おかえりなさい、ご姉弟!10年ぶりの『総天然色 バカ姉弟』は幸せの原点をシンプルに描く傑作

中原 由梨2016年12月03日 印刷向け表示
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 マンガを電子書籍に移行してだいぶ経ちます。かなりのマンガを電子書籍に移行しましたが、絶対に紙でしか購入したくないマンガがいくつかあります。それは、紙に印刷された色が美しいとか、匂い立つような美しい線など、どうしても紙に印刷されたものでしか出せない迫力があるもの達です。あと手元に置いておくだけで嬉しいという本もあります。

今回、紹介する『総天然色 バカ姉弟』も、そんな“手元に置いておくだけで嬉しい”本のひとつです。っていうか、そもそもバカ姉弟に10年の時を経て再会できるなんて思いもしませんでした!嬉しい!!実はその辺にいるんじゃないかって探していたよ!ずっと!

『バカ姉弟』の公式サイトから作品紹介を引用します。ちなみに、『総天然色 バカ姉弟』は、5巻まで発売されている『バカ姉弟』の続刊です。

豊島区は巣鴨に住む、ある可愛らしい姉弟のお話。姉・おねいと弟・純一郎は、推定3歳の双子の姉弟。ご両親は留守がちなので、お母さんの友だちや、ご近所のみんなに育てられているみたい。彼らの周りでは、時間は黄河のようにゆったり進む。そして姉弟は、今日もきっとどこか予想もつかないところで遊んでいるはず! 読めば読むほど味わい深い、オールカラーコミック!! (公式サイトより)

正直、これだけじゃ内容が伝わりづらいですよね…でも、この作品紹介は全然間違ってなくて、私も似たような説明をすると思うんです。それ位、『バカ姉弟』はとっても魅力を説明しづらい作品です。ご姉弟は、愛される野良猫みたいともいえるし、登場する老人たちが言うように「神様」みたいに感じるときもあります。また、子供だけで暮らしている姉弟を町中でお世話している感じがあるので、古き良き日本を感じることもあります。よくある言葉で表現しようとすると「大人の童話」なのかもしれませんが、その言葉も似合わないような気がします。無駄なものを一切排除したシンプルな表現は、深くて凄みがあって、あまりに底知れないものを感じるからです。

なんとなく…これもう本当に邪推でしかありませんが、安達哲さんは『バカ姉弟』を描くことによって現実という地平にソフトランディングしたのではないでしょうか。安達哲さんの代表作といえば『さくらの唄』や『お天気お姉さん』の印象が強く、私も最初は「エロを捨てて、コレ描いてるって聞いたな…」と思って『バカ姉弟』を手に取りました。が、安達哲さんがぐるっと原点に回帰して、それでいて表現方法がシンプルかつ豊かになっていて「凄い!」と思った記憶があります。たとえば無理やり例えるなら、安野モヨコさんにとっての『オチビサン』や、さくらももこさんにとって『コジコジ』、あずまきよひこさんにとっての『よつばと!』…いや、でもどれも近そうにみえて違うかも。やっぱり説明しようとすればする程ドツボにはまりますね、この作品は(汗)。

とはいえ、まずはあまり深く考えず、町の大人たちと一緒にご姉弟のことを愛しながら読んでみてください。自分と地続きのところにご姉弟がいて、暮らしている。そう想像しながらニヤニヤして読むのは絶対楽しいです。『総天然色 バカ姉弟』から読み始めるもよし、『バカ姉弟』から読み始めるもよし、なんなら途中から読み始めてもまったく問題ありませんよ!今回は本当にご姉弟に再会できただけで感無量だわ…!!

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バカ姉弟 (1)     ヤンマガKCデラックス
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作者:安達 哲
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