できる男は役勃たず ED男と挿れたい女のツッコミが追いつかない物語『やわらかい。課長 起田総司』

佐藤 茜2016年07月01日 印刷向け表示
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やわらかい。課長 起田総司(1) (モーニング KC)
作者:カレー沢 薫
出版社:講談社
発売日:2015-02-23
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 「EDを治したい」
「これってもしかしてEDなのかな?」

などの真面目な悩みを持ってこのページを開いた人は今すぐ閉じてください。残念ですが、この本にはEDを治すのに必要な情報は一切ありません。あるのは、アホな男心、えぐい女心、そして鋭すぎるギャグだけだ!

そこそこの企業に勤める起田総司は、同期トップで課長に昇進。しかし時を同じくして、10年付き合った彼女に浮気され、あえなく失恋。心の変調は身体の変調。彼の男性機能に異変が起こった。初期ED課長・起田総司誕生。この物語はあくまで男と女の心の問題にフォーカスします。(作品紹介から引用)

というのが、この物語のあらすじ。もう、主人公がEDってだけでツッコミの追いつかなさが大気圏を突破してるのですが(馬鹿にしている訳ではなく斬新という意味で)、物語を読み進めると太陽系どころかアンドロメダ銀河(地球から約250万光年)を遥か越えていることがお分かりいただけると思います。

まず長年付き合った彼女に振られた理由の一つとして描かれているのがこちら。

 
『やわらかい。課長 起田総司』1巻(著:カレー沢薫 出版社:講談社)14〜15P

ホラーですよね。
で、これだけではなくて女性への本質的な興味のなさも露呈します。

『やわらかい。課長 起田総司』1巻(著:カレー沢 薫 出版社:講談社)60P〜61P

こんなクソ野郎の起田(ED)ですが、出世頭だからでしょうか。同時に4名の女性から言い寄られ、全員が起田の起田を元気にしようと奮闘することになります。「ああ、エロマンガでよくある展開ですね」と思うかもしれませんが、そうは問屋がおろさねぇ。まったくエロに没入させてくれません。

カウンセラーは

『やわらかい。課長 起田総司』2巻(著:カレー沢 薫 出版社:講談社)10P 

勤め先のコンドーム開発会社の天才研究者から変なタスクを投げられて、

『やわらかい。課長 起田総司』1巻(著:カレー沢 薫 出版社:講談社)63P〜64P

同期の女性社員も…

『やわらかい。課長 起田総司』1巻(著:カレー沢 薫 出版社:講談社)74P

同じ課の事務担当でさえ…

『やわらかい。課長 起田総司』1巻(著:カレー沢 薫 出版社:講談社)78P〜79P

他の追随を許さない先が全く読めない具合は、さすがカレー沢 薫先生としかいいようがありません。デビューの経緯でさえ、普通の原稿用紙に描いて編集部に送るのではなく、ブログに載せていた未完の漫画(Photoshopでサイズは特に指定していない)をプリントアウトしそのまま投稿、落選したものの、編集長の目に止まって掲載という伝説を持つ方です。ロックだぜ…。

2巻からは、読者が悩みを持ち込みカレー沢先生が回答するコーナーが掲載されています。が、これも回答がロックにもほどがある。

『やわらかい。課長 起田総司』2巻(著:カレー沢 薫 出版社:講談社)68P

しかし素晴らしいのは、物語はもちろん質問への回答も、一見奇をてらっているようでいて、ものすごく本質をついていることです。本作品は全3巻。読み進めるうちに、男心と女心も分かってくるのではないでしょうか。

もう長い事沢山マンガを読んでいるので、たいていの事には驚かない上に予想もつくことが多くなりました。しかし、カレー沢先生の作品はいつも1ページ先、いえ、1コマ先でさえ予想ができず、読む快楽を思い出させてくれます。

読書不感症を治すEDマンガ。オススメです。

 

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