長谷川町子先生がいろんな国で繰り広げる珍道中。『サザエさん旅あるき』

宮原 沙紀2016年09月25日 印刷向け表示
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日本国民で知らない人はいないんじゃないか?と思うほどの知名度を誇る『サザエさん』。連載が始まったの1946年。この年は終戦の翌年です。

そして、今年は『サザエさん』連載開始から70年の記念イヤーということで、サザエさんの展覧会や、雑誌での特集、本の復刻など様々なサザエさん関連の企画が催されています。

作者の長谷川町子さんは1920年(大正9年)に三姉妹の次女として佐賀県に生まれます。先に書いた『サザエさん』をはじめ、『いじわるばあさん』『エプロンおばさん』など、さまざまな作品を生み出しました。国民的漫画の作者である長谷川先生は紫綬褒章を受賞しており、その生涯は『マー姉ちゃん』という朝の連続ドラマにもなっています。

その長谷川町子先生が綴った旅行記『サザエさん旅あるき』が30年ぶりに復刊されました。

サザエさん 旅あるき
作者:長谷川町子
出版社:朝日新聞出版
発売日:2016-03-25
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旅行記は、ガイドブックよりもありありとその国の情景が見えるような気がして読むのが好きです。なんだか自分まで旅をした気分になれるのです。また、自分が行ったことのある旅先の旅行記を読んだ時に、作者が自分とは違う感じ方をしているという発見もあります。国民的作家の長谷川町子さんがどの国に旅をして、どのような視点でその土地を見ていたのか。そこにとても興味を惹かれ、この本を手に取りました。

この作品には、長谷川町子先生が旅した国内の温泉から、アメリカ、ヨーロッパ、イスラエルやモロッコなど旅した様々な国でのエピソードが描かれています。先生が初めて海外に行ったのは44歳の時。現代のようにそこまで海外旅行へ気軽に出かけられるような時代ではなかったと思いますが、この本を読む限り先生はたくさんの国々を旅しています。連載を抱えながらも、旅行する時間を作っていた長谷川先生にとって、旅行するということは見聞を広めたり、インスピレーションを受けたり、創作するのに欠かせないものだったのでしょう。(現にこのように本が一冊かけるほどです)。

また、先生にとって旅行の果たす役割は創作のためだけではなかったようです。この作品で先生は、母親や姉との旅行の思い出も綴っています。

旅館での母のキスシーンが描かれていたり、

旅の終わり「帰りたくない!」と駄々をこねる母の様子だったり、

 姉との喧嘩のエピソードもあります。 

長谷川先生にとって、旅は家族との大切な時間でもあったのでしょう。

そういえば、アニメの『サザエさん』のオープニングでもサザエさんはいろんなところに旅に行っています。これも長谷川先生の旅好きが関係しているのでしょうか。

こんな旅行の鉄則も。

長谷川町子先生の本がたくさん復刻されているこの機会に、是非一読をおすすめすします。70年前に始まった『サザエさん』はもはや当時の生活をありありと知ることができる歴史書でもあるし、この旅あるきを読んでいると今と変わらない旅のスタイルに驚いたり、反対に昔を知ることができるエピソードがさらっと描かれていたりします。後世に残る良いものというのは、時が経っても、新たな発見をくれます。

(画像は全て『サザエさん旅あるき』より)

 

 

 
 

 

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