痔はイケメンとの出逢いを呼ぶ!? ちょっと変わった等身大アラサー女子恋物語『マコちゃん、さ』

マンガサロン『トリガー』2016年08月08日 印刷向け表示
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マコちゃん、さ (KCx)
作者:たま いずみ
出版社:講談社
発売日:2016-05-06
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世の中、何が原因で何が起こるかは分かりません。
塞翁の馬が逃げれば息子が戦争から逃れられ、北京で蝶が羽ばたけばニューヨークでハリケーンが起きる。そういった、因果が連鎖して起こる一見不可解な出来事は日常的に頻発しています。

それ故に、この漫画で起こるようなことも現実にないとは言い切れないでしょう。

そう、ダメダメなアラサー女子が痔になり肛門科に通院することで、医者の息子であるイケメンとのラブロマンスに至ることもあるのだ、と……!

 


等身大ダメダメアラサー女子の擬似モテ期

酒屋の娘であるヒロインのマコは、決して美人ではなくスタイルが良い訳でもない、普通の26歳の女子。以前の職場での失敗により塞ぎ込み、家事手伝いもロクにしないニートとして燻っていました。そんなある日、痔で通院していた肛門科で、同じく痔になったイケメン・タダシに出逢います。そして、すぐに意気投合し親密になったマコは何とその日の内にタダシの家(豪邸)に呼ばれ……

ここまでだけを読んだら、非常にメシマズかもしれません。
切実に男性との縁を求めている方は
「肛門科にそんなイケメンいねえよ!」
あるいは
「いくらでも痔になんてなってやるから、医者の息子の優しいイケメン出せよ! ……出して下さい、お願いします」
とお思いになるかもしれません。

が、しかし。

マコは、最終的には上手く行きません!
途中までは非常に順調に見えながらも、破綻していきます。

その後も、マコは様々な男性と親密度を増していきます。
密かに憧れていた元担任の先生、元同級生、ダンサー、クールな黒髪男子……
マコは人生最大のモテ期を迎えます。

それでも、誰とも結ばれることはありません。
ああ、哀れマコちゃん……。

でもですね、この作品はそこが逆に良いのですよ。
普通の昨今のアラサー女子恋愛モノは、何だかんだ言って主人公は可愛くて、イケメンとくっつくことが多いです。ただ、現実はなかなかそう上手くいかない。そこで、現実で上手くいっていない人が、本作を読むと「そうそう、それな!」と膝を打ちたくなるシーンをいくつも見付けられるでしょう。
自身の問題であったり、些細なすれ違いであったり、上手く行きかけながらもダメになってしまう。非常によくあることです。そういった原因となる細かな出来事や性格の不一致が、鋭い観察眼によって非常にリアルに掬い取られ、描かれています。

上手くいかないマコに共感し、応援したくなる。不思議な魅力を持ったヒロインです。こういうタイプのヒロインはなかなかいません。

又、もう一つこの作品で良いのは、この第一巻の最後でマコが辿り着く境地です。

沢山の男性と関係を持ちながらも失敗し続けるマコ。しかし、そんな自分の赤裸々な失敗談を話すことで、こんなダメな自分であっても人を幸せにすることができるのだ、とマコは気付きます。

人生は、自らの幸せばかりを追求するとむしろ辛さが際立つばかり。逆に、人のために、他者の幸せのために生きようと心から思えた瞬間から、苦はそれまでと同じ苦ではなくなり、真の生の充足を得られるようになって行くものです。

マコは、一つの真理に到達したように感じられます。最初は家でダラダラとしていたマコが、六話ラストでは人をハッピーにするべく元気に外へと駆け出して行く。その成長した姿と、前向きな姿勢に心に温かなものが宿ります。

この作品を読んで、マコちゃんの姿に笑ったり元気を貰ったりしつつ、何か人に幸せを与えられるように行動してみると結果的に自分自身も幸せになれるのではないでしょうか。

二巻の発売はまだ決定されていないそうですが、良い漫画ですので切に発売を望みます。
マコは今後も様々な苦難に遭いそうですが、最後にはしっかり自分も幸せになれますように。

 

(文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿)


 

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