究極の省エネマンガ!?『電車内でJKがダベるだけのヤツ。』は疲れていてもスルスル入る

マンガサロン『トリガー』2016年11月06日 印刷向け表示
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電車内でJKがダベるだけのヤツ。 (角川コミックス)
作者:茶麻
出版社:KADOKAWA
発売日:2016-10-26
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こんにちは。マンガサロン『トリガー』店長の兎来です。

私が大好きな映画の一つに、『十二人の怒れる男』という作品があります。内容としては、ほぼ一つの部屋の中で男たちが話しているだけ。なのに、引き込まれるストーリー展開で面白い!

極限まで舞台を搾った一つの作劇のお手本としてしばしば引き合いに出される作品ですが、今回紹介する『電車内でJKがダベるだけのヤツ。』 は非常に近しいものがあります。

本作に関しては、ストーリーというストーリーすらも存在しません。佐伯さんと戸村さんという二人の女子高生の話を電車内で聞くことを日々の楽しみとしているサラリーマンがいる、という設定があるのみ。後はひたすら二人がダベり続けます。タイトルに偽り無し。

実際に電車内で変な面白い話が耳に入って来て気になってしまうという経験は多くの人にあると思います。

私がかつて電車内で出会った中で印象的なのは、
「天下一ドヤ顔選手権しよーぜ!」
「お〜し!」
と言って、ドヤ顔でにらめっこをしていた女子高生たちです。周りの乗客もつられて笑っていました。

そんな有り得そうなシチュエーションにおける面白おかしさを、高度に再現している漫画です。

違和感なく日常性や「あるある」感を滲み出させるというのは、それはそれで難しい技術です。が、この作品においては実にそれを巧みに行っています。

家や学校での日常、食べ物や飲み物にまつわる話、動画やテレビの話題、恋バナなど女子高生らしい言動が多種多様に描かれます。

さっぱりした性格が憎めない佐伯さんと、基本無表情で中辛な性格の戸村さん。それを、隣に座っているサラリーマンが心の中で時に共感し、時につっこみ、あるいは何もしない背景のままでいる。何の変哲もない空間での掛け合いが、何とも愉快です。

日頃、何気なく乗っている電車の中でも、隣の人はその人の人生を十何年も何十年も歩んでいる。逆に自分がしている話も、誰かに何かを与えているかもしれない。気付かない内に無数の人生が交差する不思議な感覚に想いを馳せます。

元々ニコニコ静画でテーマを読者から募集しながらやっていたということで、非常に幅広い会話が繰り広げられ、同じ風景でありながらも飽きさせずに読ませることに成功しています。

とりわけ、私は最初の方に出てくる自分が宇宙人であるという妄想設定の下での会話が好きです。

女子中高生、やりますよねこういうの。

又、この漫画の一つの特徴として、コピペが大量に使われていることが挙げられます。

上記引用コマと較べてみると……

これだけ多用されているのは、漫☆画太郎先生以来かもしれません。

しかし、普通に読んでいるだけだと意外にほぼ気になりません。個人的にはコピペしようが何しようが面白ければ良いですし、むしろ労力を上手く省いて作品をより多く作れるならそれはそれで素晴らしいことだと思うので、同じような方法論で違うアプローチによってまた新たな作品を生み出せる可能性も感じました。

単行本のおまけ漫画では、何と電車内以外が舞台に! そしてサラリーマンの名前も明かされていますので、ニコニコ静画でご覧になった方も是非読んでみて下さい。

 

文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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