『シン・ゴジラ』のストーリーは『ウルトラセブン』の「超兵器R1号」で50年前に描かれていた!? 今も昔も、人のエゴの描かれ方は変わらない

マンガサロン『トリガー』2016年09月21日 印刷向け表示
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ウルトラセブン(上) (マンガショップシリーズ (9))
作者:桑田 次郎
出版社:マンガショップ
発売日:2004-12-19
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『シン・ゴジラ』。
映画関係者のみならず、あらゆる分野の方がいたるところで話題にしています。

おかげで最近は初対面の人でもとりあえず『シン・ゴジラ』の話を振っておけば許される空気感があるので、口下手な自分は大変助かっています。

興行収入こそ『スター・ウォーズ』や『君の名は。』といったお化け作品の後塵を拝していますが、内容以外にも「発声可能上映」など、様々な切り口で我々を楽しませてくれる名作であることは間違いありません。

今回はそんな『シン・ゴジラ』のルーツのかもしれない話を見つけたのでご紹介したいと思います。

 

『ウルトラセブン』の神回「超兵器R1号」

『シン・ゴジラ』の監督を務めた庵野秀明さんは無類の特撮好きとして知られています。

なかでも『ウルトラマン』は学生時代の自主制作映画でも題材にしているほど。『シン・ゴジラ』のあの赤字に白文字の特徴的なポスターも『ウルトラマン』をオマージュしたものだと言われています。

『シン・ゴジラ』のルーツだと思われるのは、そんなウルトラマンシリーズである『ウルトラセブン』の第26話(テレビ放映時)の「超兵器R1号」です。

「超兵器R1号」は『ウルトラセブン』の数あるストーリーのなかでも、1960年代当時の核抑止による冷戦状態を見事に皮肉った内容で名作と言われています。

 
   

 

幾度となく宇宙人や宇宙怪獣からの攻撃を受けてきた地球防衛軍が、遂に完成させた「恐怖の破壊兵器」(原文ママ)。新型水爆8000個分の破壊力を持ち、惑星そのものを完全破壊することも可能な超強力宇宙弾道弾。
これにより「防衛力」を保持することで、他の惑星による侵略をけん制し、更には報復攻撃としての全滅も厭わなくなった…という、誠に過激な兵器。
ウルトラ警備隊は実験として、6カ月もの検討の末に地獄のような季候でとても生物の住めそうにない惑星「ギエロン星」を破壊目標として定める。 実験は成功し、ギエロン星は宇宙から消滅した。
ところが、ギエロン星には生物がいた。 その生物はR1号の放射能で異常進化を遂げ、ギエロン星獣として復活。そして、母星を、仲間を滅ぼした地球人への復讐のためにシャール星座から太陽系まで飛来したのである。
地球防衛軍とウルトラ警備隊はギエロン星獣を当然迎撃するが、不死身の肉体を持った星獣は何度も蘇り、遂に日本に到着。そして、R1号のせいで手に入れた放射線をまき散らしながら、自分から全てを奪った地球へ報復を開始した。

( ピクシブ百科事典 超兵器R1号より引用
http://dic.pixiv.net/a/%E8%B6%85%E5%85%B5%E5%99%A8R1%E5%8F%B7 )
 

 

人類と放射能の関係を描く 

『シン・ゴジラ』に登場するゴジラの正体は、60年前に各国が深海に捨てた放射性廃棄物を食べて突然変異した海洋生物でした(以前の『ゴジラ』シリーズは、水爆実験の影響で目覚めた古代生物でした)。責任の大元は過去の人類にあります。自分たちのこと以外を顧みないエゴのしっぺ返しです。
「超兵器R1号」のギエロン星獣の誕生は廃棄物でなく放射能兵器が原因ですが、人間都合で発生するリスクを他の惑星(≒生物)に負わせているという点で同様です。
ゴジラ、ギエロン星獣はともに、予想不可能なきっかけから手がつけられないほど進化を繰り返し、人類に破壊と放射能の恐怖をバラ撒きます。彼らと人類の決着のつき方は両作品で異なりますが、人類に「有害な生物」として処理する姿勢は共通しています。

現実では不死身の生物が誕生することは(たぶん)ありませんが、放射能に対する人類の姿勢が昔から本質的に変わっていないことを象徴しているような気もします。『ウルトラセブン』はそんな現代にも通じるストーリーの枠組みを50年前に提示していたのです。

『ウルトラセブン』は他にも、武力ではなく人間同士の信頼関係を壊して地球侵略を狙うメトロン星人との攻防を描いた「狙われた街」(主人公とメトロン星人が、ちゃぶ台を囲んで語らうという屈指の名(?)シーンあり)など、一味違ったウルトラマン像が描かれているのが魅力です。
マンガでサクッと読むのはもちろん、いまではニコニコ動画などでアーカイブを鑑賞することもできるので、『シン・ゴジラ』のような切り口が多い作品にもっと触れたい!という方にはオススメです。
 

(画像はすべて「ウルトラセブン」桑田次郎/円谷プロダクション(グループ・ゼロ)より引用しました)

文:宮﨑 雄

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