ユニバース新感覚SFギャグ『宇宙戦艦ティラミス』をあのお方のナレーション風に語ってみた

マンガサロン『トリガー』2016年05月14日 印刷向け表示
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宇宙戦艦ティラミス 1 (BUNCH COMICS)
作者:
出版社:新潮社
発売日:2016-05-09
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第一話を読んだ時から周囲に布教し続けて来た怪作の第一巻が遂に発売しました! 単行本が出たらWebでもお店でも推そうと決めていたので、満を持して推します。

この『宇宙戦艦ティラミス』は、汎用人型兵器デュランダルに搭乗する若き天才エースパイロットである、スバル・イチノセの物語。

時は宇宙暦0156年。

壮大な星の海を舞台に、美麗な絵で描かれるシリアスなSF……の皮を被ったバカなコメディです! まさかそう来るとは!

戦艦ティラミス内での集団生活に馴染めず、コックピットこそが自分の聖域であるというスバル・イチノセの日常に起きる事件の数々を、いくつか銀河万丈さんナレーションの某次回予告風に紹介していきましょう。


第一話

人の世の喜びも悲しみも、一瞬の星の瞬き。万物流転。全てが宇宙に仕組まれた、巨大なイルミネーションだとしたら。底知れぬ闇の中にしつらえられた、ただ一つのコックピットに座り、いつ出撃するとも知れぬ愛機デュランダルの中で、揚げたての串カツを見つめる者。それは誰か。

『宇宙戦艦ティラミス』第一話FLY IN SPACE。コックピットにぶちまけたキャベツは、苦い。


第二話

何故にと問う。故にと答える。だが、人が言葉を得てより以来、問いに見合う答えなどないのだ。問いが剣か、答えが盾か。果てしないD・フォトンランチャーの撃ち合いに散る火花。後ろ前に来たシャツにこそ、真実が潜む。

『宇宙戦艦ティラミス』第二話「NAKED DANCE」。宇宙の闇が、茶番を隠す。


第四話

荘重なる欺瞞、絢爛たる虚無。銀河を睥睨する大伽藍が、不可侵のコックピットに新たなる主を受け入れる。メカニック・シゲコ。レース張りの玉座、虚飾の交通安全お守り、油性ペンで記述されし真名……。侵された聖域で、忌まわしくも懐かしい、あの臭い、あの音が蘇る。

宇宙戦艦ティラミス』第四話「DO NOT DISTURB」。シゲコに仕分けられたAVは、死の匂い。


第五話

愛を見たのが幻想なのか。心の渇きが幻想を生むのか。戦いの果てに理想を見るのが幻想に過ぎないことは、兵士の誰もが知っている。だが、リージュ中尉のあの揺れる乳が、髪の震えが幻だとしたら……。そんなはずはない! ならば、この世の全ては幻想に過ぎぬ。では、このコックピットは誰のものだ。

宇宙戦艦ティラミス』第五話「BLUENESS」。前屈みのスバルに、神もピリオドを打たない。


といった形で、イケメンエースパイロットに襲い掛かる数々の受難が、本人には至って真剣に、されど見ている者には極めて愉快に描かれます。

新型デュランダルに搭乗するも、シゲコにマニュアルを下巻しか貰えず操作が不明で、適当なスイッチを押すと正面モニターが二画面に分割され、あまつさえそこには駅伝中継が! 見にくい! 小惑星に衝突する寸前だというのに、カスタマーセンターも休みだ! というシーンや、出撃前にアイスを食べ過ぎてコクピット内で激しくもよおしてしまい、ビニール袋を取り出すも、ハーゲンダッツの箱の角のせいで割と大きな穴が! などのシーンも声を出して笑いました。

人間は、どんな時代でもどんな場所でもある意味不変であるということを、歴史やSF作品は教えてくれます。スバル・イチノセもまた、漢にしか解らない深い哀しみを星の海の中で味わっているッ……!(それにしても宇宙暦0156年でもDVDやマジカル☆ミラー号は存在するんですね。もしかしたらプレミアが付いているのかもしれません)

伊藤亰先生の高い画力で、下らないシモネタも繰り出される圧倒的無駄遣い! だがそれがいい。そのまま本格SFアクションをやっていてもおかしくない作画で、あえてふざけたことをやる。ンン~~、マンダム。

宮川サトシ先生といえば、前作『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』は非常にシリアスで感動的な内容だったこともあって、その落差に驚きました。されど、それもまた人生。悲しみの深淵に暮れた後には、こんな諧謔が心の隙間を埋めてくれもするのですよね。どちらも併せてお薦めしたい作品です。

壮大なスペースオペラの幕が、開けない。

くらげバンチにて数話試し読みができます。

 

(文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿)

 

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 (BUNCH COMICS)
作者:宮川さとし
出版社:新潮社
発売日:2014-08-09
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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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出版社:中央公論新社
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