【本日発売】1億3千万の顔を記憶する男vs13人の超凶悪犯罪者『指名手配犯』 科学全盛の時代でも侮れないアナログ捜査「見当たり」とは?

マンガサロン『トリガー』2016年09月09日 印刷向け表示
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指名手配犯 1 (BUNCH COMICS)
作者:田近 康平
出版社:新潮社
発売日:2016-09-09
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こんにちは、マンガサロン『トリガー』店長の兎来です。

つい先日、こんなニュースが流れました。

手配犯500人の顔記憶!〝刑事の勘〟 「見当たり捜査」摘発4千人を突破…大阪府警「職人技」導入38年、13都道府県警に拡大 - 産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/160824/wst1608240044-n1.html

見当たり捜査」というのは、まだ一般的にはそこまで広く知られていない言葉でしょう。1978年頃から大阪府警察で導入された捜査方法で、指名手配犯の顔を綿密に記憶して、街頭で張り込みひたすら犯人を探して、直接見付けては逮捕に動くというものです。上記記事の通り現在に至るまで非常に大きな成果を挙げており、見当たり捜査は全国的に拡大して行っています(逆に、これだけの成果が上がりながらも東京都で導入されるのに23年掛かったという事実には警察組織の体質的な問題を感じなくもないのですが)。

 

もしも、あらゆる顔を記憶できたら?

ところで、皆さんは人の顔を覚えるのは得意でしょうか。私は客商売をしている身として得意です! ……と胸を張りたい所ですが、正直に言って平凡です。数ヶ月~一年前に一度だけ会ったきりの方の顔は、覚えていることもあれば申し訳なくも忘れてしまっていることもあります。しかし、そんな私にとって実に羨ましい能力の持ち主が世の中には存在します。

それが、「スーパーレコグナイザー」。世界には、極端に相貌認識能力の高い人間が極僅かに存在します。彼らは一度見た顔を決して忘れず、経年変化や多少の整形があっても見破ってしまいます。「カメラアイ」と呼ばれる、一度見たものを映像として記憶し忘れない人にも近い能力です。

今回紹介する『指名手配犯』の主人公・見影守人(みかげもりひと)も、そんなスーパーレコグナイザーである見当たり捜査官。何と、「1億3千万人の顔が脳裏に焼き付いている男」です。『指名手配犯』では、そんな見影を始めとする見当たり捜査官たちと、凶悪な指名手配犯たちとの熾烈なバトルが描かれて行きます。

 

奇人・変人・狂人の見本市!!

本作は変人のオンパレード

主人公の見影からして、最初の登場シーンでヘタすると本人が職務質問されそうな特異な態勢を往来のど真ん中で取っています。

しかし、そんな見影のキャラを打ち消してくるのが、最初に登場する指名手配犯・鎌田満尊(みつたか)。

プル プリ プリ ルン。思わず声に出して読みたくなる擬音

ルービックキューブを常にいじりながら、不気味な喋り方と気持ち悪い笑顔を見せてきます。このキモウザさがあるからこそ、捕まった時のカタルシスも高まるのですが。

大手町オフィス街毒物大量殺人の犯人・毒島譲悟(ぶすじまじょうご)や、

連続企業爆破事件の平矜持(たいらきょうじ)も鎌田に負けない逸材です。人間を殺すことに何の躊躇いもない残虐な彼らによる、スマホやドローンを駆使した現代的な犯行の手口も見物です。

そして、彼ら指名手配犯がなぜか一斉に表に出て来るようになった原因と思われる本作のキーパーソンが、見影の一家三人を殺害した容疑者である光國天真

圧倒的なカリスマ性を放つ美青年に、私は一話から肩入れしてしまいました。『PSYCHO-PASS』で槙島聖護が好きだった同志には、この気持ちが伝わるのではないでしょうか。

一方、警察組織の方も曲者揃い。見当たり捜査官を「アナログ捜査官」とバカにする分析センターの藤村奉泉(ほうせん)は、和服なのは百歩譲ってまだ良いとして、なぜそこまではだけているのでしょうか

明らかにはだけすぎです

回を追うごとに更にはだけていきます

見影の同僚にしても、刑事というより下手すると荒廃した世界で水や食料を強奪して「ヒャッハー!」と叫んでいそうな男・照屋千夏(てるやちなつ)に、

常に養豚場の豚を見るような冷たい目の寡黙な美女・淡雪園(あわゆきえん)。

淡雪は戦闘狂のような感もあり、限りなく犯罪者と紙一重ですが、そこが良いです。

班長の桐山純晴(すみはる)だけは常識人のようで、見当たり班の良心とも言える存在かもしれません。ただ、物語はキャラクターが立っていてナンボです。今後も、数多くの変態的なキャラが登場してくれそうで楽しみにしています。

一人としてまともな人間がいなさそうで、素晴らしいです

 

一巻ラストの盛り上がりに胸高鳴ります

物語は一巻の最後に一つ山があり、盛り上がりを見せます。二巻に、そして今後の展開に向けての期待はそこで大きく高まりました。果たして、一連の事件の裏にはどんな真相が隠されているのか。13年前の事件の真実とは。謎が明かされる日を楽しみに待ちたいです。

犯罪物や刑事物、サスペンス好きの方に、そして変人・狂人が好きな方にもお薦めです。

試し読みページ
 

文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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