有名すぎるクラッシック作曲家をだいたい20ページくらいの漫画で読む『フロイデ』 名前だけ知ってるって言う人にオススメします

角野 信彦2016年04月23日 印刷向け表示
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フロイデ (モーニング KC)
作者:車戸 亮太
出版社:講談社
発売日:2016-04-22
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ずいぶん長いあいだ、クラッシックというジャンルの音楽を好んで聴くことはなかった。単に聞かず嫌いだったのだが、それは、この本を読んだから。

マイルス・デイヴィス自伝
作者:マイルス・デイヴィス 翻訳:中山 康樹
出版社:シンコーミュージック
発売日:2015-03-30
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この本の中に、「レコーディングにクラッシクのミュージシャンを呼んだら、言われた通りのことしかしない。ロボットみたい。」的な記述があった(読んだのが16年前なので、正確におぼえていないが、概ねこんな感じ)。若すぎた僕は「じゃあ、当分聞かないでいいや」とクラッシックを音楽の選択肢から全く外してしまっていた。

それでは、今はクラッシックは全く聴かないのかというと、実は聴いている。なぜなら坂本龍一さんがやっていたEテレの番組『schola』 というのを見て、その本も買ったからだ(CDも付いてる)。

Ryuichi Sakamoto selections:J.S.Bach (Commmons:schola)
作者:坂本龍一
出版社:エイベックス・マーケティング
発売日:2008-09
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今わたしたちは、ありとあらゆる音楽が無差別に並列された混沌の前に立たされることになりました。そのような状況に対して schola が企てるのは、ほどよい一般生をもった文化の教科書をつくりだすことではなく、圧倒的に突出した音楽を拾いつつ、そこから普遍性をもったスタンダード(標準)を作り出そうという、きわめて野心的なプロジェクトなのです。[中略] 文化の規則性からはみ出した例外であるからこそ、いつでもどこでも新しく響く ― それこそが本当の「古典(クラッシック)」と言うべきではないでしょうか。

 

commmons: schola 序文より引用

という訳で、この本で紹介されているクラッシックは、リストが編曲したベートーヴェンの「田園」をグレン・グールドがピアノ演奏したものとか、面白い演奏がいろいろある。その多彩さが、僕のクラッシックに対する「ロボット」イメージを払拭してしまった。

前置きが長くなったが、今回紹介する『フロイデ』という作品は、バッハ以降のクラッシックのレジェンドたちが、いかに破天荒だったかを描いているコメディだ。主人公はベートーヴェンで、舞台は天国。例えば、リストやワーグナーがTwitterを使って炎上コメントしていたりして楽しい。きっと彼らが現代を生きていたらこんな感じだろうと思える描写がいっぱいだ。

もちろん、クラッシクなど全然聴かない人にとっても、面白い解説がしっかりとそれぞれの登場人物に付いているので、問題なくストーリーを追っかけられるようになっている。クラッシックの豆知識も盛りだくさんで、きっとクラッシックをもっと聴きたくなる。


例えばバッハは、ライブハウスのオーナーとして描かれていたりするが、彼が作曲家として後世に与えた影響を考えればこの描写はうなずける。

 

iTunes 時代には、「ライブ」こそ音楽家の収益源と語るバッハ氏

また、映画『アマデウス』で有名になった、モーツァルトのライバル、サリエリだが、彼は教育者として大変な実績を残した人だということがわかる。単なる毒殺者ではなかったのだ。

 

単なる毒殺者ではなかった。『アマデウス』での風評被害に悩むサリエリ氏。

そして、ショパンの曲をベートーヴェンが弾いたらどうなるかを想像してみたりする。

 

実はベートーヴェンは超絶技巧のピアノの名手

僕もそうだったけれど、「古典(クラッシック)」をとても敷居の高いものとして敬遠してしまうことはもったいない。この本を読んで、作曲家の名前を知り、ウンチクを楽しみ、曲を聞いてみよう。彼らはクラッシックでいて、イノベーティブでもある。「月の光」で有名なドビュッシーもこんなことを言ってる。

20世紀の孫たちにしか理解されないだろうものを書くんだ

 


クロード・ドビュッシー
 

ただいま、1巻発売キャンペーンで、講談社のモアイで「鉄オタ ドヴォルザーク」「ドS ストラヴィンスキー」の番外編が公開中です。まず、こちらを試し読みしてみてください。目の付け所がシャープです。

フロイデ (モーニング KC)
作者:車戸 亮太
出版社:講談社
発売日:2016-04-22
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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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出版社:中央公論新社
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