【今なら1巻99円】唯一無二の人間模様 オノ・ナツメが描くニューヨーク市警『COPPERS』

佐藤 茜2016年09月30日 印刷向け表示
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COPPERS [カッパーズ](1) (モーニング KC)
作者:オノ・ナツメ
出版社:講談社
発売日:2008-11-21
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 一時期、テレビドラマの主人公の職種が「弁護士・医者・警察」のいずれかで固まってしまったときがありました。

確かに、普通の職種の人を主人公にすると、日常から非日常に移行するための設定とかお話づくりとかが大変ですし、日常を日常のまま鑑賞に堪えるものにするのはそれはそれでとても技量がいりますものね。そりゃぁ、毎日が(一般人から見たら)日常からかけ離れた職の人を主人公に据えたほうが、お話作りやすいんでしょう。

しかし、よく扱われる職種なればこそ、常に過去の傑作と比較されやすい訳で、中々どうして、ときめくような物語に出会うのは難しいなぁ、と思っていました。

ところがどっこい、流石にオノ・ナツメ先生の描く警察は、一味も二味も違う。


ニューヨーク市警の警官たちを軸に進む、都市と人の物語。

NYPD 51分署の署長が手術のため入院。物語は警部補・カッツェルが署長代理に就任した日に始まる。
彼が新しい役職についた日には何かが起こるというジンクス通り、立て籠もり事件が発生。
刑事たちやESU(緊急出動部隊)、日本人ジャーナリストも巻き込み、ロンドが鳴り響き始めた。
(書籍紹介より)

新米刑事のヴァル(黒髪)と組むキース刑事の苦労は頭髪に現れているような…。目の下のクマもすごいぞ。『COPPERS』オノ・ナツメ (著) 講談社 

警官が扱うのは事件であり、そこには人の生殺与奪が濃厚に関わってきます。そのため、ともすればキャラクターは、あくまで事件をドラマティックに魅せるための装置としての役割しか与えられず、一個人としての魅力が描かれていないケースが少なくありません。例えば、この警官はオフはどう風すごすのか?学生時代はどうだったのか?好きな食べ物は?とか、が全く見えてこないとか。もしくは、ありきたりな熱血漢とか、権力命のキャリア警官とか、どこかで見たようなキャラクターが出ているとか。

けれども、本作ではそんな心配は全くなく、どのキャラクターも、ちょっと考えれば無尽蔵に私生活が妄想できそうなほどエッジが立っています。

隣の店にてそれぞれ愚痴をはく様子。静止画だけどなんとなく動作まで見えてしまうのがすごい。『COPPERS』オノ・ナツメ (著) 講談社 

女性刑事のモーリーンはよく食べる。ハンバーガーの厚みがすごい。『COPPERS』オノ・ナツメ (著) 講談社 

そしてキャラクターに寄りかかる事無く、ストーリー展開もしっかり骨太。しんみりするものから、かっこいいもの、驚くものまでレパートリーの多さと来たら!なのにちっとも現実離れしてトンデモになっていない。

元警官のキースの奥様。『COPPERS』オノ・ナツメ (著) 講談社

オムニバス形式で描かれており、どの話も秀逸そのものなのですが、特に好きなのは、日本人記者のアキオとヴォス警部補の過去のエピソード。最短記録で警部になって分署長か本部のエリート幹部クラスになっていると思われたヴォスはなぜまだ今の地位なのか。ああ、アキオがヒゲを生やしているのに、あんなに怖い理由があるなんて、一体誰が想像できただろうか!組織の問題を浮き彫りにする一級の社会派でありながら、男たちの人情味溢れるバディもの(警官のバディではないけれども)でもあり、作者のバランス感覚はどうなっているんでしょう。

若りし日のヴォスとアキオ。『COPPERS』オノ・ナツメ (著) 講談社 

2巻にて「シーズンI完結」とのことなので、出来るならばアメリカのドラマのようにシーズンⅡを出してほしいところ。

驚嘆せざるをえない作品。

オススメです。(1巻がKindle99円でしたし!)

 

COPPERS [カッパーズ](2) (モーニング KC)
作者:オノ・ナツメ
出版社:講談社
発売日:2009-06-23
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Danza [ダンツァ] (モーニング KC)
作者:オノ・ナツメ
出版社:講談社
発売日:2007-12-21
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短編集。一部 『COPPERS』とリンクしています。「北イタリア、日本、ボストン、ニューヨーク……微かに繋がる6都市6篇のショートストーリー。」とのことで、本当に先生の頭の中はグローバルだぜ…。

 

ACCA13区監察課 (1) (ビッグガンガンコミックススーパー)
作者:オノ・ナツメ
出版社:スクウェア・エニックス
発売日:2013-11-25
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2017年1月からアニメ化とのことで楽しみです。 

 

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