どんなに「ブラック」と言われても、やってる本人はハッピーな仕事もある『どうらく息子』 本人次第で人生の満足度は激変するんです。

堀江 貴文2016年03月07日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
どうらく息子 1 (ビッグコミックス)
作者:尾瀬 あきら
出版社:小学館
発売日:2011-01-28
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • 丸善&ジュンク堂
  • HonyzClub

 私は落語を、それもホールで一度しか見たことがない。席が遠かったのが悪かったのか、それとも前日夜更かしして寝不足だったのが悪かったのか、ほとんど寝ていた覚えしかない。そんな落語をもう一度見に行きたいと強烈に思わせる漫画がこの『どうらく息子』だ。作者の尾瀬あきらさんは『夏子の酒』という感動的な漫画で本格日本酒ブームを作り出したといっても過言ではない人物。とにかく涙を誘う物語作りでは定評がある。奈津の蔵や蔵人などの日本酒ものならばわかるのだが、最新作はなんと落語ものであった。

保育園でアルバイトをしていた主人公は本気でやりたい事が見つからない、その辺によくいる若者だ。ひょんなきっかけで落語に誘われ、そしてそこで演じられた「時そば」に魅せられてしまい保育園を辞め弟子入り志願をしてしまうのである。その経緯もまさに落語の登場人物さながらのエピソードであり、そして泣かせるシーンが頻出してくる。とにかく泣けるのである。

 

尾瀬あきら『どうらく息子』1巻

思えば落語の世界なんてのは超保守的で権威主義、朝から晩まで師匠の奴隷の如く無給で働かなければならず、体力のないものは簡単に脱落してしまう世界なのである。ブラック労働なんてレベルではない。しかしその世界に魅せられた主人公はそれを厭わない。目標が全くなかったこれまでの生き方に比べれば好きな落語の世界で集中できるほうがよっぽどマシなのである。というより幸せの絶頂というべきか。

幸せの尺度なんてのは人それぞれだろう。給料の多寡に一喜一憂する人生よりは、好きなことに集中しているほうが幸せなことは多いはず。それは本人にしかわからないことである。この作品はそんな基本的なことをわからせてくれるだけでなく、それを本当に上手く落語の古典にマッチさせたストーリーに落とし込んでいるのが凄い。毎巻泣きのポイントがあり、飛行機の機内で目を腫らしながら読んでいてCAが不審そうな目で見る位であった。

夏子の酒(1) (モーニングコミックス)
作者:尾瀬あきら
出版社:講談社
発売日:1988-12-17
  • Amazon Kindle
記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら

人気記事