コミュ症気味な人必見!周囲とのコミュニケーションを円滑にする要素が「アナログゲーム」にはあったんです!『放課後さいころ倶楽部』 おにごっこやかくれんぼの代わりにやるべきオトナの大事なコミュニケーション

岡田 篤宜2016年09月05日 印刷向け表示
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放課後さいころ倶楽部 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
作者:中道 裕大
出版社:小学館
発売日:2013-09-12
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「アナログゲーム」というと、みなさんは何を思い出しますか?


トランプ?すごろく?それともえんぴつ飛ばしや定規戦なんかを思い出す人もいるのではないでしょうか。カードやサイコロ、コマなどを使って複数人でわいわい話しながらプレイするもの。それが私たちの知るアナログゲームの姿だと思います。


そして私たちは、誰しもこの「アナログゲーム」に夢中になっていた時期があるはずです。それは保育園・幼稚園時代かも知れませんし、小学校時代かもしれません。中学や高校、はたまた大学時代ということもあるでしょう。生きていれば必ずといっていいほど、私たちはアナログゲームに触れ、そして楽しい時間を過ごした思い出を持っていると思われます。それくらいアナログゲームは、私たちにとってとても身近な存在です。


ITの発達よってパソコンやスマートフォンが普及し、デジタルに親しむことが当たり前になった世の中で、今なおアナログゲームに対し強い魅力を感じ、親しみ遊んでいる人達がいる。はたして、ここまで一部の人々を夢中にするアナログゲームの魅力とはいったい何なのでしょうか。今回のレビューでは、普段考えそうであまり考えてこなかった、アナログゲームの魅力について語りたいと思います。

まずは初めに、このマンガのあらすじをご紹介します!

春の京都───――見知らぬ街に引っ越してきた女子高生の綾。彼女とはじめて友達になったのは、引っ込み思案な同級生の美姫。ある日の放課後、委員長の翠の後をこっそりつけて綾たちが訪れたのは、アナログゲーム専門店、その名も「さいころ倶楽部」!!
思わずやってみたくなる、本場ドイツのボードゲームも満載!!「楽しい」を探す少女たちと、心躍るゲームの世界へ!!

アナログゲームが僕らにくれる、とても貴重な3つの「共有」

1. 体験の共有

 

 アナログゲームには多くの種類があり、各々様々なルールと手順、目的があります。そして、私たちはそれらを遊んでは、ルールや手順に従い目的達成を目指す。その過程の中で私達が得られるものといえば、おそれく「体験の共有」と言えるでしょう。

たとえば、主人公たちが初めて「マラケシュ」というボードゲームをやった時、初心者たちが一緒になってアナログゲーム店の店長と戦うエピソード」があります。

 

勝った負けたを繰り返し、勝つための秘策や負けないための予防策などを考える。一つのゲームを繰り返し行うことで、ゲームの特性を理解し同じような体験をプレイヤーたちはしていく。そのなかから私たちは「同じ体験をしている仲間」という意識が生まれてくるのではないでしょうか。そしてその共有は、同じゲームをプレイした者達の結束を強めるものです。アナログゲームをすることで、私たちはお互いの感情を共有しあえるなかになる。だからこそ、アナログゲームはすごいものだと思います。

 

2. 時間の共有

 

 人はだれかとどれくらい長い時間を過ごしたかによって、心理的な距離感を測っていることがあります。仲がいい人は長時間そばに居ても全く疲れませんが、そんなに仲良くない人と一緒にいると気を遣い合って疲れる。そんな経験をしたことが一度はあるのではないでしょうか。私達が他の誰かを知ろうとするには、それ相応の長い時間を必要とするものですよね。アナログゲームは1プレイで2時間ほどかかるものもあるため、一緒にプレイする人間には、「長時間遊んだ」という、それだけの事実で記憶に印象づけるには十分な効果を発揮します。

たとえば、作中で登場人物たちが「人狼」をやった時のお話があります。

 

頭をひねりにひねって作戦を考えだして、他のメンバーと会話しながら勝つために必要な方法をとっていく。プレイヤー全員脳みそに汗水垂らさせながら過ごすあの時間は、ものすごく濃密で、かつ終わったあとに爽快感がありますよね!ある種一つの山を一緒に登った同志のような感覚に近いかもしれません。当事者だけにしか分からない、大事な時間がそこにはある気がします。

3. 感情の共有

アナログゲームも基本は勝ち負けが存在する”ゲーム“です。なので勝てれば嬉しいし負ければ悔しいものです。そんな感情をゲームを通して共有し、互いの人間性を理解し合う。嬉しがるポイント、悔しがるポイントは似ていることもあるし、全く違うこともあります。その差を認めて理解するからこそ、コミュニケーションは成立するのではないでしょうか。

たとえば、「ガイスター」というゲームを初めてプレイした、将棋好きのおじさんとチェス好きのおじさんとのエピソードが作中にはあります。


感情を理解しあううちに、人はお互いのことを肯定して、徐々に受け入れられるようになる。アナログゲームは対人間のコミュニケーションを手助けしてくれる、有効なコミュニケーションツールの一つでしょう。

アナログゲームは「考える」「実行する」「振り返る」「反省を踏まえて行動する」という、いわゆるPDCAサイクルを知らず知らずの内に取り入れているものだと感じます。ゲームを通して、社会人が求められる考え方のサイクルが身につくなんて、これほど素晴らしいことがあるでしょうか。そしてなにより、プレイしたメンバー間に生まれる「絆」のような感覚は、私達が行っている、日頃のコミュニケーションとは違ったコミュニケーションを取るよう促してくれたりします。そこからお互いの人間性を理解できるようになり、コミュニケーションを円滑に進めていけるのではないでしょうか。


私たちははるか昔、トレンドに乗った言い方をすれば、

前前前世からアナログゲームの楽しさを知っているのです!

子供の頃にやった鬼ごっこやかくれんぼが楽しかったのも、すごろくや鉛筆飛ばしが楽しかったのも、私達のDNAにその楽しさが、面白さが染み付いて残っているからなのではないでしょうか。

このレビューを読んでアナログゲームから久しく遠ざかっていた人は、今度の休みに家族や友達と一緒にプレイしてみてはいかがでしょうか。「コミュニケーション」の面白さを改めて実感できるかもしれませんよ?
 

放課後さいころ倶楽部 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
作者:中道 裕大
出版社:小学館
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放課後さいころ倶楽部 7 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
作者:中道 裕大
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