僕らはいつから「知らない」と「怖い」の区別がつかなくなったんだろう。『彼岸花保育所は怪奇スポットなのか!?』 ちいさくてかわいい子どもたちに教えられる、人生の楽しみ方

マンガサロン『トリガー』2016年10月29日 印刷向け表示
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 みなさんには、怖いものってありますか?

僕は最近、自宅の玄関ドアが怖いです。
あの、カギが閉まっていなくてもドアが開かないようにする、レバーの操作で凸ったり凹んだりするやつありますよね。(ラッチボルトと呼ぶそうです。ドアムダ知識その1)
アレが、収まるところ(ストライクと呼ぶそうです。ドアムダ知識その2)とうまく噛み合っていないらしく、帰宅してカギを閉めたときにハマりきらないのです。

すると何が起きるのかというと、帰宅してくつろいでいるときに突然、「ガチャン」と音を立ててハマります。金属製のドアなので、その音はしばらく響きます。余計な想像が音とセットで襲ってきます。そろそろ寝ようかな…と思ったときにやられると確実に寝つきが悪くなるやつです。どうせなら朝にやってほしい。

あとやっぱり、まんじゅうがこわいです。神田達磨のかりんとうまんじゅうが特にこわい。よろしくお願いします。

というわけで、今回紹介するマンガはそんな”怖いもの”だらけの保育所に通う子どもたちの運命やいかに!というお話。『彼岸花保育所は怪奇スポットなのか!?』です。

 「知らない」という無敵さ

舞台の彼岸花保育所は神社に隣接する、「いわくつき」の場所。
そこにいるのは妖怪変化に魑魅魍魎、古今東西の怪奇!怪奇!怪奇!(あとかわいい巫女さんも)
ですが、彼岸花保育所の子どもたちは元気いっぱいです。

                頭にできた人面瘡

           便器から生えてきた謎の腕。

 

              怨霊からかかってきた電話

これらのうちどれかひとつでも自分の身に起こったとしたら…僕は恐ろしすぎてもう二度と1人でお手洗いに行けない気がします。

しかし彼岸花保育所の子どもたちはこれらの怪奇と出会った時、それらを「怖い」と避けるのではなく、むしろ好奇心を持って積極的に関わっていこうとします。
例えばぐったり弱った便器の腕を見たら、どうすれば元気になるかを考えて、牛乳をあげたりトイレ掃除をしたりします。元気になったら、一緒にジェンガしちゃったりします。楽しそうです。

僕らはあらゆることを怖がるからこそ安全に生きていられるわけですが、もしかしたらそのせいで見えなくなっていることもあるかもしれません。本当は怖がらなくてもいいことを、怖がっているかもしれません。

前にアレやって怒られたから、今度は無難にやっておこう…という自主規制をしたことがあります。
自分はそういうの向いてないから、という思い込みで断った新しい遊びの誘いも数知れません。
そんなふうに、わかったつもりになって、「知らない」から無意識のうちに距離を置いてしまうのが、「知る」ってことの一側面でもあります。子どもたちにはそれがありません。だから、怪奇とニュートラルに触れ合える。

無防備すぎてヒヤッとする場面がありながらも、クスッと笑える『彼岸花保育所は怪奇スポットなのか!?』は、そんな大切な気づきをソフトに与えてくれます。

最後に、個人的に一番ツボだった怪奇を紹介させてください。

”鼻行類”!!

これを他の名だたる怪奇の中にスッと差し込んでくるところに、作者のカネコマサルさんのセンスが伺えます。

※鼻行類ってなんだ?という方はこちらのウィキペディアをどうぞ。

面白いだけじゃなく、インテリちっくなトリビアが身についちゃうマンガって、大好きです。


鼻行類―新しく発見された哺乳類の構造と生活 (平凡社ライブラリー)
作者:ハラルト シュテュンプケ 翻訳:日高 敏隆
出版社:平凡社
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化物語(上) (講談社BOX)
作者:西尾 維新
出版社:講談社
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(文責:宮﨑 雄)

 

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