あの超大作「近未来SF冒険SEXYバイオレンスラブロマンスせんずりコメディち○こ漫画」がついにkindle化されたので、もう一度ねっとりおススメさせてほしい『狂四郎2030』 しかも3巻まで期間限定で無料!

山田 義久2016年07月01日 印刷向け表示
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 「近未来SF冒険SEXYバイオレンスラブロマンスせんずりコメディち○こ漫画」とは本作のあおり文句として有名ですが、このマンガ史に残る傑作がついに今日kindle化されました。しかも3巻まで期間限定で無料!このタイミングで読まなかった人、絶対に後々に公開させる自信あります。

実は既にレビュー書いてあり、あらすじ詳細はそちらを見てほしいのですが、ちょっと改めて、見どころをかいつまんでみました。

1.「純愛を守るために暴力とセックスを駆使する」という今時炎上しそうな話が果てしなく美しく描かれている

本作の大筋は、遺伝子差別を受け蔑まれている元軍人・狂四郎が、北海道の政府基地に幽閉されたエンジニアである恋人・志乃に会いに行く、という話です。
二人とも不遇な時代に生まれ、不遇な境遇で育ち、ようやく見つけた純愛、それもバーチャルリアリティのなかでしか会ったことがない二人。しかし、二人はどうしても実際に会いたいということで、徹底的にプラグマティックに生きようするわけです。つまり、狂四郎は自分の行く手を邪魔するもの、敵、幼馴染関わらず、すべて切り刻んでいくし、志乃は政府高官を懐柔するためには色目を使って抱かれたり、結婚してしまうことを厭いません。
そんな過酷な環境や度重なる障害に二人は何度も心をつぶされそうになりながら、それでもお互い一歩一歩物理的な距離を縮めていく。そんな広い意味でのサバイバル能力には他の作品にない迫力があり、読み始めたら止められません。

(出所:第18巻)

2.今流行りのVR(バーチャルリアリティ)とバイオテクノロジーが発展、そして政治利用された未来描写がやたらリアル

最近盛り上がりをみせるVR(バーチャルリアリティ)。そんな中、先月12日に開催されたアダルトVRフェスタが超満員になり中止になったことが話題になりました。昨今のVR機器の勃興とともに、バーチャルセックスに対する需要は噴火寸前なのです。
そして、まさに本作はバーチャルセックスが重要なキーワードとして登場します。というのも、政府は強権で国民を抑圧する一方で、その不満をそらすためにバーチャルセックス機器を与えるという政治利用をしているのです。そして、そんな汚れた動機で導入された機器のなかで、逆に主人公二人の純愛が生まれるわけです。
おそらく現実世界でも今後、鶏か卵が先かじゃないですが、バーチャルで純愛としようとして犯罪溢れる性世界が生まれたり、やましい動機のシステムから逆にピュアな恋愛が生まれたり、、、などするでしょう。これから起こりうるVRをめぐる混沌を本作は既に予言しているのです。
一方、バイオテクノロジーに関しては、既に今、遺伝子検査キットが手頃な価格で売られ、個人でチェックできる体制が整いつつあります。自分もやってみて思ったのですが、遺伝子解析して出てきた大量の項目の一部を適当に曲解し差別を叫ぶなんて簡単なことです。それが何かのきっかけで扇動され、政治的に利用される未来はおそらく来ると思います。もちろん、本作ほど極端に遺伝子差別が起こることは考えにくいですが、起こりうる未来にかなり強い示唆を与えていると思います。
ちなみに、この『狂四郎2030』と『ルサンチマン』はVRを語るときに絶対外せないマンガ2冊として語り継がれていくことは確実なので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

ルサンチマン(1) (ビッグコミックス)
作者:花沢健吾
出版社:小学館
発売日:2004-05-28
  • Amazon Kindle

3.強者、弱者関係なく、人が群れたときの恐ろしさがありありと描かれている

舞台設定は、2050年の日本。深刻な食糧危機により第3次世界大戦が勃発し、世界が荒廃した後の世界です。日本政府は遺伝子を利用して国民をクラス分けしているのも、差別を利用して組織のヒエラルキーを作り上げ、列強との総力戦に備えるため。強権をつくりあげた独裁者自身も国が安定フェーズに入ったら排除されたりと、、主人公・狂四郎たちと対峙する政府側にも、敵なりの矜持や哀愁のようなものが垣間見れ、「悪と戦う絶対正義!」みたいなわかりやすい話ではないのです。
一方、虐げられている国民側も「弱いものたちが夕暮れ、さらに弱いものをたたく・・」じゃないですが、自由を求めてレジスタンスとして戦うという共通目的で団結するために、少数派を粛正したり、まぁ、結構えぐいことしたり、、と、現実で起こる似たような出来事に思いをはせてしまいます。人が集団になったときの恐ろしさがリアルで考えさせられます。

 

(出所:第15巻)

さらっと書いただけでもこのような、見どころたくさんのこの作品。ほかにもいろんな切り口で解釈でき、読んだあといろいろ語りあいたくなるほど深みがあります。
総じて、なんか、傑作中の傑作によくある、物語が勝手に進んでいっただろうなと思わせる、理性で綿密に設計して作り上げた話でなく、描いているうちに物語が勝手に進んでいったのだろうな、、みたいな人智を超えたレベルの完成度の高さを感じます。ほんとにマンガ史に残る作品であることは確実で、今なら無料で一歩踏み出せる千載一遇のチャンスです!
超おススメ!

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