「うるせーブス(可愛すぎなんだよ)!」ツンデレ男子の破壊力が宇宙遡創造級『四月馬鹿』

マンガサロン『トリガー』2016年09月23日 印刷向け表示
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四月馬鹿 (アクションコミックス)
作者:川辺 蛙子
出版社:双葉社
発売日:2016-08-27
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pixivに凄まじく素晴らしいラブコメがありました。それはもう、読むと思わずIQや語彙力も低下してしまうほどに。その甘酸っぱ切なさは、ほんの数編を読んだだけで心に届く青春ど真ん中160km/hストレート! 

それが! 『四月馬鹿』です!!

今回、作画も内容も大幅にブラッシュアップされ、描き下ろしも加わっての待望の書籍化。判型が通常の青年誌サイズよりも大きい四コマ漫画サイズのため書店で見付けづらいかもしれませんし、若干価格も高めに思えるかもしれません(Kindle版は多少お得なようです)。が、万難を排して、無ければ注文をして取り寄せてでも読む価値のある、否、読むしかない一冊だと断言しましょう!!

 

無口なヤンキーと、粗暴だけど優しい女の子

主人公・美男(ヨシオ)は、転校生。ヤンキーのような外見で無愛想、転校早々上級生を喧嘩でのし、クラスメイトからは恐れられ声も掛けられず孤立していました。しかし、そんなヨシオに唯一気さくに話し掛けるのが桜田花(さくらだはな)。

最初は花のことを鬱陶しく思っていたヨシオですが、段々と花のことを意識するようになっていきます。

このですね、人が人を好きになる瞬間が訪れるまでの過程がですね、ずっとその人のことを考えてしまうようになる切っ掛けがですね、非っ常~に非常に丁寧に丁寧に描かれていて頬の緩みが止まりません。

花さん、あなたその表情はズルいですよ! 多感な思春期男子の手を取りながらそんな表情見せたらアカンよ! 思わず、ヨシオに感情移入してしまいます。花はとりたてて超絶な美少女という訳ではなく、むしろクラスメイトの男子からは「ゴリラ」「ゴリラ田」などと呼ばれる粗暴さのある女子。

でもですね、それが良いんです! この、「普通のクラスメイト」感、そんな女子が少し特別な存在になっていくという所が素晴らしく良いんですよ! 一目で落ちる恋も良い。けれど、この少しずつ少しずつ高まっていく恋もまた良いものではありませんか!

 

男のツンデレの良さよ!

ヨシオは花のことを意識しながらも、一貫して「ブス」「うぜー」と口が悪いままです。しかし、態度は少しずつ少しずつ変わっていきます。

挨拶してもシカトし続けていたヨシオ。彼が遂に遂に挨拶を返してくれるようになった日!

エンダアアアアアアアアアアアアアアアイヤァアアアアアアアアアアアアアアアアウィルオオオオオルウェイズラアアブユウウウウウウウウアアアアアアアアアアアアア~~~~~!!!!!!!!

ゴリラがバナナをくれた日にも勝るとも劣らないこの感動!!

いやあ、男のツンデレってズルいですよね。ベジータの「トランクス…………ブルマを…ママを大切にしろよ………」とか「よくも俺のブルマをォォ!!!」などもそうですが、普段は無愛想の極みのような男がデレる瞬間には堪らない良さがあります。ニヤニヤが止まりません。止まるわけがありません。

こうした様々な悶絶ポイントのある本作ですが、個人的に一番グッと来たのは、タイトルにも繋がる描き下ろしの「花の誕生日」にまつわるエピソードです。

普段、仏頂面でスマホに入った音楽を聴いているヨシオ。花は「何聴いているの?」と訊ね、聴かせてもらいます。そして、気に入ったその曲を作っているアーティストが「エイプリルフールズ」、つまり四月一日生まれの自分にとって親近感の湧くものだと語ります。

それを聞いて、四月一日の花の誕生日に合わせてこっそりプレゼント用にCDを買って準備するヨシオ。もうこれだけで可愛くて堪らない訳ですが……何とヨシオは気恥ずかしさからプレゼント用の包装を、破いてしまいます!

ヨシオくん、君は本当に不器用だな!(だがそれがいい)

裸になったCDを、ヨシオは上手く渡せるのか? 気になる続きはぜひ実際に確かめてみて下さい!

 

母親を始め、脇役も良い!

そして、ヨシオからは「ババア」「ババア」と罵られるヨシオの母・美子(ヨシコ)もまた、非常に良いキャラをしています。

この自分を「お節介ババア」と呼んでけしかける感じ、好きです。ヨシオが花と携帯番号を交換できた時にタバコを咥えながら、良い表情でのガッツポーズも好きです。二人が家で受験勉強をする時には、二時間きっかりケーキを買いに行って席を外すという過剰な気遣いも。

ヨシオは何だかんだで悪態は吐きつつも、店の手伝いは頼まれればするし、成績も良い。性根の良さがそこかしこから感じられます。それというのも、この美子さんの教育の賜物なのでしょう。

原作のpixiv版では、他にも花の兄など魅力的なキャラクターが多数登場します。
単行本の巻数が振られていないのが心配ですが、この先も是非とも単行本化して欲しいです。この素晴らしいラブコメをぜひ今からでも読んで一緒に応援して行きましょう!

 

文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿
 

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