マンガサロン『トリガー』店長の2016年1~2月のお薦め10選

兎来 栄寿2016年03月01日 印刷向け表示
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こんにちは。マンガサロン『トリガー』店長の兎来です。昨年のお薦めマンガまとめもしたいとずっと思いつつ、普段より一日多いはずの二月も一瞬で過ぎ去ってしまい、三月になっているという事実に愕然としますが……

トリガーでは、明日から毎月「先月のお薦めマンガを飲んで、読んで、語る会」というものを定例で行っていこうと思います。

2月の新刊マンガを飲んで読んで語り合う会@マンガサロン『トリガー』 http://twipla.jp/events/190103

トリガーにまだ行ったことのない方も、普段マンガを読まないけどお薦めを聞いてみたい、最近はどういうマンガがあるのか知りたいという方も、ぜひどなたでもお気軽にお越し下さい。

そこで、私が一~二月に読んで面白かったマンガをいくつか紹介します(ここで出てない作品でもお薦めは沢山あるのですが、それは上記会合や別の機会にて)。

 

さらば佳き日

さらば、佳き日 (1) (it COMICS)
作者:茜田千
出版社:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
発売日:2016-01-14
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表紙から感じられる、美しく儚げな空気感がそのまま作中にも反映されていると感じられる作品。光や桜吹雪や雪といった、空から降って来るモノの表現に嘆息します。恋とか愛とか、そんな有り体の言葉でカテゴライズしてしまうのが違う気がする「想い」。叙情的に、たおやかに綴られ、しっとりと沁み渡って来ます。今月15日には早くも2巻発売ですので、今の内にどうぞ。

 

HaHa

HaHa (モーニング KC)
作者:押切 蓮介
出版社:講談社
発売日:2016-01-22
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押切蓮介先生が、お母さんから聞いた生い立ちを描いたマンガ。押切先生ご自身に負けず劣らず、実に破天荒な人生を送っていらっしゃったことが解ります。笑いあり涙ありで、「人に歴史あり」という言葉を強く実感する一冊です。

人間はお金を稼ぐための生き物ではないわ

楽しく生きるために努力する生き物よ…

押切先生の祖母の言葉が素敵です。読むと、家族の過去を聞きたくなる作品。孝行したい時分に親はなし、話を聞きたい時もまた同じでしょう。

 


連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏

連載終了!  少年ジャンプ黄金期の舞台裏
作者:巻来功士
出版社:イースト・プレス
発売日:2016-02-07
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『ジョジョの奇妙な冒険』第一部と同時期に『ゴッドサイダー』を連載し、「ジャンプにホラーマンガは二つ要らない。人気のない方を打ち切る」と言われ、打ち切られてしまった過去を持つ巻来功士先生。その、漫画家になるまでとなってからの半生を描いた自伝マンガ。『メタルK』などの怪作誕生秘話や、クセの強過ぎるジャンプの編集者たち、そして若かりし頃の他の同業者の様子なども赤裸々に描かれます。

「宇宙人」と形容される、荒木飛呂彦先生と同じ電車で帰った時のエピソードも。黄金期ジャンプの舞台裏の様々な秘話、面白すぎます!

 


カナリアたちの舟

カナリアたちの舟 (アフタヌーンKC)
作者:高松 美咲
出版社:講談社
発売日:2016-01-22
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これを? 新人が? 嘘でしょう!? 読み終えて余りに驚かされた、アフタヌーンらしいSF作品。一応、こちらのサイト(http://kc.kodansha.co.jp/product?isbn=9784063881134)から試し読みもできます。しかし、本作に関しては試し読む必要もありません。一冊完結なので、ただ何も言わず買って読んで下さい。『寄生獣』のような作品や、異形の存在が登場するSFが好きな方には心からオススメしたい作品です。高松美咲先生の今後が楽しみ過ぎて夜も眠れません。

 


おとむらいさん

おとむらいさん(1) (BE LOVE KC)
作者:大谷 紀子
出版社:講談社
発売日:2016-02-12
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『すくってごらん』の大谷紀子先生ですから、もう外すはずはありません。今回は、葬儀ドラマ。売れない女優であるヒロインがひょんなことから受けた葬儀の司会の仕事を経て、「真の人間ドラマがある」と言われた葬儀業界に入門していく物語。

誰しもに必ず訪ずれる死。そこには、人の数だけの想いと物語がある。暗くなり過ぎず、それでも泣ける所は泣ける秀作です。老若男女広くお薦めしたい一作。

 

月と指先の間

月と指先の間(1) (KCデラックス Kiss)
作者:稚野 鳥子
出版社:講談社
発売日:2016-02-12
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55歳の美魔女漫画家を描いた物語。これから漫画家になろう! と頑張るような漫画家マンガではなく、既にある程度売れた少女マンガ家のリアルすぎるリアルが描かれています。ギリギリの生活形態の中で、ギリギリの創作をし続ける主人公。「漫画家はなるより続ける方がずっと難しい」「漫画の世界に入って一番驚いたのは請求書がないこと」「絶対単価を下げるな」「新書版の方が重版もかかりやすい」などといった、かなり込み入った事情が説明されます。

ネームという存在も色々な作品で一般的に有名になってきたかと思いますが、B5の紙に16ページ分のネームを割るやり方まで出て来る実践的さ。どこまでが虚でどこまでが実なのか。編集部を越えた執筆をしている作家としてのメディアミックス展開に冠するエピソードでは、コルクと佐渡島庸平さんをモデルにしたと思われるキャラクターも登場します。

 

金平糖の花嫁

金平糖の花嫁 1 (ゼノンコミックス)
作者:おかざきさと乃
出版社:徳間書店
発売日:2016-02-20
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三人のイケメンが婿候補として奮闘するという設定はもとより、金平糖工場という唯一無二の題材が面白い作品です。

冬でも40℃、夏場は50℃になる工場の中で、10時間にわたってひたすら銅鑼を回し続ける。そうすることによってのみ、小さな星たちを美しく輝かせることができる。そして、一つとして同じ金平糖はなく、同じ機材でも同じものは他人には決して作れない。そんな思いの外深くて熱い金平糖作りに、汗を迸らせながら邁進するヒロインが非常に魅力的です。いずれ実写ドラマ化される予感がしています。

 

ボイスカッション

VOICE CUSSION―ボイスカッション―(1) (ヒーローズコミックス)
作者:棚橋なもしろ
出版社:小学館クリエイティブ
発売日:2016-02-05
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これは声優マンガ界の『ガラスの仮面』か!? 声優だった父親から憎まれる程の、天才的素質を持ったヒロイン琴里が声優を本気で目指すようになる物語。世界を変える力を持つ声優を超えた声優、「声霊」を目指してひた進む! いや、実際に超一流の声優の演技は問答無用で世界の色を変えますよね。

この真っ直ぐな熱さが堪りません! 声優に興味がある人は勿論、そうでない人にもお薦めしたい作品。二ヶ月連続刊行で、5日には早くも2巻発売! 今なら追いつけます!

 


しかばね少女と描かない画家

しかばね少女と描かない画家 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
作者:神江ちず
出版社:一迅社
発売日:2016-01-25
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天才画家の魂を宿した幼女の死体と、青年画家との不思議な日常を描いた物語。『万能鑑定士Qの事件簿』のコミカライズを手掛ける神江ちず先生による美しい画が魅力的です。が、こう見えて青年のネリは非常に紳士的で残念なロリコン。

とは言え、基本的にはシリアスなお話が展開されます。青年と幼女という組み合わせが好きな方には絶対のお薦めですし、そうでない人も仄暗くも心に残る良質のストーリーを楽しめるでしょう。

 


SCATTER あなたがここにいてほしい

SCATTER あなたがここにいてほしい 7巻 (ビームコミックス)
作者:新井 英樹
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2016-01-25
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最後に、一つだけ言わせて下さい。今年読んだマンガの中で一番面白かったのは、『SCATTER あなたがここにいてほしい』の7巻です。「また新井英樹か! どんだけ好きなんだ!」と言われそうですが、仕方がありません。圧倒的に素晴らしすぎたのですから。こんなに人を選ぶマンガもそうそうないというのは、1巻を読んで頂ければ解るでしょう。1巻の時は、これがどんなマンガなのか、これから何が起こるのか、まだ判然としませんでした。大化けする可能性はあるけれど、風呂敷を畳めず終わる可能性もあるな、と。しかし、3巻、4巻と進んで行くにつれて、「SCATTER」というタイトルの意味が解る展開になり、俄然面白くなりました。そして、遂にこの7巻では「あなたがここにいてほしい」という言葉の真意が、言葉でなく心で痛感させられました。

まだ、『なぎさにて』(参考レビュー:http://honz.jp/articles/-/41913)の方が多くの人に薦められます。『なぎさにて』と同時にこれを描いているのが、凄まじい。凄まじすぎる……。着いていかざるを得ません。絵柄や内容は人を選びに選ぶと思いますが、幸いにも選ばれた人のみができる至高の漫画体験がここにあります。

SCATTER あなたがここにいてほしい 1巻 (BEAM COMIX)
作者:新井 英樹
出版社:エンターブレイン
発売日:2010-03-09
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出版社:中央公論新社
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