人はヒューマノイドと恋愛ができるのか。AIの未来を描くSF版ブラックジャック『AIの遺電子』 悩めるAIたちに寄り添う新医者・須堂の物語、開幕!近未来系ヒューマノイドSF医療物語!

筧 将英2016年08月24日 印刷向け表示
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AIの遺電子 1 (少年チャンピオン・コミックス)
作者:山田胡瓜
出版社:秋田書店
発売日:2016-04-08
  • Amazon Kindle

人間が想像できることは、人間が必ず実現できる

SFの父、ジュール・ガブリエル・ヴァルヌが残した言葉だと言われている「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という言葉が好きです。

最近、テレビなどでも話題になっていますが、人間が昔から夢見てきた人工知能・AIがブームとなり、さまざまな分野でAIが取り入れはじめています。きっかけはディープラーニングという技術が発展したからですが、一般的にはソフトバンクのPepparなどの人形型ロボットが街で見られるようになったことやディープマインドという企業のAlphaGOというソフトウェアが韓国の囲碁のプロを打ち負かしたことが有名ですね。

以前、同じ著者の作品を紹介した”古いケータイ、流行していたSNS、オンラインゲームで出会った匿名の誰か。『バイナリ畑でつかまえて』”は、今ある技術と近い将来開発されるであろう技術と人間との関係性をユーモアを持って紹介する作品でしたが、今回紹介する作品『AIの遺電子は』、現在あるAIのレベルではなく、もっと進んだ"ヒューマノイド"と人間の共存の物語です。

人が欲しいと思うからこそ技術は開発されますが、AIやそれを超えたヒューマノイドの存在に対してはさまざまな領域で摩擦が起きることが想定されます。この作品はそれを描いたSF作品です。

人間と変わらない人権を持つヒューマノイドがいる世界

 

ヒューマノイドが人間と同じ容姿と知性を持ち、人権を保有している世の中において、主人公はヒューマノイド専門の医者をしています。

AIが今後急速に私たちの生活に介在してい中で、人はヒューマロイドとどう線引きをされるのか。ロボットが感情を持ったとき人間はどう接するのか、あるいはヒューマノイドは人間にどう接するのか。その過渡期における摩擦を医者という視点で主人公は語っていきます。

ヒューマノイドとの共存することによっておきる摩擦

 味覚は人間だけのものなのか

人とヒューマノイドが同じ世界で共存する際に、食事は同じものを食べるのでしょうか。味覚は同じなんでしょうか。ヒューマノイドと共存する場合においては食事ということを考え直す必要があります。落語を学ぶヒューマノイドは、食べる演技において人間との違いに悩みます。

人とヒューマノイドは同じスポーツで競い合うことができるか

今でも高性能な義手や義足が開発されていますが、人とヒューマノイドが同じスポーツで競い合うことは受け入れられるのでしょうか。ヒューマノイドのスポーツの楽しみ方は人間とは異なるものなのでしょうか。

忘れられるという人間の強み

コンピューターはすべてのことを覚えていることができますが、逆に言えば忘れることができません。忘れることができないヒューマノイドと忘れることができる人間には大きな違いがあります。自分の妻を亡くした記憶を鮮明に思い出してしまうヒューマノイドの話。

ヒューマノイドに恋をする男子高校生

人がヒューマノイドのことを好きになってしまったとき、その人はその感情を受け入れることができるでしょうか。 ヒューマノイドの同級生と付き合っている男子高校生の感情。

ヒューマノイドは”人間らしく”生きなければいけないのか

人権が認められているヒューマノイドは、人と同じような生き方を選ばないといけないのでしょうか。自由な体を持っているからこそ人とは違う生き方をしたくなるかもしれません。海の中で生きることを決めたヒューマノイドの女性の話。

これらのストーリーは、未来に訪れるかもしれない人間とヒューマノイドの共存の問題の思考実験として読むこともできますが、人間自体の感情や生き方を捉え直すこときっかけにもなりうる作品だと思います。

鉄腕アトムやブラックジャックの雰囲気が好きならぜひ一読すべき作品です。 

AIの遺電子 1 (少年チャンピオン・コミックス)
作者:山田胡瓜
出版社:秋田書店
発売日:2016-04-08
  • Amazon Kindle
AIの遺電子 2 (少年チャンピオン・コミックス)
作者:山田胡瓜
出版社:秋田書店
発売日:2016-07-08
  • Amazon Kindle
バイナリ畑でつかまえて
作者:山田胡瓜
出版社:
発売日:2015-09-06
  • Amazon Kindle
バイナリ畑でつかまえて
作者:山田 胡瓜
出版社:アスペクト
発売日:2016-08-02
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