3.11にマンガだからこそできるアプローチがある。あの日とその後を描いたマンガ5選。

上原 梓2016年03月11日 印刷向け表示
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本日は3月11日。東日本大震災、それに続く福島第一原発の事故から5年経ち、あの未曾有の大惨事をマンガの題材として取り扱う作品もかなり増えてきました。今回は、2011年から2016年までに出版された震災と原発関連の作品の中で、各年の代表作品を1つずつ勝手に決め、時系列に沿ってご紹介させて頂きます。

 

2011年:7月発売『とりったー』

とりったー (リュウコミックス)
作者:とり・みき
出版社:徳間書店
発売日:2011-07-30
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震災発生当初、私は首都圏におりました。テレビの信じがたい映像を眺めてはオロオロし、ツイッターに溢れる異常な情報に脳が破裂しそうな気持ちになったのを覚えております。そのツイッターの異常事態を的確に表現してくれていた作品が、この『とりったー』。

この作品、震災のみをテーマにしているわけではありません。ツイッターで募集した体験談やツイッター界のブームなどをマンガ化した、大変とがった作品です。その中の震災の回に、かなり印象的な見開きページがあるのです。
溢れるツイッターの情報に呆然とした作者のとり先生の顔の周辺に様々なツイートが渦巻くという見開き演出。当時のツイッターを覚えている方たちには、「これ!まさにこうなった!」と膝を打つこと間違いありません。私は打った!

 

2012年:2月1巻発売『ヒトヒトリフタリ』

ヒトヒトリフタリ 1 (ヤングジャンプコミックス)
作者:高橋 ツトム
出版社:集英社
発売日:2012-02-17
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 震災をフィクションとして最初に扱った作品は、恐らく荒木飛呂彦先生の『ジョジョリオン volume 1―ジョジョの奇妙な冒険part8 ようこそ杜王町へ』(2011年12月発売)だと思うのですが、原発事故をフィクションとして扱った最初の作品は、もしかしたらこの『ヒトヒトリフタリ』かもしれません。(ソースは私の記憶です申し訳ございません…!)

この作品の凄さは、この一言で伝わるに違いありません。福島第一原発の建屋内の汚染水を、日本国首相が、飲む!!『スカイハイ』の高橋ツトム先生らしい、オカルト要素と原発事故への想いが交じり合った凄い作品です。

 

2013年:3月発売『ナガサレール イエタテール』

ナガサレール イエタテール
作者:ニコ・ニコルソン
出版社:太田出版
発売日:2013-03-06
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 文字通り、津波で実家を流されてしまった作者のニコ・ニコルソン先生が、祖母・母・ご本人の3代で その土地に家を再び建てるまでのコミックエッセイです。
・亘理町で母・祖母が被災、しばらく生死も不明
・家、津波被害で全壊認定
・祖母、避難生活などで認知症が進む
・母、家の再建前に子宮体がんが見つかる

このように、かなりシビアな状況が描かれた作品ではあるのですが、すっとぼけたテイストで描くことで、シビアな状況を笑いに昇華してくれているのです。笑いながら読める震災マンガがあるなんて、2011年の震災当初は考えもしませんでした。

 

2014年:4月1巻発売『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(1) (モーニング KC)
作者:竜田 一人
出版社:講談社
発売日:2014-04-23
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 この作品に触れないわけには参りません。福島第一原発内の現場作業員を務めた作者による、唯一無二の体験ルポマンガ。先日フランス語版の発売も決まり、そのトレーナーも公開されていました。現場作業員の様々な日常、そしてシビアな仕事内容を、これより詳細に描く作品はこの先も誕生しないのではないでしょうか?

 

2015年:9月公開『TOKYO”X”DAY』

東京防災
作者:東京都生活文化局 広報広聴部都民の声課
出版社:
発売日:2015
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 東京都が、都下の企業や住民に配布した防災ブック、『東京防災』。今の東京都で大地震が起こった時の対策がまとめられたガイドブックの冒頭に、かわぐちかいじ先生が大地震発生時の東京を描いたマンガが掲載されています。
この導入部分の後にガイドブックを読み込み、防災に関する様々な知識を身につけられる仕組みになっています。「東京都の本気を見た!」などとネットでも話題になりました。

 

2016年:2月前後編発売『みちのくに みちつくる』

みちのくに みちつくる 前編
作者:しま たけひと
出版社:双葉社
発売日:2016-02-17
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みちのくに みちつくる 後編
作者:しま たけひと
出版社:双葉社
発売日:2016-02-17
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 皆さんは、みちのく潮騒トレイルという試み、ご存じでしょうか?

環境省と津波被害に遭った地元住民の皆さんが協力して、東北沿岸地域を徒歩で楽しめるトレイルコースとして整備したものです。青森の八戸市から福島県相馬市までのコースは、何と約700キロ。というか、その700キロが全て、津波被害に遭ったのですから(千葉や北海道の被害は含まれずの700キロ…!)あの災害の規模の大きさは計り知れません。
この作品では実際にその700キロを歩きながら、様々な震災の痕跡や自然の美しさ、土地ごとの名産品や土着の神話伝説なども紹介。被災地の外に住む人間が、被災地と関わっていくことの難しさ、お互いが感じる様々な葛藤などが描かれています。「被災地に観光に行っても大丈夫なのか…?」などの疑問を感じている人には特に必読です。私の中で、今年読んだ作品の中で今のところダントツで好きな作品です。

 

こうやって時系列に並べてみると、取材が必要なもの、体験するものなど、ある程度時間が必要なものが数年後に発売されているというのが分かります(当たり前だ)。震災を扱ったストーリーの中で「笑っても良いんだ…」などの感情の変化・心の整理も作品に出てくることが分かります。

今回ご紹介した作品は、震災を紹介したマンガのごくごく一部です。
マンガ家先生ご本人が被災された作品、首都圏から地方に移住した体験を描かれた作品、プルトニウムなどを擬人化した作品など、実に多岐に渡るマンガが出版されております。
3月11日、震災や原発事故に対するアプローチとして、これらの作品に触れてみるのはいかがでしょうか?

以下は、上記の5作品以外に 私が実際に読んで印象的だった3.11関連のマンガです。

ストーリー311 あれから3年 漫画で描き残す東日本大震災 (単行本コミックス)
作者:ひうら さとる
出版社:KADOKAWA/角川書店
発売日:2014-03-11
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東京を脱出してみたよ! 脱出編 (ビッグコミックス)
作者:元町 夏央
出版社:小学館
発売日:2014-02-28
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葬送―2011.3.11母校が遺体安置所になった日
作者:石井 光太
出版社:秋田書店
発売日:2013-08-20
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ヒーローズ・カムバック (ビッグ コミックス)
作者:細野 不二彦
出版社:小学館
発売日:2013-04-30
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あの日からのマンガ (ビームコミックス)
作者:しりあがり寿
出版社:エンターブレイン
発売日:2011-07-25
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原発幻魔大戦 (ビームコミックス)
作者:いましろたかし
出版社:エンターブレイン
発売日:2012-02-25
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なのはな (フラワーコミックススペシャル)
作者:萩尾 望都
出版社:小学館
発売日:2012-03-07
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はじまりのはる(1) (アフタヌーンKC)
作者:端野 洋子
出版社:講談社
発売日:2013-07-23
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今日もいい天気 原発事故編 (アクションコミックス)
作者:山本 おさむ
出版社:双葉社
発売日:2013-02-12
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会いにいくよ (講談社コミックス)
作者:森川 ジョージ
出版社:講談社
発売日:2014-03-07
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