ゲームで子どもの学力は下がるのか?ドラクエをめぐる漫画で見つけたひとつのヒント。 すべての親が悩む難題のヒントは、ドラクエⅩで出会った人々を描いた『ゆうべはお楽しみでしたね』にあった!

今村 亮2016年08月26日 印刷向け表示
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ゲームをすると子どもの学力は下がる?

ゲームと教育の問題には、すべての親が頭を悩ませているのではないでしょうか?ゲーム大好きな筆者にも3歳の子どもがおり、これから先のことが心配です。

結論から言うと、いま教育現場では小学生のゲーム時間とテスト正答率には相関があると見られています。たとえば2015年に行われた文部科学省「全国学力・学習状況調査」の結果を分析すると、長時間ゲームをする小学生ほど正答率が低いことがわかります。



(グラフはgarbagenewsより引用)
 

ゲームを禁止すれば子どもの学力は上がる?

だからといって、「ゲームをする→学力が下がる」という因果関係が成り立つわけではありません。なぜなら同じ調査を下記のように分析することもできるからです。

都道府県ごとに長時間ゲームプレイ率を比べたときに、最もゲーム時間が短いのは沖縄県(22.9%)、長いのは北海道(37.9%)となっています。しかしテスト結果を比べてみるとと・・・

■2015年度 全国学力・学習状況調査:正答率ランキング
45位 北海道
46位 滋賀県
47位 沖縄県

最もゲームしている北海道と最もゲームしていない沖縄県が、成績ワーストを争う結果となっているわけです。ですので、北海道教育委員会が「ノーゲームデー」設置を発表したときに、こんなツイートが評判になったりもしました。

もしかしたらゲームの他にも、学力と相関の高い要素が何かあるのでしょうか?
 

大きなヒントを漫画に見つけた!

そのヒントを、ガンガンオンラインで連載中の『ゆうべはお楽しみでしたね』に見つけました。

ゆうべはお楽しみでしたね(2) (ヤング
ガンガン
コミックス)
作者:金田一蓮十郎
出版社:スクウェア・エニックス
発売日:2016-02-12
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この作品はオンラインゲーム「ドラクエⅩ」で知り合った二人をめぐる、ほのぼの日常系ラブコメです。

主人公パウダーさん(22歳男性)とゴローさんは、ネットで毎日のように交流する仲間。ある日パウダーさんは、引越先に困っていたゴローさんにシェアハウスをしないかと持ちかけます。待ち合わせ場所にいたのは、ギャル!
 

(画像は『ゆうべはお楽しみでしたね』より)

気の弱いオタク男子と強め女子の距離感は、ドラクエⅩを通して少しずつ近づいていきます。しかも、ともに日常生活を送る上で少しずつ明らかになるゴローさんの素顔が超絶かわいいのて、男子読者は簡単に恋に落ちる破壊力抜群のラブコメに仕上がっております。

しかし筆者が本稿で注目したいのは、主人公パウダーさんとゴローさんではありません。ふたりがドラクエⅩで所属するチーム「ヘブンスライム」のメンバーたちなのです。

家族でオンラインゲーム?!

作中に登場するオンラインコミュニティ「ヘブンスライム」は知り合い同士が始めたチーム。特に家族や親族が中心になっているのだそうです。なので、はじめてパウダーさんが参加したオフ会には、幹事が子どもを連れて来ているし、姉弟もいます。
 

(画像は『ゆうべはお楽しみでしたね』より)

親子でオフ会か・・・。

筆者はオンラインゲームに疎くて想像がつかないのですが、親子でパーティを組んでモンスター討伐に行くなんて・・・・母子でオフ会に出席するなんて・・・そんなのって、うまくいく家庭があるのですね・・・。

筆者の疑問をよそに、「ヘブンスライム」に所属する家族たちは、仲間と一緒にオンラインゲーム生活を楽しく過ごしています。

家族とのコミュニケーションと学力

実は、学力と関連する重要な要素は家族なのです。

ベネッセ教育総研の統計によると、よく保護者とコミュニケーションする小学生の方が学力が高いという結果があります。逆に「勉強しなさい」と毎日言われる小学生は学力が低いのだそうです。

(グラフはベネッセ教育情報サイトより引用)

ゲームでも、ピアノでも、勉強でも、子どもが得るべき体験は何でもいいのかもしれません。しかし常に重要なのは、その体験について語り、意味づける親子のコミュニケーションです。

だとすると、もしかしたらオンラインゲームに家族で参加する「ヘブンスライム」的な在り方は、新しい時代の模範的な家族コミュニケーションの在り方だったりするのでしょうか・・・?
 

気になるのは模範的なマリオ君!

そういう視点で「ヘブンスライム」を観察してみると、特に気になるのは関西人のマリオ君です。

姉とともに参加するマリオ君は、ハタチの大学生。オフ会で緊張するパウダーさんをあたたかく迎えてくれるイケメンです。 周囲を気遣うとともに、さりげない自信が見て取れます。

 

(画像は『ゆうべはお楽しみでしたね』より)

また、マリオ君の大学生活を見てみましょう。

大学の友人にオンラインゲームの遊び方を相談され、マリオ君は当然のように親切に対応します。マリオ君はハードとネット環境を確認するため、しれっと家に上がり込むさりげなさもさすがです。あまりの豪邸にびっくりしますが、その驚きをバレないように隠す気遣いもさすがです。また、彼女がマリオ君に気があるわけではないことがわかっても、気落ちせずに紳士な対応を続けるあたりもさすがです。
 

(画像は『ゆうべはお楽しみでしたね』より)


マリオ君、理想的な若者なのではないか・・・?

うちの3歳児もマリオ君みたいに育ったら、筆者は万々歳です。どうやったらマリオ君のような男子が育つのでしょうか。もしかして、家族でドラクエⅩのコミュニティを共有した体験が良い方向に影響していたりするのでしょうか。

こうなると、彼がいったいどんな大学で何を学んでいるのか気になってきます。マリオ君はこういったスピンオフ回が設けられるような隠れ人気キャラですから、素性はもう少し明らかになるかもしれません。今後に期待です。

子どもの学力を上げたいならば、ゲームよりも家族のコミュニケーション。

まとめます。学力とゲームには相関はあるけれど、ゲームだけを禁止しても意味はありません。それより重要なのは家族のコミュニケーションです。

ゲームをする上でのルールを家族で話しあったり、ゲームでどんな体験をしたか話したり、ときには一緒にゲームしたりすることが重要です。そう「ヘブンスライム」のメンバーのように。

ドラクエをめぐるつながりには、筆者は特別な期待を持っています。別にポケモンでもFFでも構わないのですが、筆者にとってはドラクエです。それを描きだしてくれているのが『ゆうべはお楽しみでしたね』です。

本作は、ドラクエをめぐる家族の物語です。それはシェアハウス・オンラインゲームを中心に拡がっていく多様な家族コミュニケーションを意味します。きっと今後の連載でも新しい家族づくりのヒントが押し付けがましくなく添えられ、親世代にゆるゆるふわふわと示唆をもたらすでしょう。

筆者が人生ではじめてクリアしたRPGはドラクエⅢ。それからドラクエⅥをクリアし終わるまでの8年間は人生の礎であり、家族や友だちとの思い出がたくさん詰まっています。 もちろんマリオ、FF、聖剣、シャイニングフォース、アクトレイザー、ゼルダ、タクティクスオウガ、フロントミッション、クロノトリガーなど、スーファミ黄金期の伝説的ゲームにお世話になりましたがやはりドラクエです。筆者がドラクエから多くのことを学んだことは間違いありません。

時は流れ、今年はドラクエ30周年なのだそうです。いつの間にか筆者はオルテガやパパスの年齢になりました。渋谷のドラクエミュージアムで感涙でむせび泣き、スライムカレーを食べて帰り際、無意識に子どもへのお土産を探している自分を客観視して、はっと気づきました。

そういえばドラクエⅤには、主人公が途中で「自分が勇者ではなかった」ことに気づくシーンがあります。そして魔王を倒すため勇者を探す旅に出るのですが、ついに探し当てた勇者は、なんと自分の息子なのです。

親としての私たちは、次の世代の勇者に人生をつなぐ責任があります。これもまた、筆者がドラクエから学んだことです。
 


(画像は『ゆうべはお楽しみでしたね』より) 
 
 
 

神田明神でロトの鎧と剣のお清めと祈願をしてきました。なかなかの迫力ですよ。 pic.twitter.com/90XawaL22d
    — 堀井雄二 (@YujiHorii) 2016年7月14日

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