ウイスキーボンボンで従順なメイドになるような女性を前に、はたして僕は正気を保っていられるのだろうか『酩酊すみれさん。』 the judgement time 〜いま試される男たちの理性〜

小禄 卓也2016年06月16日 印刷向け表示
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マンガHONZのレビュワーをやらせていただいて、もう少ししたら2年くらいになるだろうか。どんどん新しいレビュワーが増え、10人いれば10通りの切り口があり、大変参考になる。レビューを読んではマンガを購入する、そんな日常に感謝したい。

ただ、である。

あまたあるレビューの中で、どうしても賛同できない内容のレビューが一つだけある。それについて、一言だけ物申したいことがあるんだ。

僕の中で問題となったレビューが、増田 桂己さんの書かれた「一緒に飲みたい女の子の理想形!? 『のみじょし』に学ぶ新しい女子力のカタチ。 」である。

のみじょし(1)
作者:迂闊
出版社:竹書房
発売日:2015-07-04
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何が問題なのか、参考までに一部引用させていただく。

何より、主人公の道子(以下、みっちゃん)はビールから日本酒からウイスキーからなんでも飲み、カニから鍋からおせちからチョコからなんでもつまみに食べていきます。その食べっぷり、飲みっぷりは、若者の飲み会離れなんて言っている場合じゃないほど魅力的に映ります。みっちゃんと今すぐにでも一緒に飲みたい! あれもこれも食べさせたい! と思わせてくれます。

確かに、食べっぷり飲みっぷりの良い人と食事の席を共にするのは楽しい。これに関しては議論の余地はない。誰だって、美味しく食べている姿を見るのは気持ちがいいものだ。しかし、本当にこうした女性と一緒に飲めるのが理想かどうか、という点では申し訳ないが賛同しかねる。僕が一緒に飲みたいと思う「女の子の理想形」は残念ながらみっちゃんではない。

これだけは言いたい。僕が一緒に飲みたいと思う女の子。それは、『酩酊すみれさん。』の主人公であるすみれさん、あなたです。

酩酊すみれさん。(1) (ヤングキングコミックス)
作者:中村モリス
出版社:少年画報社
発売日:2015-06-30
  • Amazon Kindle

時には酒乱に身を任せたい夜もある 

会社の同僚にも馴染めずぼっち飯を食べている人見知りが激しい夜ノ森菫(すみれ)さん。意を決して飲みニケーションを始めるものの、毎回特殊な酔い方をしてしまい、同僚で社交性の高いイケメン・朝比奈君にいろいろ迷惑(?)を掛ける、というのがこの作品の簡単な物語である。もちろん、ちょいエロ描写は外せない。

すみれさんの特殊な酔い方だが、お酒の種類によって酔い方が変わるのだ。ウイスキーボンボン(チョコレート)を食べると従順なメイドになり、芋焼酎を飲めばちょっと訛り、ビールを飲めばドSに大変身。チューハイなんて飲んでしまうと、めちゃくちゃチューをしにくる。それでいて目が覚めたら何も覚えていないという。お酒を呑んだら念能力か何かが発動するのだろうか。

すみれさんは、まったくもってけしからん。早い話がただの酒乱である。いや、稀代の酒乱と言ったほうが適切かもしれない。そして、このバリエーション豊かな酒乱っぷりこそが『酩酊すみれさん。』の最大の魅力であり、僕が一緒に飲んでみたいと思う理由でもあるのだ。

僕は、酒乱になることができない。よくベロンベロンになるまで飲みまくる人を見かけるが、あそこまで行ききる勇気がない。記憶をなくすこともなく、そうした状況に陥ってしまうことが怖いのだ。だからこそ、酒乱に対する強烈な憧れがある。決してスケベな気持ちがあって言っているのではないことを強調しておきたい。

そんな憧れも相まって、大体お酒の席ではへべれけになっている人を看病していることが多いのだが、その瞬間、僕はささやかな幸せを感じている。一度へべれけになってしまえば、お酒の席においては完全に邪魔者扱いされてしまうからだ。そこに看病する人間が媒介となることで、へべれけになった人物ははじめてその空間の中で存在意義を持つ。すみれさんは、お酒の席できっと僕を必要としてくれるだろう。そんな喜びを感じられるならば、いくらでも酒乱になればいい。

みんなで考えたい「一緒に飲みたいマンガの女性キャラ」No.1

すみれさんの酒乱に加えてもう一つ注目しているのが、朝比奈君の理性だ。朝比奈君の過去の描写はあまり多く描かれていないが、おそらく童貞か、女性経験が著しく少ないと思われる。それを考えると、もしかしたら酒乱モードのすみれさんは、朝比奈君にしか見えていないのでは……?もし理性を持った大人の男性にしか見えない座敷わらしがいたとしたら、多分すみれさんがそうなんじゃないだろうかとさえ思えてくる。

酒乱モードのスミレさんに対して彼がこの先どこまで理性を保てるのか、今後も固唾を呑んで見守りたい。

ここまで書いて来て、だんだん自分でも何を言っているのか分からなくなってきた。むしろ、「一緒に飲みたいマンガの女性キャラ」について、飲みながら語り明かしたくなってきた。まさか、僕が一緒に飲みたかったのは増田さんだったのでは……。

現場からは以上です。

酩酊すみれさん。(1) (ヤングキングコミックス)
作者:中村モリス
出版社:少年画報社
発売日:2015-06-30
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酩酊すみれさん。(2) (ヤングキングコミックス)
作者:中村モリス
出版社:少年画報社
発売日:2015-11-30
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