同棲生活ってどんなもの?『喰う寝るふたり 住むふたり』

佐藤 樹里2016年12月17日 印刷向け表示
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喰う寝るふたり 住むふたり  1(ゼノンコミックス)
作者:日暮 キノコ
出版社:徳間書店
発売日:2012-11-20
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家族とはなんでしょうか。
同性カップルを認めるパートナシップ制度の導入など、家族の定義が揺らぎだしているのではないか。そんな疑問が浮かんだ事もあり国立国会図書館が開催した「家族のダイバーシティ‐ヨーロッパの経験から考える‐」というセミナーに行ってみました。

家族、結婚、性差、現実問題としての家庭内での役割を、いわゆる「研究」の立場の人たちはどこまでくんで議論をしているのか、知りたかったのです。結論としては、日本の民法学者、憲法学者ともに、現実問題をしっかり捉えていました。ドイツの公法学者と日本の学者の「問題意識」は、国は違っても一致していました。「婚姻とはなんなのか。主婦が家事をし、夫が仕事をするという価値観はなんなのか。弱者をケアする人もまた、相対的な弱者である。」だとか、議題ひとつひとつが、話に加わりたい!と思わせるものであり、また「研究の人たちわかってるじゃん!社会冷たくなんかないじゃん生きよう!!」と思わせる内容でした。
その中で日本の民法研究学者の先生が「同棲」の価値観についてこのような発言をされていました。

「フランスの民法学者と話していると、日本人の若者が同棲をしないことに驚いていた。」

「日本人はなぜ同棲をしない?一緒に暮らしてみないと生活スタイルが合うかなんて判らないではないか。」
この発言を聞き、確かにその通りだと思う私がいました。いくら相手が好きであったとしても、今まで自分とは違う生活をしてきた人が一緒に暮らすとなると「価値観が合うのだろうか」と心配になります。

「どうしよう、そんな経験ない・・・・」「親は許してくれるだろうか」悩み事の方向性が自分の枠を超えて他者に向かっていきます。ええ、私ももちろんその一人で「同棲ってなんか好奇な目で見られそう。」と思っています。
漫画『喰う寝るふたり 住むふたり』は「あ、同棲ってこんな生活なんだ。」と想像ができるようになる漫画です。

主人公は町田りつ子(りつ子)と野々山修一(のんちゃん)
二人は高校生から交際して10年、同棲生活8年目。恋人以上、夫婦未満の20代後半カップルです。
そんなふたりには大きな事件は起きません。大きな事件は起きません。あくまでも人間っぽさ日常が溢れています。

ちょっとした日常を男女両方の視点からTVをザッピングしているような感覚になるストーリーなのです。あの時に女(りつ子)はこう思ってたのか、男(のんちゃん)はこう思ってたのかと理解する事ができるのです。
ある時は、男女間の些細なすれ違いに「あるある」と思うこともあれば、相手はもしかしたらこんな事を思ってたのかなと感じる場面もあるでしょう。そんな男女の思いの違いを見事に描き出しているのがこの漫画の特徴でもあります。るんるんで料理してくれたはいいけれど、台所がぐちゃぐちゃになっていたり、伝えたつもりでいたけれど、脳内完結していただけであったり。

読んだ先には家族とは何なのかということが見えてきます。家族の定義とは何なのでしょうか。それはあるようで無いものではないでしょうか。当然、法律的には定義というものがあります。現在の日本では同性婚は認められていません。しかし、家族というものは三者三様で、あるときには些細な価値観の違いで衝突することもあれば、良いことも悪いことも共有することができたりと、理想論もありますが、そのような形こそが家族であるのではないでしょうか。となると、「家族の定義」というものが、「あるようで無いようなもの」ということしか言えないという気がします。『喰う寝るふたり 住むふたり』の二人は、結婚していません。けれども、漫画からは家族だという雰囲気が伝わってくる気がするのです。

『喰う寝るふたり 住むふたり』第一話の試し読みページはこちらより

喰う寝るふたり 住むふたり 1巻
作者:日暮キノコ
出版社:ノース・スターズ・ピクチャーズ
発売日:2012-11-20
  • Amazon Kindle

 

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