ブラックバイトしてる場合じゃない!ゲーマーはメチャクチャ稼げる商売「ウメハラ」

中野 壮一郎2016年06月23日 印刷向け表示
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私は小学生の頃からずっとゲームをしています。それまでに何回、女子から「まだゲームやってるの?何が楽しいの?」と言われたことでしょう。しかし、そんな彼女らも今では暇さえあればツムツムをしているではありませんか。この間、電車に乗っていたら隣に座ったおばあちゃんまでもツムツムをしていました。まさに老若男女がゲームをする時代がきているのです。


しかし、まだゲームに対する社会的地位が低いです。子供の頃は、「足が早い」「勉強ができる」と同じように「ゲームがうまい」ことは自慢でした。それがいつしかゲームを極めることはイケてない帰宅部の遊びのような認識になっていってしまっています。


しかし、ゲームの社会的地位の復帰が望めるかもしれません。それは近頃、プロゲーマーという職業が誕生し、ゲームで生計を立てる人が出てきているからです。

このマンガの主人公、梅原大吾が、まさに「カネの取れる」プロの技を見せつけた、伝説の試合があります。まずはその動画を見ていただき、ゲームで「カネを稼ぐ」というのがどういうことなのかをご理解いただいきたいと思います。

ストリートファイターではガードをしても体力が減ってしまうのですが、2004年の世界大会準決勝で、ウメハラはガードをした時点で負けるという体力にまで追い込まれます。相手は、ここだといわんばかりに必殺技を打ち、勝利を確信しました。ウメハラ以外のすべての人間がそう思ったでしょう。

ところが、ここからがウメハラの伝説の始まりでした。ストリートファイターでは、実は相手の攻撃をうける瞬間にレバーを前に入れることで、たったの60分の1秒、無敵時間が発生するのです。必殺技の蹴りの連打ひとつひとつが当たる瞬間に前入れを行い、すべてガードし逆転コンボを決めることはこのゲームの最高難易度のテクニックになります。それを、世界大会で魅せたこの出来事は、「背水の逆転劇」と呼ばれ歴史に残っています。のちにウメハラは「観客の歓声がすごくてタイミングが取りづらかった」と話しています。確かにこの大歓声は、どれだけ凄いことを見せたのかを教えてくれています。まずは、この動画を御覧ください。

今回紹介するのは、この伝説の当事者、「ウメハラ」の主人公、梅原大吾が日本人初のプロゲーマーになるまでの物語になります。(4巻現在)

学生の頃、ゲームセンターに通うウメハラは、周りからゲームばかりなぜやるのかを問われていました。スポーツができればプロスポーツ選手に、勉強ができれば学者に、絵がうまければ画家や漫画家になることはできるかもしれません。当時、プロゲーマーという名称すらもまだ無かった時代でしょうから、疑問となるのは当然でした。

西出ケンゴロー『ウメハラ』

 

今日、Madcatzとレッドブルと二つの企業がスポンサーについており、ゲーム動画配信サービス「Twitch」のグローバルアンバサダーを務めているウメハラは、それにふさわしいほどゲームを極めています。
私は、「鉄拳」という格闘ゲームを6年間プレイし、80万円は使いました。ゲームセンターで25連勝した経験もあります。しかし、ウメハラはそんなものじゃありません。ウメハラはゲーセンで「ヴァンパイアハンター」を遊び始めると、286連勝し、そのまま閉店時間を迎えたという伝説を残しています。きっと800万円使ったのでしょう(嘘)。

大会戦績はWikipediaによると優勝回数39回とプロにふさわしい戦績を残しています。優勝回数で言うと、現在、大相撲の最多優勝記録を持つ白鵬の37回よりも、ウメハラの方が多いのです。

ゲームの大会ってなんだよ!って思うかもしれませんが、今のゲームの大会はもはやスポーツの世界なのです。優勝賞金が1500万円の大会もあるほどの大盛り上がりを見せています。

西出ケンゴロー『ウメハラ』

 西出ケンゴロー『ウメハラ』

 西出ケンゴロー『ウメハラ』

西出ケンゴロー『ウメハラ』

本当にこんな感じです。今は、公式や有志の主催を問わず、大会は、時に生放送で配信までされており、対戦の実況や解説の人がいます。観客も、対戦が接戦になると大盛り上がりで、拍手やヤジ、応援など様々な歓声が飛んでいます。負けて、仲間同士励ましあい、時には泣いてしまうプレイヤーがいたり、勝って大きくガッツポーズやハイタッチを交わしたりする姿は、見ている側まで熱くさせられます。それは、サッカーや野球の試合観戦をしている時と同じ気持ちです。

子供の頃を思い出してください。例えば、ポケモンバトルで友達と対戦したこと。負けたのが悔しくて、ポケモンを育てなおしたこと。熱中しすぎて夜が明けていたこと。似た経験、誰もが持っているのではないでしょうか。もしくは今もまさにツムツムで友達のスコアを抜いては、スクショを送信し、やりすぎてハートがなくなり「ツムツムのハートが送られてきたよ」と催促のLINEを送りまくったりしていませんか?やってない側からするとやかましいです。


いつの日か、高橋名人の連打が有名になり、連打の回数を競うだけで盛り上がりました。たかだか連打をするだけに過ぎないのに、コントローラーの持ち方や置く位置、ボタンを押す指の力加減を工夫し、より多く連打をする方法を考え、編み出したはずです。自然とゲームは頭を使ってやっているのです。けれど答えがないから難しい。なのに気づけば一日が終わるまでプレイしてしまうくらい、みんなゲームが大好きです。

ドワンゴの代表取締役会長の川上さんは「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」という本を出しています。ゲームは人をポジティブにし、戦略的にする一面もあるのです。

ぜひ、この「ウメハラ」を読んで、ゲームのプロフェッショナルのことも知ってみてはどうでしょうか。ゲームに対する認識がきっと変わると思います。

 

 

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作者:西出 ケンゴロー
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