厳格は幻覚だった やわらかすぎて気持ちいい『とつげきドイツぐらし!』

佐藤 茜2016年09月26日 印刷向け表示
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とつげきドイツぐらし!
作者:白乃 雪
出版社:KADOKAWA/富士見書房
発売日:2016-08-31
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民族ジョーク。
各国の人が乗り込んだ豪華客船が沈没したときに、救命ボートが定員オーバー。男の人たちに降りてもらわないと沈むときにどう言えばスムーズに事が運ぶか?

「あなたは、飛び込まなくてはならない、それがルールだ」

これで納得して飛び込むのが、ドイツ人。

上記を始め、さまざまなシーンでとかく四角四面であるというイメージがあったドイツ。しかし本作を読むとどうでしょう。こんなにかわいくてあったかい人たちは、あんまりいないんじゃないでしょうか?そう思わざるをえません。ああ、ドイツ行ってみたーい!!

とつげき、と銘打ってるのは伊達じゃない『とつげきドイツぐらし!』白乃 雪 (著) KADOKAWA / 富士見書房 2P

本作は、ドイツ人男性と結婚し、いきなり渡独することになった著者によるエッセイマンガ。ドイツでの生活とカルチャーショックが大変丁寧に描かれており、ドイツに行った事がある方はしきりにうなずきながら、行った事のない方は驚きながら、笑いを持って楽しめます。

役所仕事が全然厳格じゃねぇ!『とつげきドイツぐらし!』白乃 雪 (著) KADOKAWA / 富士見書房 11P

これは作者も「一般的ではない」と描かれていますが、それにしてもいい人だ…。『とつげきドイツぐらし!』白乃 雪 (著) KADOKAWA / 富士見書房 13P

これ以外にも、結婚の記念写真で通りすがりの幼児の集団にお祝いの歌をプレゼントされたり、ステキな出会いが沢山描かれています。

そして作者の方の語学学校の様子は、多分外国語学習あるあるなんでしょうね。

『とつげきドイツぐらし!』白乃 雪 (著) KADOKAWA / 富士見書房 21P

ソーセージだけじゃないドイツの美食。『とつげきドイツぐらし!』白乃 雪 (著) KADOKAWA / 富士見書房 34P

速度制限なし、というのをきっちり守るということなのかしら。『とつげきドイツぐらし!』白乃 雪 (著) KADOKAWA / 富士見書房 47P

仲がよくていいですね。『とつげきドイツぐらし!』白乃 雪 (著) KADOKAWA / 富士見書房 141P

あと、本作で初めて知ってびっくりしたのが、ドイツの日光に対するアグレッシブさです。−5℃でテラス席とかそれもう罰ゲームじゃねぇのか…。もうドイツはビール・ソーセージに加えて日光好きを加えてもいいのでは。作中ではドイツといえばパンって描かれてたけども…。

それから、茅葺き屋根があったり、栓抜きがなくてもビールの蓋を開けられたり…。ケーキのデコレーションで使われているマジパンもドイツのものは美味しいとのこと。うーん、食べたいし見たいものが多すぎるぞ。

さて、あとがきにて

「ドイツってこんな所だよ」と紹介するというより「私がドイツで暮らして感じること」を細かく描くことに重きを置きました。」

とある通り、本作は作者の白乃先生の目を通して、他の人ではうっかり通り過ぎてしまうような出来事さえ掬い上げて描かれています(ハンブルクの花の様子などは、現地の人は当たり前に思ってきっと見落としているのでは)。そして終始一環して、ドイツを見るまなざしは、春のように暖かで、文化が違うことによる摩擦を感じさせません。人類が全員白乃先生のように異文化を面白さに昇華できる感性の持ち主だったら、きっと戦争は起きなかったはず。脱帽です。

本作を通してドイツにいる人も、新しいドイツのステキな部分を見つけることができるのではないでしょうか。

読むとドイツへの好感度が爆上げになる作品。

オススメです。


そして、作者の方のtwitterはドイツの日常の写真がすごく美しくて癒されます。
明日も仕事頑張ろう…

 

こちらはベルリン。

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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