無慈悲なダークファンタジー『アヴァルト』がただごとじゃない!『怪物王女』光永康則最新作

マンガサロン『トリガー』2016年06月16日 印刷向け表示
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アヴァルト(1) (シリウスKC)
作者:光永 康則
出版社:講談社
発売日:2016-05-09
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これは、面白い!

ページを捲った時に訪れる衝撃の数々!
予想を気持ち良く裏切られる瞬間の確かな悦び!
それは漫画を読んでいて幸せな時間です。

とりあえず、読んで欲しい。
もう何も言わずに、一冊を読み通して欲しい。
なぜなら、もしかしたら語ってしまうことによって読んだ際の感動が減る恐れがある……これは、そういうタイプの作品であるからです。

こんにちは、マンガサロン『トリガー』店長の兎来です。

もし私の審美眼を信じてもらえるならば、この『アヴァルト』はもう以下の文章は読まずに買って読んで欲しいと思います。流石は『怪物王女』の光永康則先生……! そう言って拍手したくなる最新作です。

前情報や先入観はなるべく排し、まっさらな状態で読み始めて欲しいです。
私はこういう作品、大好きです。

ただ、それだけではレビューにならないので、少しだけ紹介をします。

が、以下の文章には、ほんの冒頭部分のネタバレが含まれています。
それでも大丈夫という方は、お進み下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年タギは、母の病気を治す薬のため、砂漠を越えて街へやってきた。しかし、その街は「スパゲッティ」と呼ばれるモンスターによって制圧されてしまっていた。

何体ものスパゲッティによって惨殺される人々。崩壊していく街。最早、このまま滅ぶのを待つのみなのか――

空飛ぶスパゲッティー・モンスター教の信徒が歓喜しそうなおぞましいモンスターが跋扈する、シビアなファンタジー世界を描いた物語として開幕する本作。最序盤からどんどん人が惨殺されて行く様に、絶望感が漂います。

しかし、この世界には神、「アヴァルト」が存在。

人々が襲われ、一定数が死亡するとそれを見計らったように現れる「アヴァルト」。

その時降臨した二柱の「アヴァルト」は、圧倒的な力で次々とスパゲッティを殲滅していきます。

そうして人々は守られ、街は助かった……

かのように見えたのも束の間。

 

ああああああああああ!!!!?

お母さあああああああああああん!!!!!!!?????

無慈悲に切り捨てられる、タギの母! 
しかも、その理由は「我々アヴァルトと同じ銀髪だから」という理不尽すぎる理由!! 神は人間を守るばかりの存在ではなかった!!

こんなことを見せられて頭に来ねえ息子はいねえッ!
その時から、タギは強大なる「アヴァルト」への復讐の炎を燃え滾らせる!!


……と、まあここまででも「ええっ」と驚かされるシーンがありますし、純粋に面白いです。絶望感と、絶対強者への復讐の誓い。『進撃の巨人』などのテイストが好きな人にお薦めできそうな感じですね。ちなみに、ここまでの情報は単行本の裏表紙に書かれていることでもあります。

しかし、『アヴァルト』の真骨頂はここからなんですよ!
この後、「えええええええっ!?」となる展開が待っているんです!

カギを握るのは、某国民的RPGを髣髴とさせるべらぼうに強いカエル剣士のネッド。タギは彼と旅をしていくことになります。ネッドの背景にあるものは想像を絶しました。彼は彼で、途轍もない危機の切迫に晒されているのです。

ネッドの置かれた状況にも解き明かすべき謎が含まれており興味を唆られますし、どんどん悪化して行く状況がもたらす緊張感が凄まじいです。とりわけ、この第一巻の引きを見て、「早く続きを読みたい!」と思わない人がいるのでしょうか。

ネタバレは全然気にしないよ、という方にだけ記事の一番下でその一端だけチラ見せします。

 

なお、余談であり大事な話でもありますが、シノアの絶妙なアングルにも筆者のこだわりが感じられますので、注目です。

鼠径部や臀部のラインが極めて絶妙ですね。

ニコニコ静画で一話も読めますので、まずはそちらからでも大丈夫です。
http://seiga.nicovideo.jp/comic/19698

8月には早速二巻も発売予定ということで、見逃せませんよ!

 

 

 

※以下は第一話の核心に少し触れるネタバレです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


西暦12094年!

そう、本作はファンタジーに見せかけたSFでもあるのです! 藤子不二雄ファンなら思わずニヤリとしてしまう(○○○○○○の○を思わせられる)描写もありますね。上記のファンタジー世界と、このSF描写がどう融合して行くのかは、是非実際に読んでみて下さい。なかなか他にない妙味を味わえますよ。

 

(文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿)

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