年末年始は親父と話そう。そんなことを思った父親マンガ『実録!父さん伝説』 毎日が伝説更新! なトミムラ家の日常を大黒柱の父を中心に描く衝撃作。ネットじゃ読めない、更なる魅力満載の「父さん」に刮目せよ!

筧 将英2016年12月19日 印刷向け表示
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実録!父さん伝説
作者:トミムラコタ
出版社:イースト・プレス
発売日:2016-11-27
  • Amazon Kindle

 今回紹介する「実録!父さん伝説」は、

ゲイビデオに出演し、
タクシー運転手の時には、ゲイのお客さんに触られ、
船乗りの時には、カモメとイルカだけが友達で、
警察官の時は、泥棒を家に住まわせ、
借金まみれになり、自己破産した
お父さんを”娘目線”で書いたマンガです。

そんな人生送ってる人を描いたら面白いに決まってる、と思った方は、この時点で購入して読んでいただければよいと思います。

また、先日、作者のトミムラコタさんのインタビューの記事も公開されていますので合わせて参考にしてください。

SNSでバズッっても紙では売れない?ネットが生んだ新人マンガ家が描くWebマンガ戦国時代の生存戦略【トミムラコタ先生インタビュー】

 

親父って大体変だし、ネタにされる

ここからは私のレビューなのですが、私がこの作品を読んで思ったことは

「親父って大体変だよね」
「家の特徴は親父で決まるよね」

ということなのですが、みなさんの家庭はいかがでしょうか。多くの人は思い当たる節があるんじゃないかなと思います。

そして、だいたいそんな変な親父のエピソードは、その家庭で育った子供にとっては、だいたい友達との会話でネタにされます。

この作品でもお父さんをネタにするきっかけが描かれています。

作者はアルバイトで父親のエピソードで人にネタとして話していますが、一般的にはライトなエピソードは中高生の時期に、ヘビーなエピソードは大学生から社会人の時期に、ネタとして使われることが多いでしょう。

そしてこの時はネタときで話しているんですが、怖いことに大人になるとネタで話していた親父の変なところが、自分に受け継がれているなぁと思うんですよね。

怖いですねよね、前までは笑って話していたことが、実は自分のルーツなんです。
 

私の家の親父の変なところ

私のことをここで話してもしょうがないのですが、この作品を読んでいて、自分の家庭の親父の変なエピソードで、ネタとしてよく話していたことをここで少し。

1つめは、「定期的な闇鍋の開催」

ある日、親父が思いついたのか闇鍋を家庭でやることになり、小学生のころは闇鍋が定期的に開催されました。定期的にといっても半年か年に1回くらいだと思いますが。

そんな家庭だったので、大学生になったときに「普通の家庭って家で闇鍋をやらないんだな」とびっくりした記憶があります。

私の家庭での闇鍋の進め方ですが、

1:家族で車で近所のスーパーへ
2:子供は1000円を渡されて解散
3:自分がいいと思ったものを自分で買う
4:各自袋に入れて見えないようにして家に帰宅
5:交代で台所で下準備
6:ベースとなる味は母親が準備
7:部屋を暗くして、具材を導入
8:煮えたら、あけて食べる

1000円を渡されて、自分で決めて買っていいというのが、小学生のころの私には楽しかったのですが「自分で企んでいいワクワク感」が企画として優れてますよね、闇鍋って。

エピソードとしては、私はアボカドを入れたら、半分溶けた緑色の物体になり、しばらくアボカドが嫌いになりました。親父はみかんの缶詰を投入し、酸味のある鍋にしたことがあります。

ちなみに、最近、実家に帰省したときに、「久しぶりに闇鍋やってみるか」となってできたものがこちらの画像です。

 
白濁色のよくわからない何かの中に、妖怪ウォッチのはんぺんらしきものが浮いています。味はよく覚えていません。

2つめは、「おこずかいが成果報酬式」

普通の家庭の子供のおこづかいは毎月◯◯円と決まっていると思いますが、私の家庭では違いました。簡単にいうと、成果報酬形式です。

小学生のときには、テストで100点を取ったら100円でした。これがよくできているやり方で、小学1年生の時はテストが簡単なので、簡単に成功体験が得られて、どんどんがんばれるんですよね。ただし1問でも間違えて99点だと何ももらえないので「見直し」の癖がつきます。ちなみに小学生6年生になると100点を取る難易度が上がるのでエグイです。

中学生・高校生のときは違う成功報酬になりました。勉強をがんばればがんばるほどお小遣いが上がるという基本的な考え方の中に「交渉」という視点を持ち込んでいるところです。

「定期テストにおける同学年での総合順位」でお小遣いの価格が決まるのですが、まず年度始めに交渉があり、基準順位を決めます。例えば、ベースの順位を30位とした場合、29位だと1000円、28位だと2000円、というように基準の順位から1つ上がると1000円という形です。

つまり、「年度始めの交渉」が超重要であり、この段階でいかによい条件(基準順位を下げておくか)にするかに頭を使わなければいけないのです。野球選手の年棒交渉みたいだな、と当時でさえ思っていました。かなり変わった家庭だと思います。

そんなエピソードも今から思えば、闇鍋は「企画のフレームと仕組みを作ることの楽しさ」を教えてくれたと思いますし、おこづかいの成果報酬式は”だいたいのことは自己責任”、”交渉が大事”という「社会を生き抜くための姿勢」を教えてくれたんだなと思っています。 

年末年始は両親と話す良い機会

個人的な私の関係ない話が長くなりましたが、この『実録!父さん伝説』という作品の良いところは親父とのよい付き合い方・関係性を表していることだと思います。

ネタとして馬鹿にされながらも、ちょうど良い距離感で愛されている父。父と子の理想的な関係なんだろうなと思います。

年末年始、実家に帰られる方も多いかと思いますが、少し腹を割って昔のことを聞き出すには良いタイミングです。このマンガを読んで、いろいろ親に質問してみてはいかがでしょうか。意外と自分のルーツが見つかります。

ちなみに、以前私がレビューを書いた『百姓貴族』も、おもしろ親父マンガとしてはクオリティが高いのでおすすめです。

農業に生き、そして死ね。リアル『銀の匙』はこちら!農民荒川弘の実録『百姓貴族』

以上です。良き親父に憧れますね。

実録!父さん伝説
作者:トミムラコタ
出版社:イースト・プレス
発売日:2016-11-27
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百姓貴族(1) (ウィングス・コミックス)

作者:荒川弘
出版社:新書館
発売日:2009-12-11
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