうとは思っていませんでした。右手で刺殺、左手で撲殺できる・・・。自由の女神は凶悪な兵器ですねw
シド先生のオモシロポイントは、ずばり彼の「悩み」。最近、「ゾンビとの接し方が分からない」という生徒との接し方が分からなくて困っているのだとか・・・だれかゾンビとの接し方を生徒たちに教えてあげてくださいw
 

2.自分を含めたすべてのものとの接し方が分からない「クロナ」

 

            (『SOUL EATER』/大久保篤)

 ネクラで人見知り。いつもオドオドしていて、自分以外のもの全てとの接し方が分からない。この物語のキーパーソンでもあるこのキャラは、とにかくその口癖がとても印象的です。ことあるごとに「接し方が分からない」という言い方をするキャラクターは、この作品のこのキャラをおいて知りません。 

 

 

 

 
         (『SOUL EATER』/大久保篤)
 
 さらに言えば、「接し方が分からない」という、だれしもが人付き合いをするうえで心のどこかに持っているものを素直に表現したという点で、他のマンガに出てくるキャラたちとも比較してもかなり際立った存在だと思います。このキャラが感じている、「他者との付き合い方が分からない」、「自分をとりまく世界との付き合い方が分からない」、「世間のなかで適応するために創り出した“自分”との付き合い方が分からない」という考えに、僕は当時共感したことを覚えています。
お世辞にも行儀のいいやつらが集まっていると言えない高校1年生のクラス内。いじめっ子たちに目をつけられないよう必死だったぼくはいつもニコニコしていることに徹していて、一生懸命「ニコニコしているキャラ」を演じていました。そのため、いたずらされても悪口を言われても文句を言わず、ただ微笑んでやり過ごす。・・・正直疲れを感じていました。
クラスで浮かないよう、いじめっ子たちを含めたクラスメートとの付き合い方が分からない、いじめっ子たちが支配するクラスの環境にどうやってなじめばいいのか分からない、馴染もうと努力して無理やり生み出した“自分”との付き合い方が分からない。そんな悩みをもっていたからこそ、ぼくにはこのキャラが際立って感じられました。
心と心のつながりや、自分の心の弱さとどう向き合うかということが、作品全体のテーマとしても上げられるので、『ソウルイーター』という作品を象徴するキャラでしょう。
 

 3.そのウザさは新たなマンガ表現まで生み出す「エクスカリバー」

 
 

 

 
 作中で、手にしたものは最強になれると噂される武器、「エクスカリバー」。ただし、所有者になるにはエクスカリバーからの要求をすべて受け入れなければならないという、かな~りメンドくさい武器。
このキャラの印象的なところは、そのウザさゆえに前代未聞のマンガ表現を生み出してしまったことです。その表現とは・・・ずばりコレです!
 

 

・・・みなさんお気づきでしょうか?このページにある“違和感”に・・・
電子版では普通に読めるこのページ。コミックスだと「よ・・・読みにく~~~い!!」ってなるんです。
他人のことを考えず自分の話ばかりするエクスカリバーのウザさを表現するために、なんと「マンガのノドの部分にセリフを描きこむ」という表現技法を作者は生み出してしまいました。キャラのセリフが見えそうで見えない・・・なぜ人は「もうちょっとで届きそう!」みたいな状況になるといつも以上に必死になってしまうのでしょうかw人間のサガですかね・・・実にシュールですwこの読みにくさはコミックス版でないと体感できないので、気になった方はコミックスをチェックすることをオススメします。

 

 これら三人の共通点をあげると、みんな「接し方」という点において悩みや難を抱えているというところです。おそらく「接し方」という、誰しもが抱えている普遍的な悩みを分かりやすく表現しようとしたのが、この作品なのだと思います。人付き合いに悩みを抱えたことのある人ならば、この作品のキャラクターたちの心情に感情移入できるでしょう。もしかしたら、自分の抱える悩みを解決するための手がかりをこのマンガから得られるかもしれません。
 

 

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 ちなみに、作者である大久保篤先生の最新作が週刊少年マガジンで好評連載中です!

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