高校俳句部のチーム戦から目が離せない。『ぼくらの17-ON!』がとびきり熱い!

小林 みずほ2016年04月29日 印刷向け表示
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映画『ちはやふる』が大ヒットとなって、話題になっている。そんな今だからこそ紹介したい漫画作品がある。真剣に勝負することだったり、チームの中での立ち位置だったりに胸を熱くした人には是非読んでほしいのが、アキヤマ香さんの『ぼくらの17-ON!』(全4巻、双葉社)だ。

『ちはやふる』が競技かるたという新たな世界を見せてくれた作品なら、『ぼくらの17-ON!』が見せてくれるのは「俳句」。5人一組となって俳句甲子園を目指す高校俳句部の物語。

俳句というと、小中学校で作らされたとか、お〜いお茶の賞に応募したとか、祖父母世代の趣味とか、そのくらいのイメージなのではないかと思う。名作と言われているものを読んでみても、いまいち何を言っているのかわからない。でも、わからないって言うのも恥ずかしいし……という感じで、多くの人の生活から遠くなっているものだ。
主人公の久保田莉央も、俳句になんて全く興味がなかった。少し面倒くさがりな普通の高校生。でも、一目惚れした女の子が俳句を好きで、近づきたい一心だけで、軽い気持ちで俳句に触れる。いきなり連れて行かれた近所の公園での吟行で、俳句を詠もうとしてみて、周りを見渡して、はじめて目に景色が飛び込んでくる。


 

(1巻19ページ/35ページ)

これが、ものすごく鮮やかなのだ。漫画として、背景や絵と一緒に表現されているからこそ、一句一句が色づいて見える。俳句のことが全然わからなくても、ぞわっとしたり、なんだかうきうきしたり、つられて揺さぶられてしまう。こんなふうに景色が見てみたい。俳句なんて全然興味がなかったのに、来年の分も、再来年の分も、彼らの俳句を聞きたくなるから不思議だ。
5・7・5という限定された条件の中で表現するからこそ面白い「俳句」を絵と物語をつけることによって面白く感じるというのは逆説的かもしれないけれど、これはとても幸福な出会いだと思う。

(3巻82〜83ページ)

さらに、俳句の「試合」がものすごく熱い! 句を詠み合った後にディベートをすることだけでもびっくりしたのに、質問したり改良したり、その言葉の掛け合いの熱たるや。文字量はかなり多いのに、あっという間にページを捲っている。


 

(2巻64・65ページ)

お互いに励ましたり、フォローしたり、ガッツポーズしたりしながら、5人はチームになっていく。その時間を大事にしようとしていく。いいなあ。青春を描いた漫画は数多くあるけど、頭の中や目に見えたもの、その温度ごと表わそうとする俳句が題材だからこそ、とびっきりきらめいて見える。
安定しないけどホームランバッターの莉央。俳句に詳しいけれど突き抜けられない山本。素人だけど肝の据わった杉山。敵として登場する人物たちも、才能のかたちが違って良い。得意なことばかりではないけれど、迷惑も時にはかけるけれど、それでも走り続ける。「俳句」が生み出すチーム戦、いっときも目が離せない。

(2巻28ページ)

 同じ人も同じ作品も存在しない。まるで自分も周りも好きになっていく魔法みたいだ。

 

ぼくらの17-ON! (1) (ジュールコミックス)
作者:アキヤマ 香
出版社:双葉社
発売日:2013-06-17
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