若手社員が先輩から言われて一番嫌な言葉とは。『サラリーマン拝!』 デジタル時代の今、難しい役割である”先輩”のあり方とは。

筧 将英2016年11月09日 印刷向け表示
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サラリーマン拝! 1 (ビッグコミックス)
作者:吉田 聡
出版社:小学館
発売日:2013-12-27
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社会人も10年目近くなり、すでに若手ではなく中堅になってきたなと思う私ですが、最近思うことがあります。

デジタルやインターネットが登場して、デジタル技術の進化のスピードが早くなり続けている時代において「企業における先輩の役割はなんだろうか?」ということ。

なぜ先輩の役割が不明確なのか。

上司やマネジメントという職種は”チームを運営する”という明確な理由が与えられているので必要なものだと思います。一方で、先輩は「その企業における・社会における自分の経験を伝えることで、後輩に学んでもらう・仕事を覚えてもらう」という役割がOJTに代表されるように担われてきました。

「この経験を教える」という部分についてが問題で、デジタルに関わる仕事だと1,2年で必要な知識がガラッと変わってしまうということが起こっていて、5年も10年も前の経験だと全く役に立たないことなんてザラにあるんですね。

むしろ、後輩のほうが今のことを知っている/経験している、なんてザラにあるのが今の時代なんだなと思います。

そんな中で「先輩のできることってなんだろう」というのが少しだけわかるのが今回紹介する「サラリーマン拝!」です。

︎得体のしれないスーパーな先輩「拝」と今どきの新卒社員「立花」

舞台は、丸福堂商事株式会社第3営業部。

主な登場人物は、主人公・拝啓とそこに新入社員として入ってきた立花侘助のふたり。

拝啓(おがみ あきら)

拝の経歴・実績・社内での立ち位置は謎。立花の指導係。女子社員からの人気が根強い。80億の商談をまとめたという噂がある。葉巻派。日中もだいたいお酒が抜けない。

立花侘助(たちばな わびすけ)

立花は新入社員。出社初日に無茶な接待を先輩から押し付けられ、悪酔いして暴漢に襲われているところを拝に助けられた。翌日から無断欠勤を続けるが、自宅に押しかけて来た拝に諭され、なんとか出社する。最初はダメな若手という感じでしたが、拝を見て成長していきます。

この2人が登場して話は進んでいきますが、毎話代わる代わる登場するのは「会社によくいる困った人」。この困った人をめぐるトラブルに立花や他の社員が合い、拝がある意味で解決していきます。
 

若手社員が先輩から言われると一番嫌な言葉 

登場する困った人は、昔はたまに周囲をイラつかせる無責任さがある反面、粘り強いところもあった営業の漆村さん。

立花は自分の作った企画書を営業の漆村さんに見せるのですが、「上がダメっていうからダメだ」という理由で、企画を進められないといいます。それに対して、立花は「漆村さんの意見が聞きたい」と迫ります。

それに対して、漆村さんがいうのは、「無理なものは無理」「おれの言葉なんて関係ない」。
そして「今の若い人たちはかわいそうだと思うよ・・・・」という言葉。

出た!これ先輩から言われると一番腹が立つ言葉です。立花も納得がいかない。

漆村さんも若者に迫られておもしろくない。お酒を飲みながら思い返しています。このセリフもよく聞きそうな言葉ですね・・・・

「いつか、君にも分かる」

帰り道の独り言ですが、この言葉を言ってしまうわけです。仕事に対する責任も、後輩への責任感も何もかも投げ捨てたような言葉。ここで拝が登場します。

「ついにいってしまいましたね、そのひと言。これであなたは“アガリ”ました。おまえもいつか分かる、その言葉が口から出たら、もう退職までの間、ひとつの勝負も残ってません。楽になれましたね。」

全若者が言いたいことを漆村さんに皮肉としていってくれる拝。こう言われた漆村さんは腹を立てるんですが、翌日、上の意見ではなく、自分の意見を立花に伝えました。

この時代に先輩が後輩にできることとは何か

「今の若い人たちはかわいそうだと思う」「おまえもいつか分かる」は後輩にいってはいけない最低な言葉ですが、では先輩としてできることはなんでしょうか。そもそも“してあげる”という上から目線がすでに間違っているような気もします。

そんな中で、この「サラリーマン拝!」を読み、この時代に先輩としてできることはなんだろうかと考えたのは

◯やる気を上げること(少なくとも下げないこと)
◯背中を押してあげること(できればケツをふくこと)
◯障害を取り除いてあげること

あとは、上のことを、言葉ではなく自分の行動/仕事で見せること。俗に言う「背中で見せる」ということなのかなと思います。自分でやらない人に、ひとはついてきません。

サラリーマンが主人公の作品なのに、ビジネスを学ぶマンガでもなく、仕事のやる気が出るマンガでもありませんが、少しだけ、“会社や先輩に求めるもの”や“会社での自分のあり方”を考えるきっかけとなるマンガです。

サラリーマン拝! 1 (ビッグコミックス)
作者:吉田 聡
出版社:小学館
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