学校や職場でどうしようもない息苦しさを感じるあなたに捧ぐ、
心身ボロボロでも世界に絶望しないための予防薬『さびしすぎてレズ風俗に行きましたルポ』

岡田 篤宜2016年11月27日 印刷向け表示
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さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ
作者:永田カビ
出版社:イースト・プレス
発売日:2016-06-17
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 まず初めに、あなたにお聞きしたいことがあります。

 

「あなたには、叶えたい“夢”はありますか?」

 

 「ある!」と答えたなら、それはとてもステキなことだと思います。ぜひ、そのままご自身の信じる道を突き進んでいってください。


一方で、「ない…」と答えたなら、今一度自分の頭を整理して、考えて頂きたいです。頭の片隅に追いやられて、今まで忘れていた、夢に対する“記憶”や“感情”がどこかにあるはずです。本当はずっと前から気づいていたけど、色々あって忘れてしまっていた“思い”が、きっと今も自分のなかに眠っていると思います。


今回紹介するマンガも、自分の心の底に「夢」を押し込めて、心とカラダがボロボロになるまで「夢」を忘れていたことに気が付かなかった、作者の実体験を描いたエッセイマンガです。

「居場所」を追い求めるばかり、自分のやりたいことが何なのかを忘れて働き、そして傷ついた作者が、いかにして自分の中に眠っていた「思い」に気づき、立ち直っていったかが描かれています。今回はその一部をご紹介いたします。まずはじめにあらすじをご説明します。

 

「心を開くって、どうするんだっけ…」
28歳、性的経験なし。生きづらい人生の転機。
pixiv閲覧数480万超の話題作、
全頁改稿・描き下ろしで書籍化。
高校卒業から10年間、息苦しさを感じて生きてきた日々。
そんな自分を解き放つために選んだ手段が、
「レズビアン風俗」で抱きしめられることだった──
自身を極限まで見つめ突破口を開いた、赤裸々すぎる実録マンガ。

 

親からの評価>自分だった作者の軌跡

 

 あなたは今、学校・もしくは職場で「息苦しさ」や「居心地の悪さ」を感じることってありますか?

 

 まったくないなら、それはとても幸せなことです。でももし感じるとしたら、その原因は何だと思いますか?もし、「ここは自分が居たい場所ではない…」という思いがあるのなら、今一度、自分が本当にやりたいこと、望んでいることを思い出してください。

たとえば、このマンガの作者にとって、親からの評価が絶対だったそうです。マンガの冒頭で「集団生活」をしていること=自分であると考えていたとありますが、この発想の根底にも、「親からの評価」が潜んでいたと思います。
 

 

 ちゃんと学校に行っていること、ちゃんと働いていること、その“事実”だけがとても重要で、自分が何をしたいとかは考えなかったのだと思います。そして、だんだん自分が何をしたいのかも分からなくなったのではないでしょうか。だから、「自主性」がある程度求められる大学では、やりたいことが分からないために居場所をうまく見つけられず、不登校になってしまった。バイトがうまく続かなかったのも、自分が何をしたいのか分からなかったこと、そして自分の気持ちに気付いていなかったことが原因の一つだと思います。

 しかし、バイトの面接で「マンガを描きたい」ということに作者は気づき、そこから「頑張りたい!」と強く感じて、前よりも生きる意欲にあふれた生活ができるようになります。

 

そしてさらに、自分が抱えている大きな問題として、「自分が自分を大事にできていない」という事実に向き合っていくことになります。
 

 

やりたいことを見つけて、それを続けるためにはどうすればいいのか考えた結果、新しい課題を見つけることが出来て、解決するための方法を探すことが出来た。そして何より、今まで知らなかった自分の「思い」に気づくことが出来たのです。

 「自分には○○する資格がない」と言って、あらゆるものを自分から遠ざけてしまっていた。その一つが「性的なこと」でした。このマンガのタイトルにもつながってくるこの要素は、おそらく自分のやりたいことが分からず生活していただけでは、見つけられなかったものだと思います。作者が「マンガを頑張りたい」と思って、行動していたからこそ見つけられたものだと思います。

 

自分の”世界”を変えていく「夢」の力

 

 ぼくはこのマンガを読んで、作者がパン屋の面接で「夢」を見つけられたことが、とても大きなことだったのではないかと考えています。現に今、マンガ家として活動し続けていることを考えると、アルバイトの面接の時に気づけていなかったら、今の作者はいないと思います。今なお作者が居心地の悪さや息苦しさを感じて生活しているかは分かりませんが、おそらく以前よりずっと楽なのではないでしょうか。

 最近、子供が「夢」をもって成長していけるよう、いろんなワークショップを開いている会社の方たちに出会いました。その方々は、今の子供達が「夢」を持てずに生活していることを課題に感じていて、「夢」を持つことの力を子どもたちに実感して欲しいと思いながら、著名な人を招いてお話してもらったり、色んな場所に連れて行って刺激を与えたりしています。


「夢を持てれば、世界は変わる」。自分の未来を作るには、ひたむきに努力できるための目標が必要で、その目標を達成しようとする行動が、周りの世界を変えていく。それを信じて体現しようとしているのが、この方々なのです。ぼくもまた、この方々と同じく夢を持つことの力を信じて行動しています。


作者の例を見てみても、やはり「夢」を明確に持ったことから自分の問題と向き合うようになり、世界が変わっていったように感じます。夢をもつことが、自分の現状をよりよいものへと変えていってくれるのです。


だから、もし今あなたがいる場所で、居心地の悪さを感じ続けていたり、息苦しさを感じているのなら、今一度、自分の夢がなんなのか、考えてみてください。それが分かれば、次に自分がどうするべきか、きっと見えてくるはずです。そしてそれが見えてきたら、まず行動してみてはいかがでしょうか。自分の感情に素直に向き合えるきっかけを、このマンガがあなたに与えてくれます。
 

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ
作者:永田カビ
出版社:イースト・プレス
発売日:2016-06-17
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