女子高生がカエルを!サソリを!マムシを!そして◯◯◯◯を喰らう!?グルメマンガ界の珍味『桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?』

マンガサロン『トリガー』2016年11月10日 印刷向け表示
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桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?(1) (アクションコミックス(月刊アクション))
作者:ぽんとごたんだ
出版社:双葉社
発売日:2016-09-12
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  こんにちは、マンガサロン『トリガー』店長の兎来栄寿です。


『孤独のグルメ』や『花のズボラ飯』などが大人気を博し、ここ最近の漫画業界には再びグルメマンガブームが訪れています。

昨年話題になった二大新作『ダンジョン飯』と『ゴールデンカムイ』にも、グルメ要素が入っていました。

「食」は人間とは切っても切り離せないテーマであり、とりわけ日本人は食への興味関心が強い民族。都会にいれば世界各国のあらゆる料理が食べられますし、コンビニに売っている食べ物の美味しさは世界的に見ても異次元。

又、他のことでは目を瞑っても、食べ物を粗末にしたり偽装したりすることに対しては敏感に怒りを露わにするような一面もあります。

だからこそ、グルメマンガというジャンルは鉄板。その結果、昨今では様々なグルメマンガがどんどん出て来ています。


個人的には、それらを大きく「掛け合わせ系」(ファンタジー×グルメの『ダンジョン飯』、アドベンチャー×バトル×グルメの『ゴールデンカムイ』、登山×グルメの『山と食欲と私』など)と、「一点突破系」(ラーメンだけに特化した『ラーメン大好き小泉さん』、スープだけに特化した『オリオリスープ』、お取り寄せ品に特化した『おとりよせ王子飯田好実』など)の二つに分類しています。


そして、今回紹介する『桐谷さん ちょっそれ食うんすか⁉︎』は、個性派揃いの「一点突破系」の中でも、特にキワモノ。

本作では「普段食べないような珍味」ばかりを取り扱います。

なるほどゲテモノか……! と、初めて出会った時には「食」という鉱脈にもまだまだ掘り尽くされていないテーマがあるものだなと感心しました。

本作のヒロインは、何もしなければ眉目秀麗で学校内でも人気の高い美少女・桐谷さん。そう、何もしなければ。

彼女は幼少より類稀なる珍味への探究心を抱いており、その欲求に正直過ぎて常人が引くレベルであるという残念な一面を持っていました。

ワラスボやサクラケムシを「将来食べたいリスト」に書き入れている幼女。生物たちにとってはデスノートに名前を書かれるより脅威かもしれません。

そして、そのまま大きくなった桐谷さんは、珍食を行う為のスキルも抜群に。

カエルもマムシも容赦なく、鮮やかに皮を剥ぐ! 釣りをすれば東北訛りの麦わら帽子もビックリの腕前!

もう、誰も彼女を止められません。

「ゲテモノ料理マンガ」というとおどろおどろしいイメージがするかもしれませんが、基本的に高いテンションのまま桐谷さんが突き進んで行くのと、絵柄的にはかわいさが先行しており基本的にそこまでグロテスクではないので楽しい気分で読み進められます。

又、桐谷さんの近所に住む生物教師の柳の存在が、読者を物語に入り易くしています。柳は桐谷さんの暴走を一歩引いた所で見るキャラで、彼女に付き合わされて様々な物を無理矢理食べさせられるという立ち位置です。

最初は嫌がっていたものの、いざ食べてみると意外と美味しいものばかりで驚く柳。一般的な読者は、彼の視点で共感しながら読み進めることができるでしょう。

1巻で特に印象的だったのは、「鳥取から送られて来たババアを食べる話」。砂丘を見て「鳥取は滅びてしまったようだ」と勘違いする桐谷さんの兄に、県民の方には申し訳なく思いつつも笑いました。そして、兄が冷凍して送って来たババアとは……。インパクトもさることながら、一番食べてみたいと思わされた一品です。

「ヴィジュアル的に無理」という理由で食べないのは飽食の時代の贅沢であり、むしろ生物学的に見れば歪んだ態度かもしれません。

昆虫食ブームも一部では来ており、昆虫を提供するお店も出て来ていますが、食わず嫌いせずもっと色々挑戦してみたいな、と本作を読んで思いました。

巻末にはこの珍味を喰らう物語の意外なメイキング秘話も。今後、桐谷さんは何を食べるのか? あんな物やこんな物も食べてしまうのか? 楽しみです。

 

文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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