庵野やめろ!「シン・ゴジラ」を観た有名漫画家が庵野秀明にぶつけた暴露すぎる同人誌。 島本和彦が商業誌で発刊しなかった『ウラ・シマモト』を入手しました。

今村 亮2016年10月20日 印刷向け表示
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『シン・ゴジラ』観ましたか?

もはや誰の話題にも上らならなくなった頃、ネタバレをかいくぐってレイトショーに駆け込んだ筆者は、「シン・ゴジラ」上映119分のうち90分にわたり涙を流し続けてしまいました。かなりの序盤から涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていたわけで、これは非常にマヌケです。

いったい涙腺はどこで決壊してしまったのかというと、それは巨大不明生物特設災害対策本部、略して「巨災対」が集合したシーンです。

シン・ゴジラ対策のために集まった異能集団、そしてその責任を持つ厚生労働官僚、なんてかっこいい・・・!それから僕の涙は止まりませんでした。

しかし映画館を出て夜風に吹かれながら冷静に、あのシーンに涙がこみ上げた自分の衝動を振り返ると、その感情が何者なのか判別しがたく、数日間は寝ても覚めても悶々とした気持ちが晴れずにいました。自分はどうして泣いてしまったんだろう?

感情的な解決が訪れるのは、ネットで話題になっていた同人誌『ウラ・シマモト』を手にしてからのことでした。


(画像は島本和彦『ウラ・シマモト』より)
 
そうだ。涙の正体はこれだ。「シン・ゴジラ」を観て筆者は嫉妬したんだ。同じ感情がすべてこの『ウラ・シマモト』に描かれておりました。
 

庵野秀明と島本和彦は大学の同期

島本和彦と言えば『燃えよペン』や『アオイホノオ』が有名です。
 

燃えよペン (サンデーGXコミックス)
作者:島本和彦
出版社:小学館
発売日:2002-11-19
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 漫画家の主人公が大袈裟にペンをふるう、自伝的パロディ作品群。作中には遠慮も躊躇もなく「仮面ライダー」石ノ森章太郎、『うしおととら』藤田和日郎など、実名の作家がどしどし登場します。

そんな島本和彦が、「エヴァンゲリオン」の庵野秀明と大阪芸術大学芸術学部の同期だということは、巷ではよく知られることなのだそうです(筆者は知りませんでした)。

学生時代から島本和彦は、天才・庵野秀明を強烈に意識していたそうです。たとえば『ウラ・シマモト』で描かれるのは、庵野秀明が学生時代に制作した映像作品「じょうぶなタイヤ」。https://www.youtube.com/watch?v=5ZL_WVVGbvM 


(画像は島本和彦『ウラ・シマモト』より)
 
『ウラ・シマモト』では、このショートムービーに対する嫉妬と衝撃と、これは「シン・ゴジラ」の伏線であるという説について長いうんちくが語られます。
 

(画像は島本和彦『ウラ・シマモト』より)
俺よりも高いレベルの作品を・・・・
作るんじゃねええーーーーっ!!

島本和彦先生のおさえきれない感情は、twitterでこうつぶやかれます。


そして生まれた同人誌『ウラ・シマモト』。なんと夏コミの行列に!最後尾は会場のはるか外まではみ出す騒ぎに!


『ウラ・シマモト』に描かれた嫉妬を、コミケという社会は待望したのです。その気持ちは痛いほどにわかります。同じように僕もまた待望したのです。
 

官僚に嫉妬した!

「シン・ゴジラ」は、NPO職員として震災復興に関わってきた筆者にとって、ちょっとしたデジャヴュでした。

なぜなら官邸にむらがるマスコミも、委員会特有の座席割りも、省庁・自治体ごとにデザインされた防災服も・・・すべては、東日本大震災・熊本地震直後に筆者が見てきた風景そのものだったからです。

そして思い出したのです。災害を前にしたそのとき、何の役にも立たない自分の悔しさを・・・。専門性も地位もない、背中に「文科省」を背負った防災服を着られるわけでもない、一介のNPO職員にできることは限られます。文科省の先輩たちの後ろをついていき、どさくさに紛れ、こぼれ球を拾いながら、自分の持ち場を探したものです。

「シン・ゴジラ」には悪役が登場しません。総理、大臣、政治家、官僚、科学者、自衛隊、立場やキャラの違いこそあれ、すべてのプロたちが前向きに仕事に向き合うヒーロードラマです。特に巨災対はかっこいい。社会のはみ出し者たちが集まって、自分の信念に忠実に、興味関心を究め尽くし、国家の有事に立ち向かうなんてかっこいい。

もしこの国ににゴジラが訪れたとき、自分はどこにいるのだろう?何の力を活かすのだろう?

映画に感情移入しやすい筆者(33歳)は「シン・ゴジラ」に登場するプロたちに憧れ、まんまと仕事へのモチベーションが高まるとともに、どうしても嫉妬してしまいます。こうなると、もう、島本和彦先生の自伝的パロディに加担するしかありません。


やめろ!官僚!俺より上手に社会をよくするんじゃねえ!

 (画像は著者が深夜のテンションで描いた) 

 

以上です。

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