まさかの『クレヨンしんちゃん』スピンオフ!? 闘う営業マンの平凡で魅惑的なランチ『野原ひろし昼メシの流儀』

マンガサロン『トリガー』2016年11月28日 印刷向け表示
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野原ひろし 昼メシの流儀(1) (アクションコミックス)
作者:塚原 洋一
出版社:双葉社
発売日:2016-10-22
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  「『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしは非常にハイスペックな男性である」


近年はそのように言われます。身長180cm、35歳で、霞が関の商社にて係長を務め、推定年収600万円ほど。春日部に一軒家と自家用車を持ち、妻は専業主婦で子供が二人、そして犬が一匹。確かに、連載開始当初のバブル時代ならいざしらず、現代の同世代でひろしのような順風満帆の生活をできている層は少数派でしょう。


そして、普段は美女に弱く髭は濃く足も臭いとちょっと残念なオヤジ感を漂わせているものの、劇場版では一変。父親としての格好良すぎる言動の連続で、普段とのギャップもあいまって非常に人気が高いです。


しかし、この展開は予想外でした。


まさか、野原ひろしが単独で主人公となる日が来るとは……!!

 


本作は「野原ひろしの昼食」を題材にしたグルメ漫画。


たかが昼メシ、されど昼メシ。
食事は文字通り血肉となり戦うカラダを作るものであり、そして美味しいものを食べれば気力も充実。逆にイマイチなものを食べてしまっては、午後の仕事のテンションにも大きく影響してしまいます。健康な心身を保つことも仕事の内。仕事の合間の昼メシは、いわば大事な仕事の一部とも言えましょう!


そんな企業戦士ひろしの昼メシ模様が、様々なシチュエーションで描かれていきます。


外回り先での昼メシ。
時間がない昼休みの昼メシ。
良い仕事をできた時の自分へのご褒美昼メシ。


やっていることは、まさに野原ひろし版『孤独のグルメ』。

そば屋のテーブルの使い込まれた感じに一人得心するひろしの様子は、井之頭五郎を髣髴とさせます。ですが、この作品の肝は「1200円は昼メシとしては予算オーバー」という、お小遣い3万円のサラリーマンの金銭感覚。『孤独のグルメ』よりも更にありふれた食べ物の数々が登場します。


カツ丼、カレー、立ち食いステーキ、ハンバーガー、サバ味噌……


誰もが日常の生活の中で食べるものばかり(食べたことがないとすれば、せいぜい回転寿司チェーン店の話に登場する、ハンバーグ寿司くらいでしょうか)。


ですが、その何の変哲もないメニューが実に美味しそうなこと美味しそうなこと! 読んでいるとお腹が減るのは良いグルメ漫画である証左でしょう。実際、私は本作を読んだ後、カレーを食べに行きました。


又、『クレヨンしんちゃん』のスピンオフということで、そこかしこにギャグテイストが散りばめられていて笑いながら読めるのも良い所です。

「辛いものを平然と食べる男の人って素敵」という女性の会話が耳に入り、意図に反して激辛カレーを頼んでしまうひろしらしいエピソードも。各話のオチに、しんのすけやみさえが絡んで来ることもしばしば。


個人的に、一番好きなのは会社の部下・川口を慰撫するために女子だらけのお洒落なパンケーキ屋にオッサン二人で行く話。絵柄がそこだけ激変し、点描や花トーンが飛び交う様子に笑います。

そして、川口のようなキャラクターが登場することを考えると、『クレヨンしんちゃん』ファンとしては今後も色々なサブキャラとひろしが遭遇することを期待してしまいます。


全体を通して、ひろしの憎めないキャラクターによる笑いあり、家族のほっこりする感覚もありで、とても安心して読めます。『クレヨンしんちゃん』ファンの方でも、そうでない方でも楽しめる内容です。


ただ、空腹の時やしばらく何も食べられない状態の時に読むと、少々辛いことになるかもしれません。

文:マンガサロン『トリガー』兎来栄寿

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