お子さんの写真をもっともっと撮りたかったお父さんへ。なかよし家族のセリフつきアルバム『おやおやこども。』 かざりけなくて、かけがえない日常

宮﨑 雄2016年08月04日 印刷向け表示
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おやおやこども。
作者:木下 晋也
出版社:PHP研究所
発売日:2015-05-21
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「笑い」には大きくわけて2種類あると思います。
ひとつはいわゆる「お笑い番組」のような、自分とは直接関係ない文脈での滑稽さや不条理さを笑うもの、ふたつめは自分の周囲の文脈ありきの内輪ネタです。

内輪ネタはいわば、オーダメードの家内制手工業。よく言えばその場に適した、悪く言えばその場限りの「笑い」です。再現性がないからこそ、思い出としてそこにいた人たちの記憶に残ります。多くの方のいちばんの笑いの思い出は、こちらになるのではないでしょうか。写真を撮っておきたくなるのって、そんな時です。
そんな"内輪ネタ"がいちばん生まれやすいのが親子という間柄ではないでしょうか。子は生まれてからしばらく親だけと過ごしますし、成人するまでは多くの人が一緒に暮らします。それだけチャンスがあるはずです。 子供の写真をもっと撮っておけばよかったという声は、お子さんが小さい時に生まれた内輪ネタを、将来お子さんと共有できないことへの後悔なのかもしれません。

今回おすすめする『おやおやこども。』はそんな後悔を持つ親御さん方に読んでいただきたい作品です。あの時カメラに切り取れなかった日常が、アルバムのページをめくったときのように思い出されると思います。


なぜか笑ってしまう、木下家の”内輪ネタ”

『おやおやこども。』はマンガ家・木下晋也さんの育児マンガです。第一子のコースケくんが奥様のお腹に宿ったところから、幼稚園入園までを描きます。

ところで、さっき褒めちぎった内輪ネタという「笑い」ですが、まったく文脈を共有していない状態でやられると事故が起こります。「笑い話を喋っている奴だけが笑っている」という最悪な感じの空気になります。 それはマンガでもたぶん同じで、今『ちゃお』で連載している作品が『8時ダョ!全員集合』のパロディをやったところでいつもの読者は誰も反応できません。

「育児マンガ」というジャンルはある意味、そんなリスクの上で描かれているのかもしれません。言ってしまえば、隅から隅まで他人事だからです。
ですが『おやおやこども。』はそんな綱渡りを全く感じさせず、子供の子の字すらない独身男子もフフっとなってしまう説得力があります。
見知らぬ人たちの内輪ネタなのに、毎ページ笑ってしまいます。 




 

あとがきで木下さんは、お子さんをみていて「ほほえましい」ではなく「フツーに笑ってしまう」とおっしゃっています。その「笑い」を同じ家庭で過ごしているという文脈を持たない人にも違和感なく伝えるのは、実はすごいことだと思います。

この前、カメラの上手な友人に素敵な写真を撮るコツを訊いたところ、「素敵なものを撮れ」というアドバイスを貰いました。なるほど、まず自分が素敵だと思わなきゃ、素敵に撮ることもできません。
木下さんはきっとお子さんのことだけではなくて、お子さんがいる日常そのものを愛しているからこそ、アルバムをつくるように『おやおやこども。』が描けるのでしょう。

気になった方は続編が連載中なのでぜひぜひ。
タイトルはずばり、『おやおやこどもこども。』です。

おやおやこども。
作者:木下 晋也
出版社:PHP研究所
発売日:2015-05-21
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