漫画表現の自由さを再確認できる最高の短編集『まがりひろあきのじゆうちょう』

マンガサロン『トリガー』2016年03月31日 印刷向け表示
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まがりひろあきのじゆうちょう (シリウスKC)
作者:まがり ひろあき
出版社:講談社
発売日:2016-03-09
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小学生の頃、自由帳に描いていたラクガキの数々は本当に自由でした。ヒーローや女の子から、動物、謎の生物、パラパラマンガや設定、解読不能な記号や暗号……。そんな、何にも囚われることのない自由な発想・奇想の詰まった自由帳のような短編集が、『まがりひろあきのじゆうちょう』です。

最初の三編が「死」の話なので、驚くほど真っ白な装丁に反して全編こういったダークな話なのかな? と思う方もいるかもしれませんが、全くそんなことはありません。

もしTAS(Tool-Assisted Speedrun)を現実世界や有名なお伽話上で実行したら? を実際に描いてみた「TAS子さん」は、発想もスピード感溢れる読み味も実に痛快です。

スマホのQRコードリーダーをかざしながら読み進めることになった「QR」も、全く新しいマンガ体験でした(注……QRコードリーダーを使わなくても、巻末で答え合わせができます)。ニコニコ静画という媒体特性を生かし、今までにない層に訴求するアイディアが詰まっています。

そもそも、まがりひろあき先生といえば思い出すのは『魔女っ娘つくねちゃん』、とりわけそのフラッシュ版である『魔女っ娘つくねちゃんswf』(http://shonen-sirius.com/sirius/spcontents/tsukune-chan.html)。初めて見た時は、マンガ表現の新たな地平を確実に切り拓いている! と感激したものです。その特異な発想力から生み出される斬新さがそこかしこに溢れています。

一方で奇を衒った短編ばかりという訳でもなく、「オンライン」「カミングアウトブレイク」「不思議惑星コピ・ペ」などは、古き良き藤子・F・不二雄先生や岡崎二郎先生など短編の名手の系譜をも感じさせます。

一冊の中に様々な味と刺激が満ちており、お得感があります。新しいマンガを読みたい方、何か短編集を読みたい方には特にオススメです。

なお、三月中に単行本を買って購入した証拠画像をまがりひろあき先生のTwitterアカウント宛にリクエストを送ると、好きな絵を描いて下さるという驚きの販促サービスも実施中です(http://togetter.com/li/949233)。絵を一枚一枚このクオリティで描くのは大変な労力なので、なかなか同様のサービスが行われることは今後もないのではないかと思います。またとないチャンスですので、ぜひ今日中に買って何かリクエストを送ってみては如何でしょう。

 

(文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿)

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