人気芸人「銀シャリ」の鰻さんが、漫才ではなく漫画で表現したお笑い『どう使うねん』

宮原 沙紀2016年10月30日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

北野武さんがフランス政府からレジオン・ドヌール勲章のオフィシエを授与されました。レジオン・ドヌール賞はフランスで最も栄誉ある勲章とされていて、文化や科学、創作活動などで「卓越した功績」を残した民間人に与えられる賞です。今回は北野武さんが「常に新たな冒険をし、いろんなジャンルの垣根を越えて現代のアートシーンに影響を与えてきた」完全無欠のアーティストと表彰されたのです。芸人として日本のお笑いを創ってきた人物であり、映画監督としても国内外で高い人気を誇り、絵も描いて表現している北野武さん。彼の前ではジャンルは意味をなさないのかもしれません。

北野武さんが受賞コメントで「日本はその道ひと筋と言うか、その仕事以外のことに手を出すことがあまりよしとされないが、フランスは何をするにもそれなりの理解をしてくれてありがたい」とおっしゃっていました。しかし最近は、北野武さんのように、マルチな才能をいかんなく発揮される方がたくさんいます。例えば、小説「火花」で芥川賞を受賞したピースの又吉直樹さんや、圧倒的な画力で絵本作家としてデビューしたキングコングの西野亮廣さんなど、お笑い芸人でありながらジャンルを越えて多方面で活躍している方は多くいます。

芸人という枠に収まらず、他分野でも活躍する方は他にもいます。お笑い芸人コンビ「銀シャリ」のボケ担当の鰻和弘(うなぎ・かずひろ)さんです。銀シャリは2005年にツッコミ担当の橋本直さんと結成され、2012年のキングオブコントでは第7位。昨年のM−1グランプリでは第2位。第51回上方漫才大賞 奨励賞を受賞するなど、実力派のお笑い芸人コンビです。水色のスーツに赤いネクタイという衣装に身を包み、正統派のしゃべくり漫才を繰り広げる二人の人気はコアな漫才ファンの間だけでなく、じわじわと全国のお茶の間にも広がってきています。


そんな鰻さんは漫画を描くのが好きで、小学校1年生から中学3年生までの10年間こっそり漫画を描き続け、なんとその量は学習ノート54冊分にも!この膨大な量の漫画を描き続けるなんて離れ業はやっぱり漫画や絵が好きではないとできません。そんな膨大な数の1コマ漫画の中から選りすぐりのネタをまとめた1冊があります。

 

どう使うねん

作者:鰻 和弘
出版社:竹書房
発売日:2014-12-11
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

2014年に発行された「どう使うねん」は漫画の手法としても新しく、既存の1コマ漫画とも違う新しいスタイルでまとめられています。
まず、奇数ページにタイトルがあります。タイトルがフリになっていて、めくるとボケのイラストが現れるのです。

 

こちらがタイトルページ

めくると、

漫画が好きだという気持ち、そして漫画に向き合った時間、実際に描いた量は質と比例するのでしょうか。ほのぼのとした可愛らしいイラストと、思わずクスリと笑ってしまうネタがまとまった一冊には、癒される安心感の中にも情熱を感じます。


鰻さんの才能は本職の漫画家の先生にも認められているようです。帯には「コボちゃん」「かりあげくん」などの著書で人気の植田まさし先生の推薦文が寄せられていました。

著書の他にも、鰻さんのインスタグラムでは芸人さんの似顔絵を発表していています。鰻さん独特の味のあるイラストで、似ているのはもちろん被写体への愛情で溢れています。こちらもぜひ一度覗いてみてください。

鰻さんは一つのことを表現するにも「漫才」という手法と、「漫画」という手法どちらも使える才能を持っています。一つのことを突き詰めることは素晴らしいことだけれども、自身の才能を一つに限定する必要はないのかもしれません。


漫才師としての銀シャリの鰻さん、そして漫画家としての鰻先生、これからも絵と漫才で笑わせてくれるのを楽しみにしています。

(画像は全て『どう使うねん』より)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

記事へのコメント コメントする »

会員登録いただくと、記事へのコメントを投稿できます。
Twitter、Facebookにも同時に投稿できます。

※ 2014年3月26日以前にHONZ会員へご登録いただいた方も、パスワード登録などがお済みでない方は会員登録(再登録)をお願いします。

コメントの投稿

コメントの書き込みは、会員登録ログインをされてからご利用ください。

» ユーザー名を途中で変更された方へ
 変更後のユーザー名を反映させたい場合は、再度、ログインをお願いします。

ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
作者:
出版社:中央公論新社
発売日:2014-10-24
  • Amazon
  • Amazon Kindle
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

電子版も発売!『ノンフィクションはこれを読め! 2014』

HONZ会員登録はこちら

人気記事